廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

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EU復刻再発に期待

2017年11月05日 | Jazz LP (Warner Bro.)


Bill Evans / You Must Believe In Spring  ( 独 Warner Bros. WB560879 )


このレコードのドイツプレスはUSオリジナルより音がいい。 いや、正確に言うと、音の種類が違う。

以前からずっとUS盤の音には違和感があった。 全体的に人工着色料でべっとりと色付けしたような不快な音だと思っていた。 ピアノはエレピのようだし、
ベースも安いエフェクターを通したエレベのような音。 音場感ものっぺりと平面的で、楽器それぞれが音場の中に埋もれてしまっているような感じだ。

ところが、ドイツ盤は違っていて、ピアノはちゃんとアコースティック・ピアノ本来の音だし、ベースもドラムも本来の楽器の音を取り戻している。
各楽器の音はきちんと分離していて、各々の音像も独立している。 だから3次元の立体的な音場感で、全体的に透き通ってひんやりとした雰囲気が流れている。
つまり、ドイツ盤のほうがこの作品本来のイメージにより近い音で鳴る。 こう言うと誤解を招きそうだが、繊細さがあって、ちょっとECM的なのだ。

US盤はドイツ盤よりも音圧が高く、繊細さはないが迫力がある。 3つの楽器が同じような音量レベルだが、ドイツ盤はピアノを前面に立てて、ベースと
ドラムは少し後ろに下がらせたような感じで、これは明らかにイコライジングし直しているようだ。

ドイツプレスにはレーベルの形状が2種類ある。 これはどちらが先で、ということではなく、2つの別のプレス工場で製作されたものだと思う。
音質はどちらも同じだから。 ただやっかいなのは、右側のレーベルのものはプレスミスのある盤が多く、溝も少し粗い感じでロードノイズが出るものが
多い印象で、品質に難がある。 左側はプレス品質が安定していて、ノイズ感は基本的にはない。

ジャケットにも違いがあって、US盤は普通の厚紙素材に黄味がかったクリーム色で中央の絵画が茶色の水彩画のようだが、ドイツ盤はエンボス加工の素材に
白っぽいアイボリーで中央絵画は蒼味がかった黒色の水墨画のような感じ。 ドイツ盤のほうが上品な印象だ。


このアルバムはよく売れるから、そのうちに復刻再発盤がレコードで出るだろう。 それがEUプレスだったらドイツのマスターを使う可能性があり、その場合は
音質に期待ができる。 ただでさえ、最近の復刻アナログの質の高さには驚かされるのだから、その日が来ることを願って楽しみに待ちたい。




こちらは、残念なアメリカのオリジナルプレス。 何でもかんでもオリジナルがいい、ということでは決してないのだ。


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