廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

二番煎じとか言われても

2017年01月08日 | Jazz LP

Bill Evans / Montreux Ⅱ  ( 米 CTI Records 6004 )


後期のエヴァンスのレコードの中では、これは他の物に比べて少し高い値段が付く。 なぜだかはよくわからない。 今のDU価格で5,000円+税。 
だから、他のところだともっと高い値段がついていてもおかしくない。 特に演奏が秀でているわけでもないし、格別に音がいいわけでもない。

CTIというレーベルは一般的に好かれているレーベルとは言えない。 特にこれはジャケットデザインも理解に苦しむ感じだ。 別にレアな印象もないし、
そもそも「お城のモントルー」の二番煎じだし、ということで特別扱いされる要素も思い付かない。 不思議だ。

この作品をちゃんと聴いたことがある人はさほど多くないんじゃないだろうか。 余程エヴァンスに心酔していて彼の作品なら何でも聴きたいと思っていたり、
ブートまで追いかける熱心なコレクターくらいのレベルにならないとなかなかこの辺りまで手を出すことはないかもしれない。

エヴァンスは時代ごとにライヴでの鉄板のレパートリーを持っていたが、この時はリヴァーサイド時代の曲をプログラムのメインに置いているのが
ちょっと珍しい。 ジャズ・フェスでの演奏だからテンポも速めで闊達な演奏をしているけれど、まあ、どこをどう切ってもビル・エヴァンスのピアノで、
なぜリヴァーサイド時代ばかりが褒められるのか私にはよくわからない。 "How My Heart Sings" や "Peri's Scope" なんか、初演の雰囲気そのままで
嬉しくなる。 ビル・エヴァンスは何も変わっていないのだ。 

このレコードはヴァン・ゲルダーがエンジニアだけど、例のくぐもったような音ではなく、非常にクリアでピアノらしい音になっている。 エヴァンスの
ピアノの生の音はこうだったんだなあ、ということがよくわかる。

当時は無名だったマーティー・モレルは恒例の冒頭でのメンバー紹介の際には一番拍手が少ないけれど、コンサートの最後の曲では長いドラムソロで会場全体を
煽るように盛り上げ、観客がみんな熱狂して幕が閉じる。 ここでも、最後の観客の高揚の度合いはすごい。 みんな、きっといい汗を搔いたんだね。

聴けば聴くほど好きになっていく、とてもいいアルバムだと思う。



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3 コメント

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意外ですね (dodge(bs))
2017-01-08 13:27:58
それほど値段が張るとは・・・・・・存在感とのギャップが興味深いですね。
演奏自体は三回目でリラックスした良い演奏ですが、プログラミングにやや難があるかも。B-2の「イスラエル」は、アンコールで演奏された曲で、前後の曲との繋がりに違和感を覚えるファンがいるようです。
また、余分な事かもしれませんが、「お城」同様、スイス・ロマンド放送局」の手で録音されています。ただ、スイスらしく音源の所有権は演奏者に渡るため、エヴァンスがCTIに持ち込み、ゲルダーがマスタリングしたそうです。なお、収録日は19日ではなく20日との指摘もあります。
年明け早々、すいません。
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早とちりでした (dodge(bs))
2017-01-08 13:42:59
気になり、もう一度、文を読んだ所、どこにも「ゲルダーの手で」と書いてありませんでした。

うっかりしていました。申し訳ありません。

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ありがとうございます! (ルネ)
2017-01-08 14:42:19
情報、ありがとうございます。 なるほど、そうだったんですね。 
何の下調べもせず、ただ聴いた印象だけで書いているので、正しい情報を頂けると大変ありがたいです!
エヴァンス自身が持ち込んだとは知りませんでした。 演奏が気に入っていたのか、経済的な理由だったのか、何にせよ記録が残ったのは素晴らしいことだと思います。

イスラエルはアンコール曲だったんですね。 でも、私は曲順には何も違和感を感じなかったなあ。
違和感を覚えるファンの方の場合は、きっとデータから入った聴き方をされたので、いささか先入観に左右されているんじゃないかなあ、と。
いやいや、それとも、私が単に鈍感なだけなのかもしれません・・・・(涙)

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