Eric Dolphy / Eric Dolphy At The Five Spot ( 日本ビクター MJ 7043 )
エリック・ドルフィーが嫌いだ。その原因を探るために主要なアルバムはすべて聴いたし、何度も繰り返し聴いているけど、未だに全然ダメ。
ドルフィーを褒める人は多いし、オリジナル盤はどれも漏れなく高額。つまり、人気があるということだ。そんなに人気があるのが信じられない。
今のところ、嫌いな理由として自覚しているのは、まずはアルトの音。あの音は生理的に受け付けられない。ただただ、気持ちが悪い。
もう一つは、彼の演奏には音楽を感じないところだ。どれを聴いても、この人の演奏からは音楽が聴こえてこない。
それじゃいけないような気がするので、いつでも検証できるように安いレコードを買って手許に置いておこうと思うのだけれど、
いざ、エサ箱の前に立つと買う気が失せてしまう。その繰り返しだったが、安いペラジャケがあったのでついでの勢いで拾ってきた。
「怒涛の」「火を噴くような」という形容詞が付けられるけど、ちょっとオーバーだ。"Fire Waltz" という曲名の影響かもしれないけど、
無責任な話である。確かにドルフィーのアルトが全面に出てはいるけれど、案外冷静に吹いていたんじゃないかと思わせるところがある。
ドルフィーのフレーズはキテレツだけど、受け皿となっている音楽自体は当時の主流派のジャズで、そこに噛み合わせの悪さがある。
ドルフィーの音楽は限りなくフリーに近いけれど、伝統的なジャズを踏まえていて、と言われる。そういうフリーっぽいところが魅力なんだろうか。
でも、それではなぜフリー自体はあんなに人気がないのだろう。そもそも、私はドルフィーの音楽にフリーの要素を感じたことがない。
奇想天外なフレージングや楽器演奏の卓越したところに惹かれるのだろうか。でも、私はドルフィーのフレーズにマンネリ感を感じる。
ラインそのものにはきっと意味はない。周到にコードを避けて、上下の振れ幅をできるだけ大きく取り、何度も往復する。
その繰り返し、若しくは単なるバリエーションの連鎖のように思える。
高い音圧、大きな音に圧倒されるのだろうか。確かに大きな音が出せるのは重要なことだけど、この人の場合は抑揚や陰影に乏しく、
常に似たような音量で、且つ表情不足で、そこにもマンネリ感を感じる。
とまあ、いつも考えが堂々巡りして出口がなく、解決しない。このままドルフィーの良さを理解できないまま、私のジャズ観賞人生は終わって
しまうのかもしれない。
このペラジャケは1,500円だったけど、音圧が高くて非常に迫力のあるモノラルサウンドだ。オリジナルは聴いたことがないのでどういう音なのかは
わからないけれど、これはこれでイイ線いってるんじゃないだろか。私のような門外漢にはこれで十分だと思う。
自分もドルフィーは苦手な一人です。ここでも触れられている通り、垂直運動と言うか震度計の様に上下の振り幅で構築されるソロは独自のものがありますが、そのポイントに気が付いてしまうと意外に単調に聴こえますね。彼自身も恐らく知っていたのでしょう、bcl、fl等を使い分けて補っていたのではないでしょうか。また、浅学で間違っているかもしれませんが、as一本で真っ向勝負したリーダー作が思い浮かびません。
その人の音楽嗜好のタイプがそもそも全然違うのに、突然ドルフィーが好きだと言われても、本当?、とか思ってしまいます。
でも、レコードはいつも飛ぶように売れているみたいだから、やっぱり私がその良さを
理解できないだけなのかなあ、とも思います。
いつか、本当にいいと感じられる日が来ることを願って、ボチボチ聴こうと思います。
カタルシス、ですが。なるほど。そういう聴き方はあるのかもしれません。なるほど。
何が面白いというと、書かれている内容だからドルフィーが面白いと思っています。逆向きですね。
居心地の悪さ、のようなものに惹かれています。ある種、モンクが悪酔いに聞こえる、のと似たような快感。
ただ、どうもこの人の場合、ちょっと可愛げが無いというか、マジメ過ぎると言うか、
面白さを感じる隙がないと言うか。
ねじれ方がイチイチ本格派過ぎるというか。
もっと気楽に聴けばいいんですかね?
ドリフィーってジャズの”最長不倒距離”だと思うけどね。前衛かどうかは大したことではなく、ジャズが凝縮してます。すごくビートを感じます。いいと思いますけど。あくまで、個人的見解です(笑)