黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

普天間基地移転問題に思う

2009-10-31 09:08:13 | 近況
 政権交代が実現してようやく2ヶ月近くが過ぎようとしている昨今、先の臨時国会における「野党」自民党の谷垣総裁の代表質問に対して、鳩山首相が「あなた方にそんなことを言われたくない」と言ったのには笑っちゃったが、民主党が選挙向けのマニフェストで「公約」したとされる沖縄・普天間基地の「県外移転」問題に関して、「閣内不一致」とか「首相と防衛大臣との間に認識違いがある」などと野党を始めマスコミ・ジャーナリズムが騒いでいるが、そもそも沖縄におけるアメリカ軍を「県外移転」するということの本当の意味は何なのか。
 たぶん、鳩山首相も岡田外相も認識していないのではないかと思われて仕方ないのだが、アメリカ軍基地の「県外移転」というのは、おそらく沖縄県以外の46都道府県のどこも普天間基地に匹敵するような基地を提供する意思を持たないであろうから、民主党のマニフェストに書かれた「普天間基地の県外移転」というのは、普天間基地の日本への「返還」か、あるいは海外移転(例えば、グアムのアンダーソン基地への併合」、さもなければ今岡田外相がしきりに模索している「嘉手納基地」との併合、しか選択肢がないということで、キャンプ・シュアブに隣接する辺野古沖の移転など端から考えていないということだったのである。
 ところが、アメリカに「(自公政権下で結んだ)日米合意事項を変更する気持は毛頭ない。もし、この合意が守られなければ、米軍再編=沖縄海兵隊のグアム移転も白紙に戻す」などと少し脅かされると、たちまち動揺して、マスコミ・ジャーナリズムや宮台真司などに言わせると、落としどころは決まっていて、普天間基地の移転は「辺野古沖」なのだそうだ。
 だが、考えて欲しいと思うのは、沖縄を旅行した人はすぐに理解できるのではないかと思うが、あの小さな島に嘉手納基地を始めキャンプ・シュアブ、普天間基地、等々、広大な敷地を有するアメリカ軍基地が我が物顔に沖縄の一等地に鎮座している光景、これは誰が見ても「異常な光景」である。そんな「異常な状態・光景」を放置したまま、普天間基地をキャンプ・シュアブ内と言っていい辺野古沖に移転するという「日米合意」、それを推進した自公の政治家たちはもちろん、混迷している民主党の政治家たち、および沖縄県知事をはじめとする沖縄の政治家たちは、何を考えているのか、と思わざるを得ない。
 確かに、沖縄の経済は現在「アメリカ軍基地」に依存しているかもしれない(日本政府が出す「思いやり予算」も含む)。しかし、それもこれも、日本とアメリカが沖縄を「犠牲」にしてきたことの証拠ではないか。ある種の沖縄におけるアンケートによれば「琉球(沖縄)独立」を望む人が70パーセントを超えている、という。この現実をどう考えるか。この現実は、「ヤマト」に生きる私たちにも重い問いを投げかけているのではないか、と思えて仕方がない。果たして「友愛」によって、この重い現実的な問いの答えを出すことができるのか。
 あまり期待せず、見守っていきたいと思う。

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