黒古一夫BLOG

文学と徒然なる日常を綴ったBLOG

もう少し時間が欲しい。

2009-05-06 11:20:18 | 仕事
 今日で連休が終わり、明日からまたルーティンな仕事が始まる。連休中に予定していた原稿執筆は、人が来たり、家族と付き合ったり、次の仕事(著書)のために急に読まなければならない本が出てきたりして、3分の1もはかどらなかった。予定して実行できたのは、父の墓参りと近くの日帰り温泉に行ったことぐらいであった――匿名には反論しないのを原則としているが、執拗にコメントを寄せてくる「烏丸御池」氏の直近のコメントは、父のことに関わって無視できない内容なので、僕の見解を述べておく(再論しておく)。僕は、確かに「僕の父は戦争犠牲者だった(と思う)と書いたが、僕の考えは、当然、父のようにではなく、戦地から帰還して立派に戦後社会を生きた人がいることは承知して上で述べたものである。例えば、僕の友人立松和平の父親は、敗戦後ソ連にシベリアへ連行される直前、逃亡して帰国し、その後78歳(?)まで、奥さんと一緒に立松と弟の二人の男の子を育て、「天寿」を全うしたと聞いている。しかし、そのような「立派」な人たちだけでなく、父のように「戦争・兵士」体験のために、どこかがポッキリ折れてしまったような戦後を送った人がいること、その人たちも広い意味で「戦争の犠牲者」なのではないか、というのが僕の考えであって、狭い意味(?)でしか戦争犠牲者を捉えられない「烏丸御池」氏が言うように、見当違いでも的外れでもないと思うのだが、いかがだろうか。なお、念のため、この件を含めて匿名には応接しないと言明しているにもかかわらず、余程自己顕示欲が強いのか、相変わらず「烏丸御池」などとふざけた名前でコメントを寄せる氏には反論しませんので、ご承知置きを!――
 連休中なかなか原稿執筆がはかどらなかったということについては先に述べたが、その代わりにどこへも出掛けなかったので時間だけはたっぷりあり、それだけいろいろなことを考えた。その内の一つに、麻生首相の「核軍縮」発言がある。政治家というのは、おしなべて時局便乗・時流優先思想の持ち主だとは思っていたけれど、麻生さんは小泉内閣で外務大臣をしていたときは、明らかに「核武装論者」であることを隠さなかったのに、ここにきてオバマ大統領が「核軍縮」を唱えたからか、「便乗」よろしく、昔から「核軍縮論者」であるかのように、臆面もなく核軍縮を世界に向かって提唱する。麻生さんが「核武装論者」であることを知っていた国民は、誰もが眉につばを付けて彼の演説を聴いたのではないか。
 第一、彼の演説に「ヒロシマ・ナガサキ」の言葉が出てきたか?テレビで見る限り、出てこなかった。核武装論者である麻生さんの頭の中には、端から「世界で最初に核攻撃を受けた都市」である「ヒロシマ・ナガサキ」のことなどなく、たぶん両市を訪れたことさえないのではないか。せめて漫画好きの麻生さんなのだから、中沢啓治の「はだしのゲン」ぐらいは読んで(「ヒロシマ・ナガサキ」の出来事に対する基礎的な知識ぐらいは持って)、「核軍縮」を唱えて欲しかったと思うのだが、根っからの体制派(権力者)である麻生さんは、反核・反戦思想を底意に持つ漫画など、もしかしたら読まないのかも知れないが、もしそうだとすると、彼の唱える「核軍縮」とは何か?根本的な疑問が残る。
 これらのことは、北朝鮮に対して「先制敵基地攻撃論」や「核武装論」で対抗しようとしている自民党若手政治家たちにも言えることで、「ヒロシマ・ナガサキ写真集成」を2種類編んだことのある僕としては、せめてそれらを見てから、「核」について発言して欲しいと思う。でも、無理か?