牛コラム

肥育牛と美味しい牛肉のはなし

ビール粕等発酵飼料

2008-12-13 01:08:19 | 飼料








導入後は、乾草で飼い直しをすることは前述したが、同時に、2~3日後からは、発酵飼料と呼んでいるビール粕や醤油か酢などを混合して発酵させたものを乾草と同時に与えている。
最も多い時で、約4kg与えている。
この飼料は、発酵状態のため、フレコン内のビニールに詰められて入荷しているが、大凡2週間くらいで使い切るようにしている。
多少酸っぱいニオイがするが、子牛たちは意外と残すようなことはない。
その後、前期配合を与えるが、2~3ヶ月間は、併用して与えている。
発酵飼料を与えることで、どちらかと言えば整腸作用に効果がある。
つまり、エコフィードとして認識して与えている。

中国産稲わら

2008-12-10 22:14:43 | 飼料






昨秋解禁された中国産稲わらである。
日本の農水省は、解禁に際して、輸入先の生産地を特定し、加熱処理施設を設置させ、全てに加熱処理したものについて輸入解禁した。
中国側では、口蹄疫等に汚染地でない東北地に輸出地を限定し、加熱処理施設を設置させ、生産者を特定した。
農水省は以来、担当者を中国側に常駐させ、監視体制を整えた。
解禁され輸入された中国産稲わらには、3×10cm程度のシールが梱包毎に貼付されている。
それが写真上のシールである。
1行目には、処理施設の番号と生産者番号が記入され、2行目には、加熱処理年月日がスタンプされていて、最低限の内容が判るようになっている。
中国稲わらは、加熱処理のために、かなり変色しているが、嗜好性には問題がない。
ただ、加熱処理したため、一つひとつの梱包は、硬く締まり給与するのにくずしにくい。
くずすのに、三つ又(鍬)を使ったり、動力固定式のくずし器を使ったり、ホイルローダーのバケットでくずしている。
近く、中国稲わらや稲わらのロールベールなどをくずして給与できる機器を導入する予定である。


大きな角と鼻環無しでも

2008-12-09 18:46:18 | 牛の角



写真の肥育牛は、そろそろ仕上がり間近の黒毛和種去勢牛である。
2頭とも堂々たる角をし、鼻環もないが、これらの牛は順調に増体している。
これまで、管理担当者らは、1,000頭規模の牛たちの削蹄や風邪の治療などのために何回か個々の房内に入り捕獲など接触しているが、負傷などの問題を起こしたことはない。
鼻環がないことで、痛みを感じないこともあり、容易く捕まる。

ただ、初任者の場合、牛たちとのあうんの呼吸が判らず、牛たちを驚かすことがあり、それらの管理法を的確に指導しなければ、問題を引き起こすことは考えられる。

稲わら効果

2008-12-08 22:45:44 | 肥育




素牛導入時に、市場名簿から得られる情報を出場牛と照らし合わせて、予め予定している導入頭数を確保するための品定めをする。
そのほかのデーターとして、過去に導入した牛に、出場牛の母親の能力を判断できる兄弟牛がいれば、大体の能力の見当を付けて、目星を付ける。
そのように吟味して導入し、肥育した結果、全く見当違いと言うことがある。
その原因の一つに、肥育途中にビタミン等の欠乏症状を来した場合である。
それらの症状が出れば、先ずその対策として、欠乏したものを補給する。
その結果、体調が正常になれば、それまで以上に食い込みが改善され、仕舞いには、増体が一向に止まらず、なかなか仕上がらない。
挙げ句の果て、筋間脂肪が多く、ロース芯面積が小さめで歩留基準値がAランクぎりぎりとなる。
勿論、BMS値も6~7止まりである。兄牛は、10~12だったというのに。
もう一つ原因が考えられる。
それは、粗飼料が考えられ、稲ワラが輸入禁止され、平成20年3月までオーストラリア産のウィートストローやバーリーストローを約3年間使用してきた。
その間は、総体的に肉質が今一で、血統を吟味した牛も、BMS値で2~3ランク下がった。
そして、輸入禁止が解けて暫くした平成20年3月から輸入稲わらに変えた。
その結果、先月当たりから、稲ワラ効果が現れ始め、従来の飛び級的な成果が得られるようになった。
稲わら以外の乾草などの給与法は、全頭に等しく施していることから、稲ワラの利用は、本来潜在する肉質能力を、麦わらなどより効率よく引き出されていると判断している。

寒さに強い牛たち

2008-12-06 11:46:39 | 牛の管理




牛舎で飼われている牛たちには、冬囲いをして寒さから守っている。
写真の牛たちは、降雪時でも屋内外に自由に出入りが出来るようにしているが、夜間だけは、出入り口を閉めて寒風にさらさないようにしている。
寒くても、牛たちは屋外に出ようとする。
そして、意外に風邪などに罹るのは、元もと舎内で飼われている牛たちの方が圧倒的に多い。
寒さに対する抵抗力が付いているのであろうと判断している。
それなら、舎内も牛たちに抵抗性を付けさせるために、開けっ放しにしてはと考えるが、スペース的に運動量に限りがあったり、普段アンモニアガスの影響を受けていることもあり、屋外の牛ほど抵抗性が付かない。
肥育的には、その分飼料の利用性に問題はあろうが、導入から間もない牛たちであるため、強健性を優先している。
写真のように運動場が広いことも、同様の問題があり、運動場の面積を縮小する計画を立てている。
自慢話であるが、牛たちにも季節感を感じさせるには素晴らしい環境であると自負している。

牛舎のカーテン

2008-12-04 20:07:34 | 牛の管理









従来の畜舎にもカーテンは付けているが、1段式である。
この操作は、どちらかの端に滑車式で取っ手をぐるぐる回すことにより、カーテンを上げ下げするものである。
この1段式は、新しい時は意外と軽く上げ下げできるが、数年経つとそれがかなり重くなる。
それは、経年的に風雨にさらされるために、カーテンに亀裂が入り、破れるとスムースに巻き取りが出来なくなったり、カーテン地に汚れなどが付着するために余計重くなる。
そのため、破損が早いため、7~8年ぐらいで張り替えが必要となる。
それで、今回は、上下2段式とした。
2段式にしたことで、滑車の動きはかなり軽快に操作でき、カーテンがしっかりとしぴしっと張れている。
それと、雨や風の具合で、下だけ開けるとか、上だけ開けるという操作ができて、室内の照度や通風を加減できる。
そのため、1段式より長持ちできるものと確信している。
このことにより、牛たちのために快適な住環境が改善できたと感じている。
写真上から、カーテンを全て巻き取り解放した状態、上だけ解放した状態、上下とも締め切った状態である。

鼻環

2008-12-02 18:24:26 | 牛の鼻と口







生産地によって、子牛に装着する鼻環の種類が異なる。
そのために、鼻環を見ただけで、産地がわかる。
最大生産地の子牛の鼻環は従来型で、あることに意外性もあるが、安価なのであろう。
緑色のプラスチック製鼻環なら○○市場の雌牛とか、紺色ならどこそこの雌牛という具合に、性別まで色分けしている市場もある。
個々の生産地を管轄する単位農協によって、長年同じ種類の鼻環を使用している傾向がある。
今回導入した曽於産は、写真上のように従来型で、鼻環の基部が木製である。
トウラクなどのロープを取りはずと前述したが、この従来型だけは、写真上のように導入後、新たにロープを装着している。
それは、基部の木製の部分が、下方にぶら下がるため、何かと房内の取っ手に引っかかり易く、鼻環で鼻鏡を切断してしまうおそれがある。
それと、鼻環を装着してそれほど経過していないために、餌などを摂取するときやウォーターカップで飲水中に、鼻環が邪魔になったり、痛がったりするため、写真のようにロープで固定している。
ロープを二つ折りにした中心部を鼻環の基部に括り、両方に伸びたロープを左右の耳の後ろから項で結わえる方法が一般的だが、その場合ロープが耳の前に来たり、頭部から外れて鼻環に垂れ下がると言うことが、多々あるために、写真上のように括ると滅多に外れない。
楕円状のプラスチック製の鼻環も同様なことはあるが、環の直径が若干小さいためと形状がシャープなために、従来型よりはましのようである。この楕円状のを写真上のようにロープを付ければ、環が小さいため、鼻孔の上側左右を次第に傷つけやすい。