葉室麟さんの時代小説は読後感が良い。
幸福な気持ちになります。
主人公の志桜里と半五郎が初めて出会う場面もいい。
〈ある朝、志桜里は庭に出て辛夷の蕾を見つめながら、
今年は辛夷の花が咲くのは遅いかもしれないと思った。
そのとき、男の声がした。
「辛夷の花はお好きですかな」
志桜里が振り向くと、生垣越しに着流し姿の半五郎が
立っているのが見えた。〉
物語の中で主人公は、こう語る。
「ひとが生きるとはおのれに与えられた宿命をおのれが
選びとったものとして歩み続けることではあるまいか。
ひとはおのれひとりのためだけに生きるのではなく、
この世を成り立たせる秩序を守ることによって、
親であれ、子であれ、周りの者を幸せにしていくの
ではないか、と思う。
自分自身の来し方を振り返っても、いままで生きる
ことができたのは親の慈しみがあってこそで 、だからこそ、
この世を美しいと思えるのではあるまいか。だとすれば、
自らの定めと向かい合うことは、避けてはならない務めで
あるように思える。」
昔も今も人は変わらない。
幸福な気持ちになります。
主人公の志桜里と半五郎が初めて出会う場面もいい。
〈ある朝、志桜里は庭に出て辛夷の蕾を見つめながら、
今年は辛夷の花が咲くのは遅いかもしれないと思った。
そのとき、男の声がした。
「辛夷の花はお好きですかな」
志桜里が振り向くと、生垣越しに着流し姿の半五郎が
立っているのが見えた。〉
物語の中で主人公は、こう語る。
「ひとが生きるとはおのれに与えられた宿命をおのれが
選びとったものとして歩み続けることではあるまいか。
ひとはおのれひとりのためだけに生きるのではなく、
この世を成り立たせる秩序を守ることによって、
親であれ、子であれ、周りの者を幸せにしていくの
ではないか、と思う。
自分自身の来し方を振り返っても、いままで生きる
ことができたのは親の慈しみがあってこそで 、だからこそ、
この世を美しいと思えるのではあるまいか。だとすれば、
自らの定めと向かい合うことは、避けてはならない務めで
あるように思える。」
昔も今も人は変わらない。