小説「新・人間革命」
【「聖教新聞」 2012年 (平成24年)3月30日(土)より転載】
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o☆:*:.♪o☆:*:.♪o☆:*:.♪
薫風53(3/30)
山本伸一の佐賀県訪問の三日前、外出から戻ってきた徳永竹代は、息を弾ませながら、夫の明に告げた。
「よかもん、あったよ! 贈答品販売店の店頭に、師子の像があったよ!」
翌日、徳永明は、その店を訪ね、店員に、師子の像を購入したいと語った。
店員の答えは、「あれは売り物ではございません」と、にべもなかった。必死に頼み込んだが、「ご冗談を」と言って、取り合おうとはしない。それを見ていた社長が、徳永を奥に招き入れて言った。
「あれは、店のシンボルとして置いているので、お売りできませんが、三カ月あれば、同じ像を、名古屋の工場で作らせますよ」
「そがん待たれんとです。五月の二十四日には搬入したかとです」
社長は、なぜ、それほど、この像がほしいのか、理由を尋ねた。
徳永は、創価学会の佐賀文化会館が落成したので、そこに寄贈し、尊敬する師匠である、会長の山本先生を迎えたいと語った。
社長は、「そうですか。山本会長は立派な方と聞いています」と言って頷いた。
そして、「最近、ある方から、これと同じ像の注文があって、それは、既に出来上がって倉庫にあります。早急に必要なら、その注文主の方と話し合って、先方が了承すれば、それを回せます」と言ってくれたのだ。
社長は、その場で先方に電話し、徳永に代わった。徳永は事情を話し、「ぜひ、師子の像を譲ってください」と懸命に頼んだ。
「わかりました。そういう事情でしたら、喜んでお譲りします」と快諾を得た。
徳永は“万歳!”と叫んで、小躍りしたい気持ちであった。
師子の像は、二十四日に、無事に佐賀文化会館に搬入され、ロビーに置かれた。
一人立つ、威風堂々とした師子からは、正義の咆哮が轟くようであった。それは、徳永の「師子」の誓い、すなわち「師匠」と「弟子」の、生涯共戦を誓う証であった。
☆:*:.♪o☆:*:.☆:*♪☆:☆
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店員の答えは、「あれは売り物ではございません」と、にべもなかった。必死に頼み込んだが、「ご冗談を」と言って、取り合おうとはしない。それを見ていた社長が、徳永を奥に招き入れて言った。
「あれは、店のシンボルとして置いているので、お売りできませんが、三カ月あれば、同じ像を、名古屋の工場で作らせますよ」
「そがん待たれんとです。五月の二十四日には搬入したかとです」
社長は、なぜ、それほど、この像がほしいのか、理由を尋ねた。
徳永は、創価学会の佐賀文化会館が落成したので、そこに寄贈し、尊敬する師匠である、会長の山本先生を迎えたいと語った。
社長は、「そうですか。山本会長は立派な方と聞いています」と言って頷いた。
そして、「最近、ある方から、これと同じ像の注文があって、それは、既に出来上がって倉庫にあります。早急に必要なら、その注文主の方と話し合って、先方が了承すれば、それを回せます」と言ってくれたのだ。
社長は、その場で先方に電話し、徳永に代わった。徳永は事情を話し、「ぜひ、師子の像を譲ってください」と懸命に頼んだ。
「わかりました。そういう事情でしたら、喜んでお譲りします」と快諾を得た。
徳永は“万歳!”と叫んで、小躍りしたい気持ちであった。
師子の像は、二十四日に、無事に佐賀文化会館に搬入され、ロビーに置かれた。
一人立つ、威風堂々とした師子からは、正義の咆哮が轟くようであった。それは、徳永の「師子」の誓い、すなわち「師匠」と「弟子」の、生涯共戦を誓う証であった。
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