3月 22日

2018-03-21 17:52:24 | Weblog
             (  椿・落椿・白椿・紅椿・乙女椿・藪椿  )



伊吹晴れ母なき庭の白椿             栗田やすし



落椿墓の鉄扉の錆流れ              細見綾子



落椿毛布身体の容に寝る             沢木欣一



春の雪乗せて椿の紅滲む             武藤光晴



通り雨去来の句碑に落椿             沢田充子



苔庭に落ちて紅濃きやぶつばき          鈴木美登利



禅寺の沓脱石に落椿               山下善久



あをあをと多度の山並椿咲く           河合義和



蜜吸ふて野猿の放る藪椿             平松公代



白椿さいごの一輪ころげ落つ           加藤都代



雪椿床に戊辰の刀疵               市原美幸



参道に雪解の椿濡れそぼつ            小島千鶴



紅椿音なく散れり花袋の居            岩上登代



蹲踞に白玉椿しだれ咲く             夏目悦江


おびただし踏絵の寺の落椿            篠田法子



椿見て一日雨の加賀言葉              森 澄雄



端座して師とあるこころ白椿            柴田白葉女






          


          


           乙女椿


          


           藪椿


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 21日 (春分の日)

2018-03-20 17:14:56 | Weblog
             (  蒲公英・鼓草・たんぽぽ・藤菜・白花たんぽぽ  )



蒲公英や石垣匂ふ海のふち             沢木欣一



縄文の土葺き屋根に鼓草             栗田やすし



しあはせに短かたんぽゝ昼になる         細見綾子



たんぽぽや寝ころんで見るグライダー       関根切子



たんぽぽの鮮やかな黄よ塩の道          小島千鶴



川べりの蒲公英摘んで母見舞ふ          垣内玲子


      
たんぽぽの野となる弥生古墳塚          田畑 龍



たんぽぽや画板の下に小さき膝          服部鏡子



道の辺に狸の墓や鼓草              市江律子



幼児の摘みし蒲公英丈短か            笹邉基子



蒲公英の咲き満つ木曽の番所跡          塩原純子



たんぽぽや城址に歩兵連隊碑           池村明子



蒲公英を手に散歩より妻帰る           牧田 章



スキップやたんぽぽの束にぎりしめ        井沢陽子



廃校に子らの手形や鼓草             中村たか



閉店の貼り紙茶屋に鼓草             東口哲平



たんぽぽの野に蹴り返すゴムボール        利行小波



たんぽぽの土手に双子のベビーカー        小田二三枝



経蔵は校倉造り鼓草               廣島幸子



深吉野の畦の蒲公英茎太し            河村惠光



たんぽぽや御願所際に基地フェンス        平 千花子




         



             白花たんぽぽ





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 20日

2018-03-19 17:50:04 | Weblog
           (  辛夷・幣辛夷・姫辛夷・やまあららぎ・田打桜・四手こぶし  )



山に辛夷田打ちはじまる北陸路          細見綾子



雨上がりたる本陣の花辛夷            栗田やすし



昼月のまぎれて高き辛夷かな           山田みづえ



五箇山やつぼみ犇めく幣辛夷           巽恵津子



花さびし辛夷の並木夕陽さす           石垣敦子



三分咲くこぶしの花や発願寺           近藤めぐみ



花辛夷信濃の空の青さかな            橋本紀子



天険に統合校舎辛夷咲く             神尾朴水



谷底の平家の村や花辛夷             早川文子



花こぶし咲き満雨の寒山寺            松本恵子



行商の乗り継ぐ駅や花こぶし           八尋樹炎



花こぶし窓開け放ち初講義            高田栗主



雲晴れて富士山麓のしでこぶし          小田二三枝



鍵の手の残る宿場や花辛夷            奥山ひろみ



牛臭き風にほぐるる幣こぶし           上杉美保子



夕ぐれの空が明るし花辛夷            関根近子



木曽馬の瞳に映る花こぶし            下山幸重



いつの間に風冷えて来し辛夷かな         星野立子



風摶つや辛夷もろとも雑木山           石田波郷




          


             幣こぶし
           
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 19日

2018-03-18 19:47:27 | Weblog
              (  初桜・初花  )



咲かんとす葉のうすみどりなる桜        細見綾子



いちにちのはじまる冷えの初桜          岡本眸



一花よりみなぎる力初桜             稲畑汀子



肩かるく叩く励まし初ざくら          河原地英武



降り出しの雨に色濃し初桜           下里美恵子



夫の忌を二日過ぎたる初桜           菊山静枝



初桜やはき日差しの宮詣り           橋本紀子



初花やコップ酒置く父の墓           雨宮民子



少し笑む父の遺影に初桜            倉田信子



三味の音にさくらほつほつ野文楽        都合ナルミ



初桜皿に浮かせて供華とせり          上杉美保子



婚の荷の発ちて桜のほころびぬ         清原貞子



初桜蕾したがへ楚々として            佐藤 ともえ



年経たる樹のしづけさの初桜           鷲谷七菜子



あけぼのの薄紙いろに初桜            千々松洵子







コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 18日

2018-03-17 18:46:33 | Weblog
                 (  彼岸・彼岸入り・彼岸寺  )



ぜんまいをねんごろに煮て彼岸入         細見綾子



父母の墓訪はず過ぎたる彼岸かな         栗田やすし



彼岸寒旅の荷を解く青畳             武田稜子



彼岸僧見てきたやうに地獄説く          森 靖子



帰るたび母小さくなる彼岸かな          関根切子



はらからの耳しひばかり春彼岸          山下智子



歌麿の春画積まれて彼岸寺            岸本典子



大屋根に雀の遊ぶ讃仏会             谷口千賀子



うらがへる高き法螺の音彼岸寒          中斎ゆうこ



塔頭の風鐸鳴れり彼岸寒             中本紀美代



印帳の墨字匂へり彼岸晴             辻江けい



彼岸会の女三人寄席に入る            片山浮葉



新聞にくるむ春画や彼岸市            上杉和雄



足裏見せ見得切る木偶や彼岸寒          岩崎喜子



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 17日

2018-03-16 16:30:34 | Weblog
                (  白木蓮・紫木蓮  )




伊豆晴れて白木蓮に雨しずく           栗田やすし



木蓮のため無傷なる空となる            細見綾子



うら返るほどに咲きみち紫木蓮           金城千代



傷ひとつなきまま崩る白木蓮           大島知津



白木蓮昏れて當麻に水の音            山本光江



紫木蓮吉祥天に開き初む             中川幸子



得度式白木蓮の風匂ふ              後藤暁子



紫木蓮ほぐるる女身仏の前            小島千鶴



弐番館と言ふマンションや紫木蓮         坂本操子



白木蓮にはかにまぶし雨上り           中山敏彦



ひとひらを朝日へほぐし紫木蓮          伊藤範子



はくれんの角を曲がれば母の家          山口耕太郎



白れんの揺れに遅れて風の音           松井徒歩



はくれんや咲き揃ふ間にさび兆す         横井美音



戒名は真砂女でよろし紫木蓮            鈴木真砂女



木蓮の風のなげきはたゞ高く            中村草田男




         
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 16日

2018-03-15 18:35:23 | Weblog
               (  連翹・いたちぐさ  )



連翹や一日富士の裾かすむ              栗田やすし



連翹が色めきわたり明日を待つ            細見綾子



連翹や焼杭を打つ宇治の院               沢木欣一



連翹を戸口に峡の一戸かな              夏目隆夫



咲きみちて連翹の枝地を這へり            佐藤きぬ



連翹や昼食匂ふ保育園                武藤光晴



連翹や富士を遠くに一里塚              小田二三枝



咲き満ちて連翹風に逆らはず             伊藤旅遊



連翹を四囲に咲かせて検問所             中山ユキ



連翹の道分け入つて水車小屋             角田勝代



図書館の窓連翹の花明かり              谷口千賀子



連翹や蛭ケ小島は石ばかり               林 徹



童画展連翹の黄がここに撥ね              福永耕二
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 14日

2018-03-13 19:29:13 | Weblog
               (  卒業・卒業式・卒業生・卒業試験  )



外套の裾ほころびて卒業す            栗田やすし



卒業の金髪少女日本の名             沢木欣一



卒業や手擦れの一書師に返し           河原地英武



卒業歌をとめらの帯胸高に            三井あきを



花束を小さく振れり卒業子            水野時子



泣き虫の声変はりして卒業す           岡部幸子



賛美歌につつまれて娘ら卒業す          金原峰子



受話器より大人びし声卒業す           矢野愛乃



肩寄せて落書きを消す卒業子           村田和佳美



父に似る鼻筋凛と卒業す             磯田なつえ



卒業式体育教師大泣きす             服部達哉



ランドセル何度も撫でて卒業す          工藤ナツ子



雲流る卒業証書筒に古り             小長哲郎

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 13日

2018-03-12 19:38:09 | Weblog
               (  大根の花・花大根  )



大根の花咲く十坪ほどの庭             栗田やすし



大学の庭の大根花咲けり              沢木欣一



春雷を二三日して大根花              細見綾子



花大根山二つ越え祖父の墓             栗木登代子



花大根濡らす岬の怒涛かな             岡野敦子



南吉のきつねの話花大根              江本晴子



灯台へ続く小径や花大根              菊池佳子



花大根咲き紫に日暮たる              中山ユキ



花大根大寺の畑埋めつくす             武藤光晴



ポンプ井戸残る畑や花大根             横井美音



二十の戀五十の戀や花大根              石塚友二



岬への単線をどる花大根               林 翔




                
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

3月 12日

2018-03-11 19:12:38 | Weblog
                  (  牡丹の芽・芽牡  )



早起きの妻のけはひや牡丹の芽          沢木欣一



牡丹の芽筆ほどといふしか思ふ          細見綾子



武蔵野の土やはらかし牡丹の芽          栗田やすし



紅濃かり綾子愛せし牡丹の芽           国枝隆生



忌を修す母の牡丹の芽に屈み           都合ナルミ



細竹で囲みて守る牡丹の芽            相澤勝子



菰解きて日ざしあふるる牡丹の芽         倉田信子



忌明けの雨にほつるる牡丹の芽          内田陽子



臥す夫が牡丹の芽吹き問ふてをり         八尋樹炎



鎌倉の古き土より牡丹の芽            高濱虚子



牡丹の芽青ざめながらほぐれけり         加藤三七子
  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする