11月 20日

2017-11-20 04:23:05 | Weblog
               (  北風(きた)・冬の風・朔風・寒風・大北風  )



寒風に垂るボロボロの旧軍旗           栗田やすし



友の子や眉宇父に似て寒風へ           細見綾子



獄の門出て北風に背を押さる            秋元不死男



笊盛りの貝に水打ち北風哭けり           岡本眸



荒北風に飛ぶ拝願所の紙線香           都合ナルミ



軒先の簓鳴らして北風過ぐる           横井美音



海へ出る北風の鳴りづめ兵舎跡          国枝隆生



北風に声の飛び交ふ午後の糶           早川文子



北風や身振り大仰包丁師             武藤光晴



きりきりと昇る連凧北風はらむ          金田義子



北風強し耳ふせて犬ひた走る           藤田映子



寒風に顔ちぢまりて吾子戻る            中嶋秀子



寒風の土へ掘り出す紅かぶら            福田甲子雄



クレーンの滑車軋ませ北風吹けり          こころ
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11月 19日

2017-11-19 05:04:32 | Weblog
                    







(  冬菫・寒菫  )



教会の庭に屈めば冬すみれ           栗田やすし



言葉少き日の縁下の冬すみれ          細見綾子



勝ち牛も負け牛も踏む冬すみれ         石 寒太



墓を守る歪なクルス冬菫            尾田明子



冬すみれ咲く王陵の珊瑚垣           倉田信子



燭揺るるガラシャの墓や冬すみれ        松原 香



冬すみれ八雲ゆかりの猟師町          矢野愛乃



赤土の崖すそ冬のすみれ咲く          金田義子



アスファルト割つて一列冬すみれ        千葉ゆう



やすし句碑裾に二輪の冬すみれ         奥山ひろみ



磐石の割れ目に咲きて冬すみれ         津田清子



ふるきよきころのいろして冬すみれ       飯田龍太



椅子ひとつほどの日溜り冬すみれ        こころ




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11月 18日

2017-11-18 05:20:51 | Weblog
               (  八手の花・花八手  )



炭を切る筵明るし花八ッ手           沢木欣一



空広く声たまにくる花八ツ手          細見綾子



日の落ちて土の香しるき花八手         片山由美子



暗きより牛が貌出す花八手           下里美恵子



白壁の剥げし味噌蔵花八ツ手          関根近子 



あと幾度訪ふ故郷や花八ツ手          小長哲郎



爪立ちて玻璃拭く巫女や花やつで        小田二三枝



婆ひとり残る喪の家八ツ手花          山 たけし



猫出入り自在の地窓花八手           伊藤範子



花八手活く煤色の野焼壺            玉井美智子



どの路地のどこ曲つても花八ッ手        菖蒲あや



君発たせ来し駅裏の花八ツ手          寺井谷子
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11月 17日

2017-11-17 03:54:27 | Weblog
             (  葱・葱畑・根深汁・根深引く・根深・ひともじ  



青葱を藁囲ひして不破の関         栗田やすし



二人居の一人が出でて葱を買ふ       細見綾子



ことごとく折れて真昼の葱畑         鷹羽狩行



葱を引く媼に余呉の夕日濃し        山本光江



窯詰めを終へたる夜の根深汁        武田稜子



漉き土間に朝採りの葱泥まみれ       栗田せつ子



ボーナスに縁なきくらし根深汁       国枝隆生



税務署の帰り根深を買ひにけり       井沢陽子



根深汁静かに老いて味深し         丹羽一橋



御油並木裏あをあをと葱畑         鈴木真理子



神輿蔵前ひと畝の葱の青          伊藤範子



友訪わむさかさに提げて葱青し        寺山修司



下仁田の土をこぼして葱届く         鈴木真砂女




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11月 16日

2017-11-16 04:11:10 | Weblog
                (  大根・大根畑・大根売・大根引く  )



一畝の大根を引き息切らす            栗田やすし



うつし世をかなしみゐたる大根煮て        細見綾子



伊勢大根斎宮趾に肥えにけり           阿波野青畝



大根おろし御飯にかけて山暮し          金子兜太



二畝の大根育て硯彫る              栗田せつ子



目が合ひて狸逸れゆく大根畑           清水弓月



道問ふて婆より貰ふ丸大根            小栁津民子



農学生泥大根を持ち帰る             太田滋子



幼子の掛け声ばかり大根引く           市川克代



弁柄に置屋の名残大根売る            森 靖子



泥大根提げて観音参りかな            上田博子



大根の青首のぞく 安宅関             伊丹三樹彦



大根の湯気をゆたかに煮て喪中           鷹羽狩行




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11月 15日 (七五三)

2017-11-15 04:50:38 | Weblog
                (  七五三・七五三(しめ)祝・帯解・千歳飴・袴著  )



飴袋黒土擦つて七五三           沢木欣一



神馬いま百歳となる七五三          阿波野青畝



袴着も戎の宮の顔なじみ           平畑静塔



祝詞聞く子らの真顔よ七五三         神尾知代



児の足袋の爪先余る七五三          中山ユキ



唇に綿菓子つけて七五三           奥山ひろ子



袴著の男の子つまづく神の庭         矢野愛乃



七五三小さき嫁後となりにけり        伊坂壽子



帯解や雨の中打つ宮太鼓            石橋秀野



かくも小さき白足袋ありし七五三        林 翔



花嫁を見上げて七五三の子よ          大串 章



小さき手の小さき拍手七五三          こころ






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11月 14日

2017-11-14 03:48:09 | Weblog
                (  枇杷の花・花枇杷  )



妹病めりガラス戸越しの枇杷の花          沢木欣一



歳月の屋根のなだれを枇杷咲けり          細見綾子



鉄橋の影が白洲に枇杷の花              飯田龍太



病む妻に嘘いくつ言ふ枇杷の花            能村登四郎



枇杷の花久女の里の昏れはやし           栗田せつ子



寄木屋の木屑の匂ひ枇杷の花            国枝洋子



一葉の柔き筆あと枇杷の花             武藤光晴



ふるさとの路地に迷へり枇杷の花          矢野孝子



裏木戸に人来る気配枇杷の花            下里美恵子



花枇杷の枝が張り出す休め畑            北村美津子



車なき島の暮らしや枇杷の花            斉藤陽子



無住寺に人来る日あり枇杷の花            大峯あきら



枇杷咲きぬ面影知らぬ生母の忌            林 翔
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11月 13日

2017-11-13 03:41:41 | Weblog
             (   藪巻・菰巻・菰巻く  )



東京の名園、六義園で見かけた菰巻き、菰巻きはマツカレハなどの害虫から守るために、
松の幹に藁でできた菰を巻きつける。啓蟄にこの菰を越冬した虫とともにはずす
のが恒例になっているようです 写真の菰巻きには結び目に縄で飾りがしてありました
また藪巻きとも呼ばれ躑躅や桜の若木をぐるぐる巻きにされている物もあります
菰巻き・藪巻きは冬の、菰はずしは春の季語になっています




藪巻や晴を見にゆく日本海             森 澄雄



菰巻をしてことごとく傾ぎけり           藤本美和子



菰巻かれ三河黒松獣めく             下里美恵子



菰巻くや亀甲荒き松の幹             小田二三枝



木賊にも藪巻したる陸奥の寺           近藤文子



藪巻や飾り結びの一と並び            平松公代



菰巻の結ひしばかりの縄匂ふ           内田陽子



腰高に菰巻く松や皇居前             内藤雅子



藪巻の松千本や法隆寺               細川加賀



藪巻を覗きたる鼻濡れにけり            大石悦子



菰を巻く仕上げの縄の花むすび          こころ






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11月 12日

2017-11-12 04:08:32 | Weblog
                  (   小春・小春日・小六月  )



若き日の友の文読む小春かな          栗田やすし



小春日や青き蝗の生き残り           沢木欣一



めがね拭くことを幾度も小春かな        細見綾子



祖母山も傾山も小六月              黒田杏子



奈良小春茶房に買へり干支ねずみ        谷口千賀子



小春日や案内板に五カ国語            関根切子



乳母車連なつてゆく小春かな          北村美津子



叺干すそば屋の庭や小六月           岸本典子



木洩れ日に羽虫の光る小六月          武藤光晴



繕ひの漁網の嵩や浦小春            小栁津民子



小春日や孤りかたぶく十字墓           石田 波郷



積み替へし堆肥匂ふや小六月           松倉ゆずる
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11月 11日

2017-11-11 04:46:43 | Weblog
                    (  茶の花  )



茶の花に届きてゐたり窯の影           栗田やすし



日を恋ふるこれからか茶の花を挿し        細見綾子



茶の花にほのとゆくての夕がすみ          飯田龍太



茶の花のかなた夜明けの桜島            佐川広治



茶の花のほつほつ咲いて事無き日         下里美恵子



茶の花や絵馬剥落の舞楽殿             近藤文子



茶の花のほのと香れる宇治の寺           松平恭代



茶の花が咲けり芭蕉の故郷塚            小島千鶴



茶の花や旗屋に墨の匂ひ立つ            服部鏡子



茶の花や打ち解けやすき湯治客           朝比奈照子



五六軒づつの山家やお茶の花             竹中 一藍



蝶低くさらに低きをお茶の花             渡辺桂子




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