こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2014年12月25日 木曜日 今夜贈るべき音楽

2014-12-26 00:40:55 | 音楽帳

今日、一つのヤマ的仕事を終えて、実質年内の仕事は終えた。
師走も下旬に入ると、やっと正気に戻ったかのような意識の静寂がおとずれる。

日記兼スクラップみたいなものを書き貼りしてきたが、リアリティがない。
そこでここ数週うろつく中で、再度ダウンサイジングしたA6大のノートを買った。
大竹伸朗さんは(に限らないけど)サイズが小さいものから巨大サイズまで様々なサイズの作品がある。

要は一定のフレームやキャンバスには無理がある。
今はA4でも何かしっくりこない。
それはプロとか素人というくくりでは無い。
それは、アラーキー(荒木経惟さん)が接写やら遠景まで、生理次第で移ろっていく様に似ている。

年末だから、というわけでは無いのだが、貯め込んだゴミを捨てる方向に向かっている。
それは、エコや社会や経済とは無縁な個人的生理。

ノートをまるで核のように小さくすると、自然とそこに貼れるものは制約を受ける。
すると、ゴミやチラシからどこのパーツを選ぶかの位相が変わる。
自然と捨てる部分が多くなる。

散乱したCD、本、チラシ類をある程度のけて、座布団一枚とつくえの上のスペースを確保すると、そこに一時的な小さな作業場が出来上がる。
今週に入ってからは、地べたの大きなサイズは必要が無くなった。

過去から、こんなコックピットみたいな空間に入ると気持ちが落ち着く。
ハロゲンヒーターを点けて、座してつくえに向かいたばこをふかし、うすーいお湯割りを呑み、音楽を聴く。
ノートにペンを走らせ、小さいものたちをしげしげ見ていると、生きていける気がしてくる。(まるで、安部公房さんの「箱男」)

よく広い空間や家に住むシーンを映して、あたかも幸福感・ぜいたくを示す広告(=プロパガンダ)が多くあるが、それを幸福とは決して思わない。
たぶん、それは生理やバイオリズム次第で変わっていくんだろう。

2014年に出会えた音楽との幸福を、振り返れるだけの神経に不思議となった。
それはコンピレーションCDを創ったおかげであり、確かに年の瀬が人に運ぶ恩恵だと思う。

多くの人たちが不幸に見舞われた。へたな同情では無くて、それを痛々しく想う。
たくさんの大事な人を今年も失ってしまった。
かつて、我々こそが生きて変えてやるぜ、という気概があった80年代を想いつつ。

しかし、いまさらそれで絶望には立たない。
本質的な絶望など、とうに涅槃を過ぎてしまったのだから。

それでも絶望を、これからも抱くだろう。
決してペシミストと一語で済ませられる者でも、当方は無い。

先週から、ニコニコ動画で山下達郎さんの過去のライヴを聴いていた。
そこで「希望という名の光」が掛かった。

この曲名といい、内容といい、ジャケットといい、まるで3・11を指しているかのような歌だが、この名曲はその前の年2010年の作品。
自分は、肝臓を壊して、石ころのようになって、室内で立ち上がれず転がっていた頃、耳にしていた曲。そして、3・11の頃繰り返し聴いた曲。

このニコニコ動画のライヴでは、達郎さんにしては珍しく長い長い語りが入る。
そこには友人であるサザンの桑田氏のガンのことや、スタッフの自殺等が絡み合いながら、語らずには済ませられない、と言って話す。

音楽は何かの役に立つのか?
彼が自分自身に問うかのような独白が続く。
それは、かつて渋谷陽一さんのサウンドストリートが終わることになった回に語ったことと、自分の中で交錯する。

「蒼氓」から「希望という名の光」への流れ。
音楽は人に希望を運ぶ、しかし人を(社会的に)救うことは出来ない。
だけど、自分には音楽で何かを伝えるしか出来ないし、これからもそれは変わらないだろう。

人に不幸や絶望が降りてくることは、誰にも分からないし、それを回避できる手段・特効薬は無いだろう。
それでも、自ら死んではならないのだ。それでも支え合って生きていくのだ。

そう達郎さんは、珍しく熱く語る。
自らのことを言葉にしない彼が吐露した想いの発露に出会い、年々自由を手に入れると共にしんどくなっていく自分に何かを改めて言い聞かせた。

今夜贈るべき歌は自分にとって、彼の素晴らしいクリスマス曲ではない。

■山下達郎 「蒼氓(そうぼう)」1988■








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