こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

音盤日誌:ニューウェイヴ・カセットシリーズ 1991春 B面

2022-04-07 23:00:00 | 音楽帳



このカセットは約30年前・90年代の初めに作ったもの。社会に出る船出の2〜3月、変節の冬~春にエアチェックし、よく鳴らしていたテープ。
B面
1/ホール&オーツ「Don't Hold Back Your Love」1991
・1990年発表のアルバム「チェンジ・オブ・シーズン」からのシングルカット。アルバム発表は1990年だが、シングルは1991年に切られたものになる。80年代アタマに出会ったホール&オーツも90年代を迎え、この時点でもかなりロック/ポップス世界のメンツが大幅に入れ替わり・・・この曲もビルボードでは41位という結果だった。しかし、ダリル・ホールの徐々に熱くなっていくこのヴォーカルを聴けば、「セールスなんてどうでもいい」という気持ちになる。クロスオーバーイレブンで偶然に出会った1曲、カシャカシャ言うギターの音が実に春っぽい名曲。

■Daryl Hall & John Oates 「Don't Hold Back Your Love」1990■


2/モリッシー「Our Frank」
3/モリッシー「Found Found Found」
4/モリッシー「Driving Your Girlfriend Home」
5/モリッシー「Mute Witness」
6/モリッシー「(I'm) The End of the Family Line」

・「ザ・スミス」が大好きか?と言われると、答えに困る。正直「ロック」は得意でも無かったし、当時はロックという概念そのものに嫌悪していた。一応「ロック」という圏内にいたスミスをストレートにファンと言い切れなかった。音そのものより、主義主張や背景が分からぬもどかしさがあった。英語がわからず、生活者としてのイギリス文化に詳しくなかった、という点にも引っ掛かりがあった。スミスには大好きな曲も思い入れもたくさんあるが、彼らが隆盛を極めたイギリスの社会情勢や彼らを取り巻く状況がわからぬ自分は、モリッシーの歌詞を臨場感を持って正確に捉えられなかった。当時も今もそんな不完全な感触が残っている。
・それに比べて、1991年3月発表のアルバム「Kill Uncle」は肩ひじ張らずに聴くことが出来る。スミスからも80年代からも放たれ、距離を置いて発表されたこのアルバムとの出会いは、余計な情報が無かったのが幸いした。渋谷陽一さんのNHK-FM番組(すでにサウンドストリートは終了しており、違う名前の番組)の新譜紹介で聴くことができた。何曲かはうまく録音できずに逃したが、アルバム全10曲のうちの5曲をテープにエアチェックできたため、それをよく繰り返し聴いた。

「Driving Your Girlfriend Home」は、知り合いのガールフレンドを家まで送る途中、彼女は彼氏への愚痴を言い出し、泣きだしそうになるだが、彼は何もフォローできずにただただ家まで運転し、家の前で「またね」と別れる。そんな夜の1シーンを描いた曲。ゲイであるモリッシーらしい歌詞がワルツのような曲調の上でスイングする。静かに始まり、静かに終わっていく。
「(I'm) The End of the Family Line」=僕はこの家系の終わり、と言う悲劇的孤独に、つい共鳴してしまう。パターン化された世界観だが、モリッシーのとことんネガティヴで、世間世界に対する強烈な憎悪に、自分は自分の体内に共通するものを見い出し、重ね合わせる。
アルバム「Kill Uncle」はシングルカットされた「Our Frank」も分かりやすく、聴きやすいアルバムになっている。

■Morrissey 「Driving Your Girlfriend Home」1991■



7/ニューオーダー「Perfect Kiss(Live In Tokyo)」1985
・このフジフィルムの80分カセットテープには、そもそもニューオーダーの初来日ライヴが録音してあった。80年代には多くの来日ライヴをFMから録音して「貴重だから」という理由でコレクトしていたが、ほとんど聞かぬまま消してしまった。
ニューオーダーの場合は、1985年5月1日の初来日ライヴ現場(新宿厚生年金会館)とリアルタイムで結んだFM番組を、聴きながら録音したものだった。とてつもない演奏のヘタさに驚きと落胆を味わいながら、「それでも記念だから」と言う気持ちで、修行のようにして聴いていた。しかし、結果的にはほかのエアチェックに回す決断をして、上から被せる録音を行った。1985年から約6年後、このテープにモリッシーを録音したが「(I'm) The End of the Family Line」が終わったあと、むき出しにテープの下から出てきた未消去の「Perfect Kiss」の荒々しいへたくそさに奇妙な快感を覚えて、この曲を残すことにした。


8/ニューオーダー「State Of The Nation」1986
・この曲は、7を受けて「サブスタンス」という2枚組CDを借りて、その中からチョイスしたもの。珍しくラジオからの録音では無い。カセットテープの残り分数を埋める意味で付け足したもの。ニューオーダーは元々12インチシングルがバンドの進化の経過報告となっていたが、「サブスタンス」はニューオーダー立ち上げからの12インチを初めて集めた(当時は)貴重な作品集だった。アンダーグラウンドな場所から音楽シーンの真ん中に一歩飛び出し、それまでの活動を一度振り返ってまとめたものになる。
「State Of The Nation」は1985年来日の際に日本で録音された曲。当初は教授(坂本龍一)がプロデュースするはずが、日程スケジュール合わず、ニューオーダーと坂本龍一という意外な組合せは没になった。そんな経緯はともかく、この曲は未だに名曲です。

■New Order 「State of the Nation」 (12'' Version)1986■

9/ランドスケープ「アイシュタイン・ア・ゴー・ゴー」1981
・NHK-FM「サウンドストリート」の後継番組として放送されていた「ミュージックスクエア」で布袋寅泰さんが掛けてくれたものを録音。ランドスケープというバンドは、実はこのヒット曲しか記憶にない。1980年~の「ニューロマンティクス/フューチャリスト」ブームの頃に登場したバンド。90年代になってから彼らの3枚目(1982年)のLPと偶然出会い、中古屋さんで購入したが、ろくに聴いていない。


10/エイフェックス・ツイン「Pulsewidth」1992
・エイフェックス・ツインの国内初CD「Selected Ambient Works 85-92」より。
国内では1993年5月発売だから、たぶん93か94年に録音したもの。B面残り分数からこの曲にした。彼の存在を初めて知ったアルバムだが、生まれてこのかた一般的なポップスを聴かずに少年時代を送った、という彼の逸話は本当だろうか?そんな彼の自宅録音を集めた初の作品集。その3曲目「Pulsewidth」。元レベッカのノッコのソロに、この曲をほぼそのまま使用している曲がある。さかんにそのノッコの曲を「いいよ」としつこく勧める人がいたが、そちらの曲は好きではない。

Aphex Twin「Pulsewidth」1992

コメント
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