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こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2012年1月4日 水曜日 20120104 - ピンク・フロイド「タイム」 -

2012-01-04 14:32:41 | 音楽帳
過去の深夜のアダルトお色気番組の宣伝CMに、ピンク・フロイドの「タイム」の女性ヴォーカル部分だけが使われて、つい笑ってしまったことがあった。

性的情動だけにまみれる、という「人間らしい」隠れられる場所/シェルターで一生を過ごせれば幸福だろう。
このCMに「タイム」を選曲したスタッフの意図に、背景を知って入れたかどうかは不明だが。
かつて読んだ渋澤龍彦の「快楽主義の哲学」を思い出す。



***

1981年中学3年に兄から借りたLP「狂気(ザ・ダーク・サイド・オブ・ザ・ムーン)」。1973年作品。
LPからカセットテープに録音して聴いた。
インデックスカードに曲名をボールペンで書いたものの、アルバム全体、曲と曲は繋がれて、1つの物語となっていた。
次々と立ち現れる音、そしてSE・・・。
それまで「ザ・ウォール」とベスト盤「時空の舞踏」、そしてバラバラにかかったFMからエアチェックした曲を中心に聴いてきた自分には、この「狂気」は不思議な静けさを覚えた。
ロックでも無い。当時深く聴いていたタンジェリン・ドリームとも底では繋がる部分もある。
兄が教えてくれた。
「原題は、月の裏側。アポロの月面着陸の場面から来ている。」

当時「タイム」の歌詞は知らなかった。
それを教わったのはMZ師からだった。「こんな人生の御法度な歌詞とは・・・」と確認した。

***

「時は金なり」という名言があるが、まさに生き物には時間という制約がある。
これは人間だけでも無く、この世の側に生まれ堕ちた瞬間とは、死へのスタート。
ピンク・フロイドの「タイム」は、その残酷な事実をありのまま記している。
それを知って、非常に痛かったと同時に、それ以降自分はその意図を汲んで、無駄なモノに付き合っているヒマは無いという体制に入った。

若い若いと思い、まだまだ人生はこれからさ・・・とノンビリしていると、あっという間に時が過ぎて「いつの間にこんな年が経ったのか?」と気付くがもう遅い。
そう「君はスタートを告げるピストルの音を聞き逃したんだよ」。
フロイドの歌詞は核心を突き過ぎている。
さらに追い打ちを掛けるように、フロイドはこう言う。

それを挽回しようと必死になるが、既に手遅れで、背後から死はやってきて君が亡くなったあとに残るは、書きなぐられた予定表。

***

そう。まさにその通り。
ゆえに・・・と自分が結論めいたところにたどり着いたのは、今を生きる、ということ。当たり前かもしれないが。
手遅れなど思っているヒマは無いし、そう卑下しても意味が無い。
時間への悩みは、中島義道さんの本を読んで影響を受けた部分も大きい。
「いつかやろう」などと人はよく思うことがあるが、そういうことを後に「やる」ケースは少ない。
今があるだけで「いつか」なんか、ありはしないのだ。

最後に「救い」を言うならば、肉体は確実に時がダメージを与えていくものだが、スピリッツは「タイム」から放たれており自由自在にタイムワープ出来る。

その1つの貴重な道具が音楽。
これは理念では無い。まぎれもない事実である。
コメント
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