こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

坂本龍一 「thatness and thereness」'80

2009-01-23 18:51:06 | 坂本龍一のサウンドストリート


80年に発売された「B-2UNIT」を購入したのは、中学2年生の頃だった。
当時、YMOキチガイだった自分は、YMO的な音を期待して、2800円で買ったLPにアセンとした。
当時、内容を知らないで買ったにしては、自分に課せられた課題は大きかった。

坂本龍一の背景をろくに知らなかったし、当時、LP2800円は、中学生にとっても大きな賭けだった。

「WAR HEAD」のシングルや「千のナイフ」に感動して知っていたので、それ的なものだろうと思っていたが甘かった。

LPをかけながら、自分はなんてものを買ってしまったんだろうかと、正直後悔した。
あの日の夕暮れを、僕はずっと、今でも、思い出せる。
あの三ノ輪の家の夕暮れを。

***

しかし、30年近く聴いているこのアルバムは、今では愛聴盤になっている。
坂本龍一は、YMO第2次ワールドツアーを企画した際に、同意していない。
元々、人前に出てプレイすることに、細野さんのバンド(=YMOという発想)に反感を覚えていた彼ならではの事件。
第2次ワールドツアーは、アメリカ・ヨーロッパを回り、大きな反響を得たツアーだが、彼らしく、というか、「いつもYMOの問題児=坂本」は、反対をした。
さらに、YMOを辞めると言い出した。

そのとき、引き換えに、セールスも無視して、俺のやりたいように1枚アルバムを創らせろ、というのが条件だった。
それをアルファ・レコードが条件を呑んで作ったアルバムが、この「B-2UNIT」である。



全曲素晴らしいが、というか実は坂本龍一の最高傑作と思っているが、過激で一番彼の持ち味を出しているアルバムだと思っている。

まだ、サウンドストリートも始まっていないし、まだ暗い頃の坂本龍一のロマンティシズムが全開である。

その中でも、初めてヴォーコーダーという器具を取り外してなまみのヴォーカルに取り組んだ曲が、この「thatness and thereness」である。
本人いわく、ルー・リードの「ベルリン」を聞いて、それが発火点になった模様。
下手とかウマイではなく、肉声を伝える、ということに関心を示した1曲。

心理学用語であるという造語、「そこにあること・そうであること」
学生運動で警察と対決した際のフラッシュやそういうシーンの記憶の断片が綴られている。
スロッビング・グリスルなど、当時、坂本龍一が傾倒していた、ニューウェィヴの過激派の影響を感じる。
ピアノを独りで弾くその姿に、自分は、いちころになった。
永遠に残る名曲だと思う。

コメント (9)
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