再び、友人MZ師の文章だ。
「僕のプラモデル」
小学4~5年頃、スーパーカーブームがあった。
カウンタックやフェラーリ、ポルシェ・・等々のスーパーカーにガキ共は憧れた。
カー消しゴムをボールペンのノックで弾き飛ばしてレースを競う遊びが流行した。
スーパーカーのカードやプラモデルを集めるのも流行っていた。
24分1スケールのプラモデルは割と手頃な価格だったので、子供の小遣いでも月に一つ位は買えた。
俺もカウンタックやポルシェのプラモデルを作った。
丁寧で細かい作業を持続する根気がなかったので、
必ず2~3箇所はセメダインのはみ出しや、パーツが折れたり失敗の個所が存在した。
俺は現実離れしたスーパーカーより、身近な国産のスポーツカーの方が好きだったのだ。
スーパーカーブームでも国産車のプラモデルはあまり店頭で見かけなかった。
70年代の国産スポーツカーは流麗なデザインが多く、今見ても格好良い。
セリカやスカイラインGTR、俺が特に好きだったのはフェアレディZだった。
流線型のボディにフェアレディ(貴婦人)の名の通り女性のような美しさも感じていた。
在る日、学校帰りの模型屋で珍しく24/1スケールのフェアレディZを見つけた。
俺は帰宅するなり、貯金箱の小銭を引っかき集めてこのプラモを手に入れた。
大好きなZの作成には、今までにはなく丁寧に気を使った。
部品を取り外し時で残る出っ張りは、サウンドペーパーで丹念に磨き、
一つ一つの部品の接合にも細心の注意を払った。
普段なら半日で仕上げるようなモノに1週間かけた。
(綺麗だあ・・・・)
白いボディのZが組み立て終わった時、俺は恍惚としていた。
出来映えは満足のいくもので、俺の作成した中では出色だった。
車のプラモには水で浮かせて貼るシールが付属されている。
そういう意味ではまだ完成はしていなかった。
俺もカウンタックやポルシェにはシールを貼ったが、Zには敢えて貼らなかった。
何も飾らない純白のボディは、一つの美として完成していると思ったからに違いなかった。
俺は本棚の一番目立つ場所にZを飾り、カウンタックやポルシェは奥に追いやった。
学校から帰り、このZを手に取って眺めるのが楽しかった。
当時、スーパーカーブームの影響でテレビでも車を取り上げる番組が多かった。
俺はたまたまGTレース(カスタマイズした市販車で争うレース)にZが出ているのを見た。
プラモと違って銀色ベースの車体だったが、ボンネットだけが濃紺にカラーリングされていた。
(格好いい・・)俺はその精悍なフェアレディZに心を奪われた。
自分のZのプラモを手にした時、
今までずっと完成された美だと思っていた純白のボディが、まだ改良の余地があるのでは・・
という邪念が沸々と沸き上がってきたのだ。
机の中に青い油性のマジックインクがあった。
このボンネットを青く塗ったら・・
俺は純白ベースのボディに海のように青いボンネットのZを想像した。
何だか物凄く格好良く感じられた。
試しにボンネット位の大きさの長方形を紙に書いてマジックで塗ってみた。
見事に均一な青で塗れた。
(よし、これなら大丈夫だろう・・)
俺は意を決してZのボンネットを青マジックで塗ってしまったのだ。
紙とは全く勝手が違った。紙のようにインクが直ぐに吸い込まれないので、
インクが浮き、ムラのある見苦しい青になった。
「ギャー!!どうしよう!どうしよう!!」
後の祭りだった。どんなに塗り直しても紙のように均一の色にはならない。
ベンジンで落とそうとしても油性のインクは容易には落ちない。
反って薄くぼやけた色になってしまった。
もう後戻りは出来ないのだ。俺は半べそをかきながら
もう一度、青マジックでボンネットを塗った。
俺は取り返しのつかない事をしたのだ。
色ムラがどうしても気になったので、始めは貼らなかったシールを
ボンネットのムラを隠すように貼ってみた。
チンドン屋のようになった。
手を入れれば入れる程、無残な姿に変わっていく。
俺はあきらめた。このZはラリーカーだ、と変な納得のさせ方も試みたが空しかった。
俺は本棚の奥にZを追いやって、カンタックを表に出した。
見るのが辛くなったからだ。
「僕のプラモデル」
小学4~5年頃、スーパーカーブームがあった。
カウンタックやフェラーリ、ポルシェ・・等々のスーパーカーにガキ共は憧れた。
カー消しゴムをボールペンのノックで弾き飛ばしてレースを競う遊びが流行した。
スーパーカーのカードやプラモデルを集めるのも流行っていた。
24分1スケールのプラモデルは割と手頃な価格だったので、子供の小遣いでも月に一つ位は買えた。
俺もカウンタックやポルシェのプラモデルを作った。
丁寧で細かい作業を持続する根気がなかったので、
必ず2~3箇所はセメダインのはみ出しや、パーツが折れたり失敗の個所が存在した。
俺は現実離れしたスーパーカーより、身近な国産のスポーツカーの方が好きだったのだ。
スーパーカーブームでも国産車のプラモデルはあまり店頭で見かけなかった。
70年代の国産スポーツカーは流麗なデザインが多く、今見ても格好良い。
セリカやスカイラインGTR、俺が特に好きだったのはフェアレディZだった。
流線型のボディにフェアレディ(貴婦人)の名の通り女性のような美しさも感じていた。
在る日、学校帰りの模型屋で珍しく24/1スケールのフェアレディZを見つけた。
俺は帰宅するなり、貯金箱の小銭を引っかき集めてこのプラモを手に入れた。
大好きなZの作成には、今までにはなく丁寧に気を使った。
部品を取り外し時で残る出っ張りは、サウンドペーパーで丹念に磨き、
一つ一つの部品の接合にも細心の注意を払った。
普段なら半日で仕上げるようなモノに1週間かけた。
(綺麗だあ・・・・)
白いボディのZが組み立て終わった時、俺は恍惚としていた。
出来映えは満足のいくもので、俺の作成した中では出色だった。
車のプラモには水で浮かせて貼るシールが付属されている。
そういう意味ではまだ完成はしていなかった。
俺もカウンタックやポルシェにはシールを貼ったが、Zには敢えて貼らなかった。
何も飾らない純白のボディは、一つの美として完成していると思ったからに違いなかった。
俺は本棚の一番目立つ場所にZを飾り、カウンタックやポルシェは奥に追いやった。
学校から帰り、このZを手に取って眺めるのが楽しかった。
当時、スーパーカーブームの影響でテレビでも車を取り上げる番組が多かった。
俺はたまたまGTレース(カスタマイズした市販車で争うレース)にZが出ているのを見た。
プラモと違って銀色ベースの車体だったが、ボンネットだけが濃紺にカラーリングされていた。
(格好いい・・)俺はその精悍なフェアレディZに心を奪われた。
自分のZのプラモを手にした時、
今までずっと完成された美だと思っていた純白のボディが、まだ改良の余地があるのでは・・
という邪念が沸々と沸き上がってきたのだ。
机の中に青い油性のマジックインクがあった。
このボンネットを青く塗ったら・・
俺は純白ベースのボディに海のように青いボンネットのZを想像した。
何だか物凄く格好良く感じられた。
試しにボンネット位の大きさの長方形を紙に書いてマジックで塗ってみた。
見事に均一な青で塗れた。
(よし、これなら大丈夫だろう・・)
俺は意を決してZのボンネットを青マジックで塗ってしまったのだ。
紙とは全く勝手が違った。紙のようにインクが直ぐに吸い込まれないので、
インクが浮き、ムラのある見苦しい青になった。
「ギャー!!どうしよう!どうしよう!!」
後の祭りだった。どんなに塗り直しても紙のように均一の色にはならない。
ベンジンで落とそうとしても油性のインクは容易には落ちない。
反って薄くぼやけた色になってしまった。
もう後戻りは出来ないのだ。俺は半べそをかきながら
もう一度、青マジックでボンネットを塗った。
俺は取り返しのつかない事をしたのだ。
色ムラがどうしても気になったので、始めは貼らなかったシールを
ボンネットのムラを隠すように貼ってみた。
チンドン屋のようになった。
手を入れれば入れる程、無残な姿に変わっていく。
俺はあきらめた。このZはラリーカーだ、と変な納得のさせ方も試みたが空しかった。
俺は本棚の奥にZを追いやって、カンタックを表に出した。
見るのが辛くなったからだ。