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サウジ石油施設への攻撃で原油生産半減 動向を注視、現状は石油危機になり得ず

2019-09-18 07:07:48 | 日記
サウジアラビアの石油施設が14日、何者かによる無人機の攻撃で爆発・炎上した。サウジアラムコや経済産業省関係筋によると、サウジアラムコの原油生産の半分相当の能力が数週間から数ヵ月間、失われる可能性がでてきた。これにより原油価格は、WTIが9月13日の54.9ドルから16日には61.8ドルと12.7%上昇、ドバイも足下で1割強急騰している。
今回の攻撃による原油生産への影響は570万BD分とされ、8月のサウジアラビアの原油生産量977万BDに対し58.3%、世界の原油供給量1億75万BDに対し5.7%を占める。こうしたことから海外では石油供給危機、国内では石油ショックの再来を懸念するむきもあるが、IEAは「市場には原油が十分供給されている」と強調。経産省は「国内に230日分超の備蓄があり、必要があれば備蓄の協調放出で必要な供給を確保する」としている。
第1次石油危機と現在を比べてみると、1次エネルギー供給に占める石油の比率がほぼ半減(1973年度77.4%、2017年度39.0%)している。近年は日本の原油輸入に占めるサウジへの依存度は高まっているものの、燃料油の内需が減退するなかで国家備蓄や民間備蓄、産油国共同備蓄などの備蓄制度が拡充。備蓄量のうち製品備蓄が全体の21.8%を占めるなど、「今後の動向を注視する必要はあるが、過去と現在の需給環境が大きく異なる。現状では石油危機にはなり得ない」(経産省)との見方が優勢となっている。

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