kintyre's Diary 新館

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映画『プリンセス・カイウラニ』を観て

2012-07-16 23:21:32 | アメリカ映画 2012

12-58.プリンセス・カイウラニ
■原題:Princess Ka'iulani
■製作年・国:2010年、アメリカ
■上映時間:98分
■字幕:松岡葉子
■観賞日:7月16日、新宿武蔵野館(新宿)

 

□監督・脚本・製作:マーク・フォービー
◆クオリアンカ・キルヒャー(カイウラニ王女)
◆バリー・ペッパー(ローリン・サーストン)
◆ウィル・パットン(サンフォード・B・ドール)
◆ショーン・エヴァンス(クライヴ・デイヴィーズ)
◆ジミー・ユィール(アーチボルト・クレグホーン)
◆ジュリアン・グローヴァー(テオ・デイヴィーズ)
◆レオ・アンダーソン・アカナ(リリウオカラニ女王)
◆オーシャン・カオウィリ(カラカウア王)
◆クロエ・クランプトン(エマ)
【この映画について】
ハワイ王朝最後の王女として現在も同地の人々に敬愛される、プリンセス・カイウラニの伝記ドラマ。ハワイの土地を狙うアメリカ人の策略と戦った彼女の姿を、その中で繰り広げられた悲しい恋を交えて映す。
『ニュー・ワールド』で注目されたクオリアンカ・キルヒャーが、エキゾチックな美貌を生かしてカイウラニを熱演し、王女の美しさと祖国を守る闘士の強さの双方を巧みに体現する。『トゥルー・グリット』のバリー・ペッパー、『アルマゲドン』のウィル・パットンなどの実力派が共演。ハワイの美しさを余すところなくとらえた映像にも魅了させられる。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】
1889年、ホノルルのイオラニ宮殿に初めて電気が引かれた夜、反王制派が反乱を起こした。騒ぎのなかハワイを脱出したカイウラニ王女は、父親アーチボルトとともにイギリスに向かう。
王女を迎え入れたのは、父親の旧友テオ・デイヴィーズとその家族。息子クライヴは王女の美しさに魅了されたのを隠すかのようにつっけんどんな態度を取るが、妹アリスは王女が抱える孤独を敏感に察する。王女はアリスに優しく話しかけられ、ハワイや亡き母親の思い出を語って聞かせる。アリスと一緒に寄宿学校で学び始めた王女は、人種差別に直面するが、彼女の慰めとなったのはデイヴィーズ兄妹だった。

やがて王女はいつの間にかクライヴと深く愛し合うようになっていく。そんなある日、王女はサンフランシスコで療養していたカラカウア王死去の報を受け取る。母親代わりに慈しんでくれた叔母リディアがリリウオカラニ女王となりカイウラニ王女を王位継承権第1位に指名する。リリウオカラニ女王が、新憲法を受け入れるように迫るサーストンやドールに屈しなかったため彼らはアメリカに軍事行動を取らせるよう画策するが、王女はそのことを知るよしもなかった。

王女がクライヴのプロポーズを受けたと知ったテオは、アーチボルトから送られた“王制崩壊”の電報を王女に見せないでいたが、ある日突然、王女のもとに父親が姿を現す。クライヴとの結婚に難色を示す父親から電報について問いただされた王女はテオを詰問。隠されていた電報を目にした彼女は故国ハワイを選び、クライヴに別れを告げる。
父親から王制崩壊の顛末とその後に起きたアメリカ軍による国民虐殺の詳細を聞かされた王女は、アメリカ大統領クリーブランドに暫定政権を支持しないように要請するためワシントンに向かう。最初の上陸地ニューヨークで会見した王女は力強いスピーチとエキゾチックな美貌、洗練された物腰で待ち受けていたマスコミを圧倒する。評判を耳にした大統領夫人から昼食に招待された王女は持ち前の機知と外交的手腕を駆使し、同席した大統領の懐柔に成功する。

だが王女が帰郷したとき、臨時政府が「ハワイ共和国」樹立を宣言。合併式典への出席を拒否した王女にサーストンが歓迎祝宴を主宰するよう依頼する。瓦解した王家の誇りを捨てろといわんばかりのサーストンの要求を受け入れる王女だが、心の中にある決意が芽生えていた……。

日本人が最も親しんでいる海外旅行先がハワイであるのは疑いの無い所で、そのハワイには王朝(1795-1898)が約1世紀存在していた。ハワイに行ったことがある人には分かるだろうが、ホノルルの地名やホテル名にハワイ王朝ゆかりの名前が付けられていて、この映画の主人公「カイウラニ王女」の名前もホテル名になっていて日本人が泊るホテルとしても有名だ。
そのカイウラニ王女だが、母が王女で父がイギリス・スコットランド地方出身の混血美女である。映画では冒頭でクーデターが発生した場面が描かれ、王女が命からがら父の祖国イギリスへと逃れることになる。イギリスではハワイの王女の肩書も関係無く一生徒として学校に通いながらも、ハワイ王室の血筋を引いていることを忘れることはなく、カラカウア王の死に伴い米国へ渡り大統領夫妻と会うなど若いながらも積極的に祖国の為に動く。だが、やはり時代の変化にハワイが呑み込まれ王国は崩壊して、王女も23歳の若さで亡くなった。

映画ではこうして王女が成長してからスコットランドへ滞在して米国へと渡って帰国するまでを描いているのだが、幼少期の年代が僅かしか描かれておらず、いきなり政変に巻き込まれて出国する場面からのスタートは唐突過ぎる感じだった。
それでもスコットランド滞在中の映像とイオラニ宮殿内での映像は良いアクセントになっていたが、肝心のストーリーとしては王女の恋愛話も、ラストで繋がってくるのだが「燃えるような恋」では無く中途半端な印象は否めない。また、主演のクオリアンカ・キルヒャーのエキゾチックな顔立ちは良かったのだが、彼女自身が無名に近い女優であり脇を固めるべきベテラン俳優もサーストン役で「トゥルー・グリット」に出演していたバリー・ペッパーが多少知られている程度だったのは残念だ。

ハワイ王国が消滅するころの話なので、ハワイの歴史の一部を知る手掛かりとしての映画と考えれば良いと思う。


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