kintyre's Diary 新館

野球(西武ファン)や映画観賞記等を書き綴っています。野球のオフ期には関心の高いニュース等も取り上げています。

映画『スウィッチ』を観て

2011-12-16 17:28:36 | ヨーロッパ映画

11-85.スウィッチ
■原題:Switch
■製作年・国:2011年、フランス
■上映時間:100分
■料金:1,000円
■鑑賞日:12月14日、新宿武蔵野館
 


□監督・脚本:フレデリック・シェンデルフェール
□脚本:ジャン=クリストフ・グラジェ
□撮影:ヴィンセント・ガロ
□音楽:ブルーノ・クーレ
◆カリーヌ・ヴァナッス(ソフィ・マラテール)
◆エリック・カントナ(ダミアン・フォルジャ)
◆メーディ・ネブー(ステファニー)
◆オーレリアン・ルコワン(ドロール)
◆カリーナ・テスタ(ベネディクト・セルトー)
◆ブルーノ・トデスキーニ(ヴェルディエ)
◆マキシム・ロイ(クレール)
【この映画について】
期間限定の自宅交換システムが、ごく平凡な女性を殺人の濡れ衣&身元乗っ取りの恐怖に陥れるという衝撃のサスペンス・スリラー。主人公のソフィ役に抜擢されたのは、ケベックを拠点に活動する新進女優カリーヌ・ヴァナッス。折り紙付きの実力を備えた若手有望株の彼女が魅せる演技力&生命力の眩さには、誰もが見惚れずにいられないだろう。
監督は、『スパイ・バウンド』『裏切りの闇で眠れ』などデビュー以来一貫して猟奇犯罪や裏社会にまつわるテーマを探求してきた鬼才フレデリック・シェンデルフェール。またシェンデルフェール監督とともに脚本を練り上げたのは、『クリムゾン・リバー』の原作者ジャン=クリストフ・グランジェ。このミステリー界の大御所が、急展開に次ぐ急展開の果てに最後に突きつける“驚愕の真実”は、あらゆる観客が息をのむであろう奇想に満ちている。(この項、gooより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
モントリオール在住、25歳のカナダ人女性ソフィ・マラテールは容姿も気立ても悪くないが、バカンスを一緒に過ごす親しい友人や恋人がいなかった。その上、ファッション・イラストレーターの仕事は絶不調。あらゆる運に見離されたソフィに、雑誌編集者クレールからアドバイスが。それは“switch.com”というサイトにアクセスし、海外の利用者と自宅を交換してみてはどうかというものだった。

彼女の体験談に惹かれたソフィは、早速、登録。まもなくベネディクト・セルトーという女性との間で契約が成立し、パリに旅立つ。パリ7区にあるベネディクトのアパートは、外観も内装も豪華な造り。
解放感を味わったソフィは、期待に胸を膨らませるが、翌朝待っていたのは悪夢のような出来事だった。激しい頭痛と嘔吐感で目覚めたところに、玄関を破壊して警官隊が突入してくる。連行された警察では、殺人課警部ダミアン・フォルジャから信じられない話を聞かされる。アパートの別の部屋でトマ・ユイゲンスという若者の死体が見つかったというのだ。その上、その死体は切断された頭部が行方不明で、凶器のナイフにはソフィの指紋が付着。さらに問題なのは、警察がソフィを“ベネディクト・セルトー”として逮捕したことだった。

自分がソフィ・マラテールであると主張し、すべての経緯を説明する。しかしアパートで押収されたベネディクト名義のパスポートにはソフィの写真が貼られ、“switch.com”も跡形もなく消滅。何一つ彼女がソフィ・マラテールであることを証明するものは見つからなかった。ソフィは、見知らぬ殺人鬼にアパートだけでなく、身元まで“スウィッチ”されてしまったのだ……。何故自分なのか、ベネディクトとは一体何者なのか……。やがて、事件は猟奇性をはらんだ驚愕の真実へと繋がっていく……。

以前、ジュード・ロウとキャメロン・ディアス主演で「ホリデイ」という、自宅交換を題材としたラヴ・コメディがあったが、今回は同じ「自宅交換」であっても、そこに恐ろしい陰謀が隠されていたこの作品とは大違い。だが、どちらも共通しているのは「自宅交換」であるが、日本人にはネットを通じてお互いの自宅を一定期間交換して滞在するという題材は馴染みにくいのだが、映画の中での話としては面白い。
「スウィッチ」ではパリとモントリオールの2大都市を巡る話しで、どちらもフランス語圏大都市で起きる。オープニングからして退屈な生活で変化を求めるソフィが、知人に勧められるのだが、ここは余りにも呆気無くイキナリのパリ行きが決まるのだが、手筈が良過ぎて観ている側に疑問を感じさせるスタート。
パリに着いて近所をウキウキ気分で散歩しているとイランからの男子留学生から声をかけられるが、この留学生が後になって鍵を握る存在に。しかしというかやはり上手い話には裏があり、翌朝、ソフィは警察官が乱入して来て訳も分からないうちに警察署へ殺人容疑で連行される。担当刑事のフォルジャを演じているのがエリック・カントナで、彼はフランス大統領選へ出馬すると言われている人物でサッカーの有名選手だったそうだ(私はサッカー全く知らないのでどの程度のレベルの選手だったかは?です)。

取り調べで何時の間にか自分が殺人犯扱いされ、自分の身分を証明するものもなくなり困惑するソフィ。その彼女が大胆にも隙をついて逃亡し、警察の追跡を交わすのだが元サッカー選手のカントナでさえ息絶え絶えの彼女の身軽さは凄い。ソフィ役のヴァナッスは飛びきりの美人ではないけど、サービスショットもあり逃亡劇は思わぬ協力者やイラン人留学生の裏切りもあるが逃げまくる。
この逃亡劇の裏ではフォルジャが徐々に「彼女は本当に犯人?」という疑問も沸いてきて、更に、犯行想定時間の誤りに気が付くなど、警察内部の杜撰さが浮き彫りになり、事件は徐々に核心へと迫る。フォルジャはソフィの過去とカナダでの生活について調べている間に、一つの疑問からある女性へと行き着いた。
最初は犯人像が全く見えなかったのが、ソフィがフランスで育っていた時代にヒントがあり、その時のソフィの父が精子バンクに小遣いの足しに登録していたことが判明。そこから一気に事件は進展し、犯人の女性ベネディクト(自宅交換を持ちかけた女)と最初の犠牲者、ソフィは同じ父を持つ兄弟姉妹であることが分かる。互いに面識は無いのだが、犯人の女性が自らの境遇とソフィの恵まれた生活に嫉妬したのが動機だった、というのがオチでした。

このオチ、ベネディクトが自分の両親が実はそうでは無かったのが出発点でもあるのだが、だからと言ってソフィとトマを殺害しなくとも良いのに?ってな疑問が観終わっても残りましたね。ただ、自宅交換サイトも周到に用意された罠でありモントリオールの家まで燃やされるという恐怖は観ていてもゾッとしました。
ソフィが必死に警察から逃れる様子はスピード感があって楽しめた半面、やはり、犯行を企画して実行するまでの流れが上手く整理できていなかったように思えます。その部分にもっと捻りを加えたら一級品のサスペンスになっていたかも。


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