観るも八卦のバトルロイヤル

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「15歳の志願兵」。勝手に反戦週間。六作目は、心理戦。

2010年08月16日 | 映画・ドラマ
 太平洋戦争末期、軍からの要請で「予科練」に49名の志願兵を送らなければ成らなくなった愛知一中。エリートと呼ばれる彼らは決起集会で、全校生徒700人が志願を決める。
 「予科練」=特攻=死を意味するその選択に苦悩する少年の夢や友情。彼らを戦地に送らなければならない教師や親の葛藤を静かに表現している。
 こちらも戦闘シーンは無く、言うなれば、戦時下の心理戦。軍や軍国主義の教師に乗せられる形での志願から、集団心理へと動き、思いとは裏腹に志願をせざるを得ない少年の心理。死ぬ事が良しとされた時代に本心を隠し精一杯強がる少年の痛々しさが、悲しい。
 そして、見送る母を夏川結衣が好演。感情を表さず、静かに静かに、息子を見送るが、心の叫びを表情だけで表現している。
 教師でもあり、生徒の1人が息子でもある藤山順一に高橋克典。その息子・正美に池松壮亮。この子、竹野内豊に凄く似てるんだけど、誰? 順一の妻・明子に鈴木砂羽。ほか、福士誠治、平田満、竜雷太、太賀、佐戸井けん太、近藤芳正らが出演。賛成派反対派、どちらの主張も間違いでないように思わせる演出が見事だ。
 最後に生徒を志願させる事を良しと推奨した教師の佐戸井けん太が終戦後、新たな生徒と野球を楽しむシーンが映し出されるが、このワンシーンで、軍国主義の教師の心が戦後一瞬にして民主主義へと変わっていったことを現している。
 時代が流れが人の心をも飲み込んでいった「戦争」という悲しい史実を描いている。
 

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