観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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「五番街夕霧廓」。

2012年08月13日 | 映画・ドラマ
 久し振りに本物を観た。売春防止法施行まで存在していた五番町遊廓を舞台に、家族を養うために丹後からきた少女とその幼馴染である学生僧との悲恋を描いていた、水上勉の小説の映画化。加えて、950年に起きた金閣寺放火事件と水上の実体験が題材に使っている。
 その事件の背後には、「世間を騒がせたかった」や「社会への復讐のため」などとしていた。しかし実際には自身が病弱であること、重度の吃音であること、実家の母から過大な期待を寄せられていることのほか、同寺が観光客の参観料で運営されており僧侶よりも事務方が幅を利かせていると見ていたこともあり、厭世感情からくる複雑な感情が入り乱れていたとされる。
 三島由紀夫は「自分の吃音や不幸な生い立ちに対して金閣における美の憧れと反感を抱いて放火した」と分析したほか、水上勉は「寺のあり方、仏教のあり方に対する矛盾により美の象徴である金閣を放火した」と分析。
 そこに薄幸な娘との恋を絡めた文句の漬け用のないストーリに加え、若かりし頃の松坂慶子の、半端でははい美貌が素晴らしい。今時のアイドルには有り得ない本当の美しさ。
 「きれえ」と江戸言葉で言える。たまたま松坂さんの作品を観たが、以前には佐久間良子さんで作られており、制作側の、凛とした美しさの中に、どこか憂いを含む美人女優を起用したキャスティング選考のセンスを感じる。
 また、夕霧楼女将の浜木綿子が良い。奈良岡朋子、風吹ジュンも存在感があった。ジャリタレ抜きで、こういう映画作ってよ。


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