観るも八卦のバトルロイヤル

映画・ドラマを独断と偏見(?)で、
斬って斬って斬りまくる。
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「白虎隊 ~敗れざる者たち」。

2013年01月03日 | 映画・ドラマ
 言わずと知れた戊辰戦争にての会津藩の悲劇を描いた2013年度の新春7時間ドラマ。製作はテレビ東京。
 ひと言で言うなら、「チープ」。
 実は、昨年内より随分と楽しみにオンエアを待っており、当日も、じっくりと7時間鑑賞を決め込んだのだが、観ているうちに、溜め息が洩れ、嫌な気分になっていった。
 役者は、そりゃあ新春に相応しく皆さん達者で豪華な顔触れであったが、話の筋がいけない。ここまで史実を違えるなら、フィクションの時代小説を題材にしても良かったのではないだろうか。
 他局での白虎隊物との違いを出したかったのか、予算の関係なのか、大筋は違っていないが、細部において、眉を顰める場面が多々あった。
 シーン数を減らして内容を密にした方が良かったと思わざるを得ない。新選組の件を省くとか。
 土方歳三を出したかったようにも思えるが、配役もミスマッチ(勿論、吉谷五郎さんは巧かったが、土方のイメージではないだろう)。
 そして、主立ったところでは、芹沢鴨暗殺シーンが近藤勇と土方。しかもお梅さんがいない。さらには、池田屋に土方が踏み込んだりと滅茶苦茶。まあ、新選組隊士も5~6名ほどのチープさだから仕方ないか。
 そして会津藩においてはもう、眉を顰めるどころか、目を覆いたくなるシーンの連続。
 照姫と容保(この方もキャスティング感が否めず)が恋仲と設定していたが、京都に照姫が出向いて、江戸までの帰還を同道したり、容保の着替えを手伝って袴を畳んだ挙げ句は、籠城戦では、袴姿で(しかも袴が会津藩の女性皆お揃い)傷病兵の看病をしたり…。仮にも保科家の姫様がそんなことするか?
 田中土佐、神保蔵之助も、ずっと鶴ヶ城内にいるが、彼らは甲賀口を守って医師宅にて切腹したんじゃなかったっけなあ。
 西郷頼母家の自刃シーンも、確か一族の女性21名だったと記憶するが。まあ、それは良いとして、見付けるのが土方。しかも息があるのが、頼母の妹。
 土方は、とっくの昔に仙台に行っちゃっているんだけどなあ。
 自刃を見付けて、死に切れない頼母の二女を介錯するのは、土佐の中島じゃなかったっけ(元海援隊)。
 飯盛山で自刃した白虎隊の生き残りの飯沼貞吉さえも、いつの間にか鶴ヶ城に運ばれているし。
 籠城戦なのに、出入り自在の手薄な城だから、落城したんじゃないって、呆れ果てましたよ。
 おまけに、女っけのなかった筈の容保がいつの間にか側室を妊娠させていたって、しかも会津で。主君のそんな事にも気付かない家老たちだから、会津は滅びたんじゃない。
 確かに、容保さん。あの戦の最中か、謹慎中に子ども作っているんだけどね。
 とまあ、おっかしな話ばかりであったが、最大の疑問は、「白虎隊 ~敗れざる者たち」のタイトル。まあ、視聴率稼ぎには白虎隊が必要だったのかも知れないが、頼母さんが主役で、白虎隊は添え物的扱いなのだから、タイトルにも工夫が欲しかった。
 新選組の件やら、土方の恋心やら、照姫と容保のスキャンダルシーンを省けばきちっと、シーン枠を取れたのにと思うのだが…。これは当方の個人的思い入れであって、皆さん的には楽しめたのだろうか。
 とまあ、ざっと思い出しただけでもこんな感じなのだが、会津に入った土方が太腿を怪我していたりと、変なところは忠実なんだよなあ。意図が分からん。
 なんだかんだ言われながらも、史実を全うした「平清盛」を見習って欲しいなあ。そして、必要以上のシーンや登場人物を省いてすっきりさせて欲しい。
 途中で、視線があちこちに動いた。
 役者さんの演技に不満はないばかりか、北大路欣也始め、小林稔侍、渡辺美佐子など、皆さん巧かっただけに、残念である。
 白虎隊物は、森繁久彌、里見浩太朗の「白虎隊」が一番だね。

出演:北大路欣也(西郷頼母)、 黒木瞳(西郷千重子)、国仲涼子(西郷眉寿子)、伊藤英明(松平容保)、小林稔侍(萱野権兵衛)、 岸谷五朗(土方歳三)、 水野真紀(照姫)、 渡辺大(中沢鉄之助)、須賀健太(飯沼貞吉)、 中村蒼(篠田儀三郎)、西井幸人(井深茂太郎)、えなりかずき(吾助)、 渡辺美佐子(西郷律子)、中村嘉葎雄(治兵衛) 、石田太郎(神保内蔵助)  寺田農(田中土佐)ほか



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