竹内貴久雄の部屋

文化史家、書籍編集者、盤歴60年のレコードCD収集家・音楽評論家の著作アーカイヴ。ときおり日々の雑感・収集余話を掲載

ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』、最新公演が公開される

2022年07月15日 00時03分26秒 | オペラ(歌劇)をめぐって

2022年5月19日にロンドンのコヴェントガーデンにある英国ロイヤル・オペラ・ハウスで演じられたばかりの英国ロイヤル・バレエ団公演の『白鳥の湖』が、本日、7月15日より21日までの1週間、東宝シネマ系の映画館で全国主要都市で公開される。(詳細は、下記)

http://tohotowa.co.jp/roh/

 先日、試写で鑑賞したが、説得力あるロイヤルバレエの演出舞台はさすがで、チャイコフスキーのシンフォニックな世界を堪能した。

 ロイヤルバレエも世界各地のバレエ団同様に、『白鳥の湖』は、プティパの原振付を継承しつつ、微妙に改作している。そうした中、バレエには素人ながら、私としてはかなり納得しているものが、ここ数年のロイヤルバレエ版だ。

 私の手元にある映像では、2012年のものと、2020年に高田茜が主演したものでは、大幅に異なっていて、2020年のリアム・スカーレットの改訂振付版が、私は、見事な出来栄えだと思っている。今回のものも、そのスカーレット版である。

 スカーレット版の一番の特徴は、第1幕王宮の場面から、王子とベンノとの会話を経て、第2幕の湖の場面までが、休みなく演じられることである。それによって、第1幕終結部の有名な「情景」の音楽が、自然に第2幕の湖の場面へとなだれ込んでいくのだ。昨年、吉田都新監督率いる新国立劇場が、ロイヤル・バレエの関係者との共同作業で『白鳥の湖』を上演したが、それは違っていた。従来の第1幕と第2幕が途切れる演出だった。

 先日、試写で鑑賞したものは、2020年収録のものとも、装置などが、より洗練されている方向に進化しているように感じたが、どうだろう。

 いずれにしても、群舞の仕上がりがすばらしかった。じつに見ごたえがある。

 

 

 主演はローレン・カスバートソンで、彼女のバレエ団在籍20周年を記念した特別なカーテンコールが行われた公演でもあった。(個人的には、私は、高田茜のオデットのほうが好きだが…)

 指揮者のガブリエル・ハイネという人の音楽づくりは見事だった。じつに息づかいのいい音楽である。聞くところによると、長年マリインスキー劇場の専属だったそうで、今回のプーチン政権のウクライナ侵攻でロシアを脱出する決意を固めたアメリカ出身の人だそうだ。バレエに引きずられ過ぎず、むしろ、バレエを引っ張っていくようなところのある、かなり「生きた音楽」を作り上げる指揮者である。

(付記)ここで言及している映像は、2012年は「wowwow」2020年は「NHK」で放映されたものを録画保存して鑑賞しているものである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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