goo

シュニトケ「交響曲第二番」初演と、アルヴォ・ぺルトらとの合作を自作自演するロジェストヴェンスキー

2012年08月09日 11時10分47秒 | BBC-RADIOクラシックス





1995年の秋から1998年の春までの約3年間にわたって全100点のCDが発売されたシリーズに《BBC-RADIOクラシックス》というものがあります。これはイギリスのBBC放送局のライブラリーから編成されたもので、曲目構成、演奏者の顔ぶれともに、とても個性的でユニークなシリーズで、各種ディスコグラフィの編者として著名なジョン・ハントが大きく関わった企画でした。
 私はその日本盤で、全点の演奏についての解説を担当しましたが、それは私にとって、イギリスのある時期の音楽状況をトータル的に考えるという、またとない機会ともなりました。その時の原稿を、ひとつひとつ不定期に当ブログに再掲載していきます。そのための新しいカテゴリー『BBC-RADIO(BBCラジオ)クラシックス』も開設しました。
 なお、2010年1月2日付けの当ブログでは、このシリーズの特徴や意義について書いた文章を、さらに、2010年11月2日付けの当ブログでは、このシリーズを聴き進めての寸感を、それぞれ再掲載しましたので、合わせてお読みください。いわゆる西洋クラシック音楽の歴史におけるイギリスが果たした役割について、私なりに考察しています。

 ――と、いつも繰り返し掲載しているリード文に続けて、以下の本日掲載分は、同シリーズの90枚目。

  ========================




【日本盤規格番号】CRCB-6101
【曲目】シュニトケ:交響曲第2番「聖フローリアン」
  ロジェストヴェンスキー/
  デニソフ/ペルト/シュニトケ:「パド・カトル」
【演奏】ロジェストヴェンスキー指揮BBC交響楽団
  BBCシンガーズ/BBC交響合唱団ほか
【録音日】1980年4月23日、1979年10月9日

■このCDの演奏についてのメモ
 シュニトケの「交響曲第2番《聖フローリアン》」の世界初演の録音が、今回、初めてCD化された。
 この大掛かりな作品を指揮して、よくまとめ上げているのは、ロシアの戦後世代を代表する俊英、ゲンナジー・ロジェストヴェンスキーだ。彼は、この時期、同作品の作曲を委嘱した英国放送協会(BBC)が運営するオーケストラ、BBC交響楽団の首席指揮者として活躍していた。
 この作品では、ライヴ録音ながら、卓越したバトン・テクニックで、切れ味の鋭い演奏を聴かせているのがさすがだが、ライヴのためか、細部の彫琢よりも、音楽の勢いを重視した演奏に傾斜している側面もあるようだ。そのため、全てが白日の元にさらされているような、堂々とした押し出しが前面に出過ぎているようにも思うが、どうだろう。
 言わば、ロジェストヴェンスキーの前進力によって、シュニトケの病んだ世界が、ひと回り骨太の力強さを獲得したとも言えるだろう。この輪郭のくっきりしたビクともせぬ世界の、不思議な安定感は、ロジェストヴェンスキーによって拡大されたもののように思う。
 もっとも、作品そのものにも、シュニトケの作品としてはある種のあっけらかんとした身振りの大きさを容認するところがあるようで、その意味では、ロジェストヴェンスキーの持ち味と良い方向でマッチしているとも言えるだろう。なかなかに聴き応えのある作品であり演奏だ。強い押し出しの金管の咆吼も、所を得て力強い。正に〈聖フローリアン〉でインスピレーションを得たというシュニトケの精神的開放の片鱗を垣間みる思いがする。
 しかし、このCDの更なる面白さは、余白に収められた「パ・ド・カトレ」だ。これはロジェストヴェンスキー、デニソフ、ペルト、シュニトケの4人による合作。したがって、この第1楽章は、ロジェストヴェンスキーの自作自演というめずらしいものだ。
 他愛ないお遊びの作品と言ってしまうことも出来るだろうが、なかなか機知に富んだ作品で、ロシアの近代音楽の中にある、変形されたフランス風エスプリの響きが、小味の利いた世界を繰り広げる。うさん臭いモダンとでも言えようか。そのあたりを、ロジェストヴェンスキーが器用に描いている。(1997.5.30 執筆)


goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

昨日の英文ブログのこと、私の新刊書のことなど。

2012年08月03日 13時56分57秒 | Weblog


昨日の私のブログupが、英文だったので驚かれた方が多いと思います。
じつは、ひと月ほど前、私の新刊書をサカナにして、レコード・コレクターとして敬愛している今村享氏とゆっくりお話ししたのですが、その時に出た話の成果が、あの英文ブログなのです。
私の事を古くから知っている友人や後輩たちなら、私の英語力(特に作文と会話)が、まったくダメなことは知れ渡っていますから、もちろん、お察しの通り、大半の作文を今村氏にお願いしたものが、昨日のブログというわけです。
私のブログの2011年8月31日と9月5日分をお読みいただくか、このブログ内を「ファーレル」をキーワードにして検索していただくとおわかりいただけることですが、私がこだわっている演奏家のひとり「リチャード・ファーレル」というピアニストについて、世界中に広まっている情報の誤りを指摘した内容を、コンパクトな英文にまとめ直したものです。
私としては、これは、英文で世界に向けて発信しなければならない内容だと思ったのです。イギリスでもアメリカでも、出身地のニュージーランドでも知られていないことを、私だけが知っているまま、放置してはいけないということです。私が、様々の情報を世界中から集めているのと同じことを、私もするべきだと思ったのです。
ただ、日本国内とは違いますから、「どこのどいつだ」と疑問を持たれても困るので、冒頭に簡単な自己紹介を加えましたが、それも、さっそく今村氏から指摘があって修正しました。「music critic」としての私の立場を、詳細に表現してくれたものです。
何はともあれ、一石は投じました。googleで、「richard farrell LP」で検索すると、一発でアクセスしました。昨年、私が検索したキーワードのひとつでしたので、感無量でした。
             *
私の新刊書『クラシック幻盤 偏執譜』(ヤマハミュージックメディア)は、先日、HMV-ONLINEに掲載されているコラムで、許光俊氏が紹介してくれましたが、ご覧になった方も多いと思います。わが意を得たりと思うことが多く、感謝していたところ、本日、アマゾンにも、この本の読者の方から「カスタマーレビュー」として、感想が寄せられたのを見つけました。「これ一冊で、まだまだ聴きたい録音が山のようにでてきて困った。本物のディスクガイドだ。」との感想に、とてもうれしく思っています。ありがとうございます。これこそ、私が一番、お伝えしたかったことだし、許氏の、私のスタンスへの理解も、同じ所から発しています。そして、私自身は、まだまだ書きたいことが山ほどあって、幸せだと思っています。
そういえば許氏は、そのコラム「過去を愛する人々」を、「人はどうして自分が見たことも聞いたこともない過去に関心を寄せるのだろうか」と書き出しています。それですぐに思い出したのが、私の愛読書の一冊、北杜夫『幽霊』の書き出し、「人はなぜ追憶を語るのだろうか」でした。北杜夫はそのテーマを一生追い続けましたが、私もまた、過去の演奏をまだまだ追い続け、そして、未来の演奏にも思いを馳せています。
その意味では、読者のおひとりが、版元のヤマハミュージックメディア出版部のツイッターに書きこんでいらっしゃったつぶやきもうれしいものでした。「お歳のわりに、意外に若い演奏家にも関心があるところがいい」というようなことが書かれていたと思います。確かに私は、まだこれからの可能性を感じる若い人も好きですし、聞いたことが無い人のレコードを中古店のゴミの山のようなところから救い出すのも大好きです。リチャード・ファーレルのレコードは、そうして、今となっては世界に一枚しか保存されてないかもしれないという、その一枚が、私の手元にあるのです。昨日の英文版コラムの写真説明に「Photograph of the LP which I own」とわざわざ書いたのも、私です。せめて、それくらいは誇らせてください。


goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )

Richard Farrell plays Brahms had already issued on STEREO LP in Japan at that time(Dec.1961).

2012年08月02日 15時29分13秒 | LPレコード・コレクション
It is blog of Kikuo Takeuchi here.
Kikuo Takeuchi is a Japanese music critic(change of the expression in performing; Japanese culture in pre-war period) and an LP collector.


New Zealander pianist Richard Farrell made several recordings for Pye records, included 5LPs were issued on only mono form at that time in UK. In recent years, New Zealander label Atoll has reissued his complete Pye recordings on CD, and the auther described on the sleeve that his Brahms and Rachmaninov recordings appeared on stereo for the first time. However, I should like to pointed out that Brahms(original as Pye CCL 30136) had already issued on STEREO LP in Japan at that time(Dec.1961). As far as I know that it was the first stereo LP from Farrell's Pye recordings ever issued on.
Strangely enough, it had issued in a series of stereo LPs by the Nihon(Japan) Westminster company, in spite of the relations between Pye/Westminster had ended a couple of years before.
In Nihon-Westminster company direct licensing agreement existed between one of British Pye at this time.


Photograph of the LP which I own
Brahms: The Waltzes Op.39; 4 Ballards Op.10.
(Japan-Westminster/PYE SWP-3514)
goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )