竹内貴久雄の部屋

文化史家、書籍編集者、盤歴60年のレコードCD収集家・音楽評論家の著作アーカイヴ。ときおり日々の雑感・収集余話を掲載

タワーレコードの「ワレフスカ名演集」の一部に、音源の編集ミスがあるそうですが……

2011年04月19日 15時00分11秒 | ワレフスカ来日公演の周辺


 タワーレコードの企画商品として昨年暮れに限定販売された『ワレフスカ名演集』(ここに掲載の写真の商品ではありません。1月12日に当ブログ掲載の、5枚組ボックス・アルバムです。)は、クリスティーヌ・ワレフスカがフィリップス・レコードに残した6枚のLP全てをCDに復刻したもので、このところ、やっとワレフスカの真価に注目が集まるようになった中、待望久しいCD化として、私もよろこんだものでしたが、「ワレフスカ来日演奏会実行委員会」の渡辺一騎さんから、ちょっと気になる話が入ってきました。私も、このブログでご紹介した責任がありますので、とりあえず、一報としてお伝えします。

 この『ワレフスカ名演集』は、タワーレコードの独自企画商品ですから、原則として、全国のタワーレコード各店とタワーレコードのweb店でしか買えませんが、現在web店で「販売終了」の表示が出ています。たしか完全限定販売ではなくスタートしたので、売れ行きが好調だったので追加プレスの話が出ていたはずなのに、おかしいな、ということが始まりです。すると、以下のことがわかってきたようなのです。
 5枚組のCDの内、1枚目の「シューマンのチェロ協奏曲」が収録されている盤に、CD化の音源編集のミスで左右の音が逆に収録されているトラックがあるということなのです。そのため、店頭在庫は回収し、webでの販売も中止したということだそうです。渡辺さんがタワーレコードに聞いたところによると、現在、良品を制作手配中で、いずれは販売済みのものも店頭で良品との交換を行い、アルバムの販売は再開になるとのことですが、私の知る限り、そのような記載がまだ、どこにもありません。
 私の場合は、ほとんどLPで持っていましたので、今回のCDでは、まだ聴いたことのなかった「ヴィヴァルディの協奏曲」を聴いたほかは、「ドヴォルザークの協奏曲」の音質を確認したくらいで、あとは諸石氏の解説にざっと目を通したくらいで、ほとんどそのまま仕舞い込んでしまいました。
 そこへ、例の大地震。――じつは、当ブログで既報のとおり、CD積みかさねの崩壊した山の中に眠る数千枚のうちのひとつなので、まだ、取りだせないのです。ですから、左右のチャンネルが逆になっているというのも、私自身は確認できないでいます。先週、1000~1300枚ほどの整理は終えて、少しさまざまなCDが取り出せるようになりましたが、まだ何千枚もあるので、その良品との交換とやらが始まるまでにはワレフスカCDコレクションのあたりまで、掘り進みたいものだと思っています。余談ですが、このところチェロ系では、ちょっと別の場所に置いておいたフル二エと、カザルスばかり聴いているのです。

 そんな中、つい先日、「ワレフスカ・チェロ・リサイタル」CDの見本盤が届いたのは救いでした。(冒頭写真参照)先日、このブログでもご紹介した去年の上野学園・石橋メモリアルホールでのNHK-FM放送音源を使用してのCDが、いよいよ4月27日に日本ウエストミンスターから発売されるからです。こちらのCDには、そうした編集上のミスはありません。
 ただ、NHKから戴いたマスターテープの音量レベルが少し低めに設定されていたので、CDマスター制作時に無理やり持ち上げるのは心配だということで、そのままで編集作業を進めました。そのため、お聴きになるときに、少しボリュームを上げて聴くと聴感上の通常レベルになるようです。これもワレフスカの、振幅の大きな音楽に、NHKの録音スタッフの方が戸惑った結果なのかもしれません。 
 一人でも多くの方に、あの日の素晴らしい音楽を聴いていただきたい、と改めてお願いする次第です。近日中に、そのCDに寄せた私の解説文も、全文掲載しようかと思っているのですが……。(一部は先日、当ブログに掲載済みですし、もともと中心部分は、ブログに掲載したいくつかの文章の「集大成」としてまとめたものなので、ブログ読者の方には重複することが多いかと思い、少々、掲載をためらっています。)



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