以下は、まだ1ヵ月以上先の6月1日に発売が予定されているCD、モーツアルト『ピアノのための変奏曲全集』第1集のために書いた「ライナー・ノート」の原稿全文です。オリジナルLPレコードと同じ曲順、構成で、CD3枚が順次発売されます。発売はもちろん日本ウエストミンスターからです。解説は、今回の標題にあるように、ジャノーリとレコードに関連する話題を3回に分けて書いていく予定です。(実は、きのうから第2集用と第3集用の原稿を書きはじめています。)
日本ウエストミンスターさんへの、ジャノーリCD化に伴う私の解説執筆も、ドビュッシー、メンデルスゾーンと続いて、もう4枚目。そろそろ、ジャノーリについての「まとめ」に向かいたいと思っています。
さて、今回も、私のLPレコードコレクションから資料をご提供しましたが、CDジャケットのオモテには、オリジナルレコードの中面に印刷されていたジャノーリの写真を使用することになりました。私の記憶では、その写真を使用したジャケットデザインは、一度もなかったと思いますので、初めてご覧になる方も多いのではないかと思います。私自身、もうかれこれ20年ほども前になりますが、やっとの思いで海外の中古レコードのオークションから入手したレコードが届いた時、初めて見るジャノーリの輝くような眼が印象的なその写真を見て、かなり興奮したのを、つい昨日のことのように思い出します。
なお、ライナー・ノートのなかで「別記参照」とあるのは、このブログのための以下の補足事項のことです。この「変奏曲」録音に続くものに関して、誤解されかねない書き方をしていることに気づいた時には、もう印刷に回ってしまったようなので、「第1集」のライナーノートではあきらめていたものです。「第2集」のライナーノートで、補足説明として以下の「別記」を生かすことになるでしょう。
(■別記)
ジャノーリにとって米ウエストミンスターへの最後の仕事となったモーツァルトの「変奏曲」がステレオ方式で録音された頃、フランスはまだモノラル録音が主流でした。そのため、これに続く録音であるはずのショパン「協奏曲」も、最初にフランスで会員制頒布と思われる「ディスク・クラブ盤」で発売された時にはモノラル盤でした。それが、本日の当ブログ冒頭に掲げた写真です。けれども、その後、一般の市販レコードとして発売したフランスの「ムジディスク」では、「ステレオ」となっています。それで、私としては「仏ムジディスク盤」と表現してしまったのです。ですから一般市販の初出は、おそらく仏ムジディスクと思われるのですが、どこ社の音源であるのか、どれが初出盤か、ということについては、簡単に断定できないのです。
そもそもフランスの「クラブ盤」は、出所がよくわからないものが多いのですが、このジャノーリのショパン「協奏曲」も、バックが西ドイツのオーケストラですから、フランスの会社主導による録音ではないように思います。しかも、この時期、まだラジオ放送は、ドイツもイギリスもフランスもモノラル放送でしたから、ドイツの放送用音源の転用ではないと思います。そこで、私としては、この時期に横行していたアメリカのマイナー・レーベルへのステレオ音源を制作していた独立系の小さな会社の、オープンリールの録音テープ音源ではないか、と思っているのですが、確信はありません。いずれにしても、数多く流布している(はずの)一般市販、ということで、ここでは「仏ムジ・ディスク盤」としてしまいましたが、オリジナル録音がどこなのかは、結局、まだわかっていません。どなたかご存知の方がいらっしゃったら、コメント欄にてご教示ください。なお、このショパンの「協奏曲」演奏、現在は「仏アコード」から、仏アデへのショパンワルツ集との2枚組でCD化されています。しかしもちろん、「仏アデ」原盤ではないはずです。
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申し訳ありません。2、3行程度、ちょっと補足しようと思っていたら、こんなに長くなってしまいました。最近、携帯からこのブログにアクセスする友人に「1回で、あまり長い物を書かれると、開きにくくて読みづらい」と言われていますので、本日は、ここまでにします。明日、ライナーノートの「本文」を、明後日に、「曲目解説」の部分をupします。
■4月27日追記
さっそく、今村亨さんから、上記の私の疑問に、詳細なレポートがきました。相変わらず、「さすが」です。きちんと整理して、明日にでもupします。