怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

有川ひろ「みとりねこ」

2024-04-04 20:36:03 | 
図書館で有川ひろの読んでいない著書を見つけるとついつい手に取ってしまい借りてしまう。
今回も迷うことなく借りてきました。

たまに既に読んでいたものがあるので要注意ですが、この本は読んでいませんでした。
ネコについての短編集ですが、みとりねことはなんぞや?
最初の「ハチジカン」と「こぼれたび」は旅猫リポート外伝とあるように、「旅猫リポート」で書ききれなかったのか、もう少し書きたかったのか、もちろん旅猫リポートを読んでいなくても十分たのしめますが、おなじみのサトルとネコの物語。
「猫の島」は「アンマーとぼくら」の外伝と言うかリョウと父とアンマーが一緒になって間もない頃の微妙な距離感と関係を描いています。
残りの「トムめ」「シュレーディンガーの猫」「粉飾決算」「みとりねこ」はいずれも猫が大事な働きをする小説ですが、何かの派生作品という訳ではないみたい。
ところでシュレーディンガーとは何?調べてみたらオーストリアの理論物理学者で「シュレーディンガーの猫」と言われる思考実験をしたことで知られるとか。ますます分からなくなりました。
さらに調べてみると
「蓋のある密閉状態の箱を用意し、この中に猫を1匹入れる。箱の中には他に少量の放射性物質とガイガーカウンター、それで作動される青酸ガスの発生装置がある。放射性物質は1時間の内に原子崩壊する可能性が50%であり、もしも崩壊した場合は青酸ガスが発生して猫は死ぬ。逆に原子崩壊しなければ毒ガスは発生せず猫が死ぬことはない。
「観測者が箱を開けるまでは、猫の生死は決定していない」とされている。
原子がいつ崩壊するのかは量子力学的には確率的にしか説明することができない。観測者が見るまでは、箱の中の原子が崩壊している事象と崩壊していない事象は重なり合って存在している。観測者が確認をした瞬間に事象が収縮して結果が定まる。シュレーディンガーはこれを「猫の生死」という事象に結び付け、「観測者が箱の中身を確認するまでは、猫の生死は確定しておらず(非決定)、観測者が蓋を開けて中を確認した時に初めて事象が収縮して、それにより猫の生死が決まるとして、箱を開けるまでは、生きている猫の状態と死んだ猫の状態が重なり合って存在している」という意味に解釈した。
どうも読者のうち何人がこの題名を理解できたのでしょうか?話はこんな小難しい議論は全くないどちらかと言うと笑いながら楽しく読めるものでした。どうやら三ケ日ミカンの段ボール箱に入れらて捨てられた2匹の猫が1匹は冷たくなっていて1匹は息も絶え絶えで拾われたことを寓意したみたいです。
「みとりねこ」は書名にもなっていますが、これもどういう意味なのか?別に誰かをみとる役割をするわけではなく、猫にしては長命の20年を生き、でも猫又にはなれなかった猫の一生。どちらかと言えば家族みんなに愛されて最後を迎えのを看取られるネコなのでみとられねこ?
こうやって全編読んでみると有川の猫に対する愛情の深さを感じます。
初回限定特典で書き下ろし漫画も付録でついていましたが、じいさんにはこれもなんだかよく分からない漫画。
一つのテーマに沿った小説集ではなく、猫に関係したものを集めたものですが、有川ファンとしては楽しく読むことが出来ました。

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