怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

佐藤優「人たらしの流儀」

2012-12-17 19:59:33 | 
佐藤優というと外務省のラスプーチンといわれ、鈴木宗男とに連座したような形で背任罪で検察に逮捕され実刑が確定したのですが、その経過を書いた「国家の罠」がベストセラーになり、「国策捜査」という言葉を定着させています。
その後の活動は目覚しいものがあり、ソ連解体の経緯を書いた「自壊する帝国」などは著者しか知りえない内情があふれ迫真のノンフィクションと思います。
それにしてもこんな人が部下にいたら上司は大変でしょうね。うまく使いこなせる力量のある上司ならともかく、ほとんどの人にとっては手が付けられなくて、といってロイヤリティは高いので却って扱いにくいんでしょう。
で、その佐藤優が対人関係を広げつつ、自己のインテリジェンス能力を高め、ビジネス社会を生き抜く力を学び強化するノウハウを講義したのがこの本。

読んでいくとそこらの凡百のビジネス書よりうんと面白く、為になります。
しかしとても著者のようには出来ないことも事実。佐藤優は本当に異能の人です。
普通の生活で睡眠時間3時間、膨大な量の本を読み、速読だと1冊に30分、超速読だと2~3分なんて信じられません(誌上で実演しています)。
それでも私のような凡人にも多少なりとも役に立ちそうな情報も満載です(それでないと本として成り立たないのですが)。
インフォーメーションは単なる情報、インテリジェンスはそれを取捨選択しどう見るかと評価したものが。われわれの周囲にはインテリジェンスまで調理できるインフォーメーションがあふれているのに、多くの人は変換できていない。う~ん、何か耳が痛い。では、どうやってインテリジェンス能力を鍛えていくのか。第一の基本は「うそをつかない」小さなうそをついていくとそのうちに大きなうそをつかざるを得なくなる。必要な時はロシアのスパイが得意なうそをつかずにうそをつく「象さんの法則」が基本です(象さんの法則は実際に読んでください)。
人脈の作り方では、最初はランチから。それも超豪華な店でなくて普通の店の上から2番目のメニューで。会話が弾むように話の引き出しをたくさん持っていることが必要ですが、そんな能力もない時は、「聞き上手」となることに徹して「オウム返し」の技で行きましょう。3ヶ月以内に3回会えば3年間は相手は覚えていてくれる。そうやって相手と共存共栄の関係を作ればもう腐れ縁?
相手に対して魅力ある人間になるには、がっつきすぎない、「儲けた金をばら撒く意思があるか」ということとか。人間的魅力ある人は身銭を切ってちゃんと社会に還元している。天に宝を積むということです。そうした還元の行為によって、発想が変わってくる。著者によると稼いだ金の2割を還元すればというけど、貧乏育ちの私にはこれはなかなか難しい・・・
このほかにも新聞の読み方、本の選び方から読み方、相手を見抜くための小さな嘘、人脈の作り方とメインテナンス、別れ方。
なかなかこの通りできないですが、なるほどと思うことばかり。小峯隆生との対談形式
なのでいたって読みやすい。30分とは行きませんが、すらすら読めました。
コメント
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