治兵衛はいづれ
恋か名か
忠兵衛も名の
ために果(は)つ
(略)
小春はこひに
ちをながし
梅川こひの
ために死ぬ (島崎藤村「若菜集」より)
あの、それ違いません?って誰もつっこまなかったんだろか、小春治兵衛は近松にも珍しい純正の心中なんでない?(小春の方が「あんたと死ぬって約束してないよ」と言ってもおかしくない状況だけど彼女このダメ男に本気の本気なのよね)、梅川忠兵衛は死んでないしそも忠兵衛っておよそ恥知らずの代表みたいな男だと思うけど
藤村のアタマにあったのは(赤川次郎が「何度見てあきない」という)「曽根崎心中」だったんじゃあるまいか?一番シンプルな心中モノ、徳兵衛は名を失ったから死ぬしかないと言い、お初はそんな男が心底好きだから付き合っていっしょに死ぬ、名のために果てたのは徳兵衛、恋のために死んだのはお初
さてでは紙治ではないもう1つの心中ネタは何か?というと私の思いっきり浅薄な知識によって推測すればタイトルの作品じゃあるまいかと思う(こちら)
お半が死ぬのはひたすら長右衛門が好きだから、長右衛門の方はお半に情がないわけじゃないけどそれだけなら死なないかも、恋の女と恋か名かいずれの男・・・
まあしかし14の女の子と40の男ってはの何ともはやだ、妻ある身でありながら隣の女の子がちょっと色っぽくなったからとて手を出しちゃうとは最低のカス-と思ったらどうやらこれは完全な創作で元ネタの二人は悪いヤツに襲われて心中に見せかけられたらしいとのことである、そっかそらよかった(何が?って実はこの私、カスな叔父の横っ面を思いっきり張り飛ばしてやらなかったことが一生の痛恨事なんでね)
追記-時に藤村25歳、20年後に若い姪っ子との情事を小説化しようとは神ならぬ身の知るよしもなかったのである、これぞ奇しき因縁・・・あれ、違うってか?
もう1つ追記-赤川次郎はこれ(桂川)も好みとのこと、英雄嫌いの彼けっこういいこと言ってるんだけどこの辺はジェンダーの違いなのかなあ?
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