事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

ピエール・ルメートル

2015-02-03 18:42:00 | 本と雑誌
あんまし趣味じゃなさげな内容なので太田さん推奨でなかったら買わなかったと思う(こちら)、ちょっと作風似てるのかも(彼はここまでエグくないけど)
ものすごくおおぜいの方がレビューしておられるから私ごとき付け足すことはたいしてない、だけど一応書いとくなら言われてるほどアンフェアとは思えない、作者が読者に隠し事するのはミステリなら当たり前のこと、私ははっきりウソを書かれたってうまく騙してくれるのなら全然かまわないと思ってるし
で、それ言うならこの作者はけっこうフェア、真犯人(ホントの意味の)の名前はちゃんと最初の方に出て来てる、その時点で登場人物紹介を見れば「あれ?」と思うヒトは思うハズだ(私は全然気がつかなかった、あ、そう言えばそんな記述があったなと見直して・・・やられた、おっとネタバレ)

細かいことを言うなら(揚げ足鳥の本領)、誘拐(略取あるいは拉致というべき)犯人が乗ってたバンのほんのわずかな写真から可能性のある文字列を見つけ出して持ち主を突き止める、なんて離れ業をやっときながら殺人犯人(表向きの)のクルマが目撃されてるのに「その情報は役に立たない」とは何事、そいつは今もそのクルマを使ってる、動き回る人間(髪型と目の色をしょっちゅう変える)より止まってるクルマを捕まえる方がずっと容易なんじゃなかろうか、いつ出て来るかと期待してたんだがな

最後の被害者が気の毒過ぎ、そんな環境の人間を殺すこたないだろと思うのは私だけじゃあるまい、殺人犯人は(リアリティゼロなほど)そらもうメッチャかわいそうに違いないけど(わ、ネタバレ)、だからって何をやってもいいのかよ?

正義か真実か、それホントに両立しないかな、こういう種類の極悪人は生物学的に殺すより社会的に罰するべきだ、こいつにはこれから延々と続く試練が待ってるハズで、それは殺されるよりずっと悪いかもしれないよ(とは言え子供たちがかわいそうとは思う、わりかし残酷なことを平気で書くよな、この作者・・・これだけグロいシロモノに対してそこかよって?まーね)

小さな猫が気に入った(「この猫はなぜ小さいんでしょう」の答えはあると思うけど)、もうちょっと何か出番があるかと期待したのにな