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遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

ナイチンゲール

2008-04-26 22:31:53 | 本と雑誌

 アンデルセンさんはけっこう残酷なお方だけど、これ(楠山正雄訳の「小夜啼鳥」)はよいお話だと思う。中日新聞もそう思ったのかちょっと前に連載していた。確か芥川龍之介、菊池寛の訳でタイトルは「うぐいす」、「よるうぐいす」じゃないのん?(もっとも今載せてるのは「赤いくつ」でやっぱ残酷、「雪の女王」にしたらいいのに)

久々の児童文学である、私は講談社の少年少女文学全集で読んでたけど、古い訳文を見てナゾが解けたことがあった。

1.鳥の歌を聴いて皇帝が涙を流し、鳥は「その涙こそ一番のごほうび」と言う。講談社の訳では、そのセリフを聞いた貴婦人たちが「あんなうまいお世辞初めて聞いたわ」
 子供の私これに何か違和感があったのだが、どうやら彼女らは鳥の「歌」のみごとさに感動したんだったらしい、まあ常識的にはそうだわなあ・・・

2.死の床にある皇帝のところへ鳥が来て歌い、皇帝にとりついてた死神までが喜んで「もっと歌ってくれ」と言う。
「それならその剣と旗をください、冠を返してください」-講談社版では皇帝がこう言ったことになっていた。歌うのは鳥なのに何であんたが言うんだよ?と疑問だったんだが、これは鳥のセリフらしいのだ(鳥が剣や旗をもらったって持てるハズはないが)。芥川、菊池の訳では「王様に冠を返してくださいますか?」-ハイ、それだったら納得です。

 こういうのって涙香の翻案とは違う、純正の誤訳-だよね、違うかな、講談社殿?