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事件記者のページ

遠い昔のTV番組を再現しようというムチャな試み

バンコラン最高

2014-09-17 02:03:05 | ミステリ
絞首台の謎 (創元推理文庫 118-15) 絞首台の謎 (創元推理文庫 118-15)
価格:¥ 691(税込)
発売日:1981

「髑髏城」が強烈だったせいか、カーの探偵キャラではやっぱ彼が一番という気がする、これは第二作(1931)つまり作者25歳
例によって(?)怪しいヤツはほとんど一人しかいない、さほどのスレッカラシじゃなくても(これだけ読んでればだけど)見当つくと思う、でもやっぱし驚くハズ、珍しく共犯者がいるけどこいつは必ずしも犯人の思い通りに動かない、だからますますわけわからんくなる、こんな1回やったらおしまいのネタを惜しげもなく使い捨てるとは・・・って考えてみればミステリは何でもそうだよな

追記-これは珍しく(だと思う)犯人より被害者の描き方に問題があると思う、悪いヤツに違いないんだがどうしてそんな悪いことをしたのかはっきりした説明がない、何もやってないようなのに何でリムジンを持って運転手兼用心棒を雇えるほど金持ちなのかわからない、いや全ては衝撃のラストを書きたかったからだってのはよくわかるんだが、これがつまりは「若書き」とゆーヤツなのよね(上から目線)

Higan3 昨夜のヒガンバナ、ほぼ全開、何かもつれてるね


カーはやっぱしカー

2014-09-10 15:16:41 | ミステリ
テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫) テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)
価格:¥ 972(税込)
発売日:2014-07-22

久々の新刊、解説によれば前から訳は出てたというけどはてどうだったか、自分は初めて見たよーな

テニスコートの真中に絞殺死体、被害者以外に足跡はない、さていったいどうやったのか、タネ明かしを聞いてみると「そんな手のこんだことやってバレんのかなあ?」と首をかしげたくなるし、実は目撃者がいたのにそいつがなぜあっさりバラさないのかもナゾ(これには作者本人も「できが悪い」ことを認めてるとか)、そも登場人物が少ない上に一見怪しく見えるヤツ(最初の発見者と後からわかる目撃者)は自動的に犯人じゃないことがわかるシカケになってる(そんな怪しいヤツが犯人であるわけはないというミステリのお約束には違いないけど)からほとんど最初っから真犯人は一人しかありえない、だけどいざ名前を明かされたらいっぱしのスレッカラシでも(あ、やっぱしとは思いつつ)一応驚くだろうと思う、「いったいどうやったの?」って(この節の最初に戻る)

まだ未読多そう、これから読めるのはよいことだ
「世界で一番おおぜいのヒトを密室で殺したヒトです」
「へえ、ずいぶん悪いヒトなんですね」
出典忘れた、これまだ書いてなかったよね?


↓思いっきりネタバレ

2014-09-08 11:38:00 | ミステリ
レベッカ〈上〉 (新潮文庫) レベッカ〈上〉 (新潮文庫)
価格:¥ 767(税込)
発売日:2008-02-28
レベッカ〈下〉 (新潮文庫) レベッカ〈下〉 (新潮文庫)
価格:¥ 680(税込)
発売日:2008-02-28

未読の方はご注意を(ってちょっとググればバラしてるヒトはいくらもいるけど)
ヒロインは21歳、一応の教育はあるが身寄りがなくて大金持ちな奥さんのコンパニオンを勤めている(この奥さんがまた軽薄人種、ヒロインのどこが気に入って雇ったのかさっぱりわからないし実際あんましウマが合ってるようにも見えない、誰かに頼まれたというわけでもなさそう、結局これについての説明一切なし)、モンテカルロでたまたまイギリス人の大金持ちマキシム(42歳)に見初められてあっさり結婚の運びに(ホントあっさり、でもこれどんな女の子も密かに願ってる展開かも、あ、そう思うのは私だけ?そらどーも)
マキシムの前妻レベッカは1年前にヨットの事故で死んだ(ということになっている)、美人で有能で誰からも尊敬されていた、特に女中頭のデンヴァーズ夫人(ダニー)は彼女を絶対視してて若い後妻のヒロインを女主人と認めないどころかことごとに根性悪をしかける(この作者は同性愛だったらしいというが確かにダニーがレベッカに捧げる愛の表現はこれを恋愛と言わずして何と言う?というほどリアルそのもの、やっぱ作者は男女間の愛にあんまし関心なかったのかも)、ヒロインが自分はホントにここにいてもよいんだろうかと深刻に悩み始めたその時
海に沈んでいたレベッカのヨットが発見され中に死体(白骨?)があった、マキシムはヒロインに言う「あれが本物のレベッカ、海岸の小屋で自分が撃ち殺し死体をヨットの船室に隠して沖へ出てから船底に穴を開けて船ごと沈めたのだ」
レベッカは確かに美人で有能だったがとんでもなく淫蕩でもあって結婚前から従兄と関係していたし、館へ来てからも回りの男にかたっぱしからちょっかいを出していた、あの日「妊娠したが誰の子だかわからない、だけど証明のしようはないハズだ」とキッパリ言ったのでいかに何でもアタマへ来て撃ったのだ「なにも後悔していない、レベッカを殺してよかったと思っている」
あのさ、お宅いい大人だろ、まんざらのアホでもないだろ、そんな杜撰な犯行がバレんわけないじゃないか、逃げ切るつもりで殺すのならもっとうまくやれよ、衝動的にやっちゃったと言うならすぐ自首すれば当局の印象決して悪くはならんと思うぜ、奥さんが悪妻だったことの証人はいくらもいるハズだしとスレッカラシのミステリ読みは舌打ちするわけなのであるが
ヒロインはと言えば無邪気なものでこれにて一安心、何が何でも殺人を隠しとおすしかあるまい、これからは自分が夫を守ると健気に決意する・・・んだが役に立てるわけもないどころか彼女が一番の弱点と成り果てる、ねえダンナ、奥さんにペラペラしゃべったの客観的には失策だと思うよ(小説としてならまさしくここがクライマックス、お見事としか言いようのない構成であるが)

というマヌケな犯人がどうして助かったかと言えば「実は自殺」という解釈が成立しちゃったから、確かに自殺だったのだ、レベッカは末期癌だった、苦痛の末にベッドで死ぬよりまだ元気なうちに殺されたいとマキシムに(アンタの子ではない子供を妊娠したと)ウソを言ったのだ

そういうわけでまあめでたしと言えば言えるんだが、何があろうとまだ元気な奥さんを撃ち殺した上に死体を遺棄した事実は消えないんじゃない?またあの日レベッカが戻って来ないのにダニーが騒ぎ出さなかったのも不自然、その晩か遅くも翌朝に彼女が「ヨットを探して」と沿岸警備隊(みたいなとこ)へ駆け込めば即射殺死体が発見されてマキシムは言い逃れできなかったハズだし罪も軽くはなかったろうと思うけど

そう、異色作家の解説にもあったけどミステリとしてはなってない、時は(ジェーン・エアの)19世紀じゃなくて1938年、外はクリスティ、クイーン、カーと本格ミステリ真っ盛りなのだ、ン、だ、だけど・・・・確かに「異色」作家はまちがいないわね

ものすごく些細なツッコミ-海岸でアタマの弱い男の子がヒロインに掘ったばかりの貝をくれて「バタつきパンといっしょに食べるとうまいよ」という(ホントは「砂だししてからね」と付け足すべきだが)、ヒロインはそれをスカートのポケットに入れて持ち帰りバタつきパンを食べるが貝は食べない、それきりポケットから取り出したという記述がない、生きた貝をポケットへ入れっぱなしにするなよな、どーいうことになるか想像つかんのか?!


読まれないにはわけがある?

2014-09-07 22:09:28 | ミステリ
デュ・モーリア~レベッカ (河出版世界文学全集別巻-4) デュ・モーリア~レベッカ (河出版世界文学全集別巻-4)
価格:(税込)
発売日:1967

異色作家シリーズは無事ロングセラーを続けてる(何でエリンが引っかからんかったんだ?)ようだけどブラウンの創元文庫以外に他の作品が復刊されたヒトはいるのかにゃ?いやデュ・モーリアは現在けっこう入手可能な方なのかもわからんが・・・
いやもう子供の時はダイジェストを読んで正解だった、この全文はとにかくクドい(また訳文硬い)、自意識過剰なヒロインの、その頃はああもあったろう、これからこうもあるだろうという想像シーンが文章の半分ぐらいじゃないか、それに加えて根性悪な女中頭の「前の奥様はああだったこうだった」も相当にスサマジイ、そういうとこがかなりの部分(一部は記憶あり)削られててホントに幸いだった

イギリス人の著者がジェーン・エアを意識してないハズはないと思うけど、ダンナの性格違い過ぎ
「もっとも憎むものをさえ間接的にせよ殺害するというのは僕の趣味ではないのだよ」(byジェーンのロチェスタ、ウロ覚えでゴメン)
「なんにも後悔しない、ぼくはレベッカを殺してよかったと思っている」(byレベッカのマキシム、ネタばれゴメン、でもほとんど忘れてた、こんなはっきり言ってたとは)
どんな事情であれヒトを殺した上に死体を遺棄して罰を受けないのはよくないんじゃないか?いや奥さんが生きてるのに他の女の子と結婚しようとするのもよくはないけど・・・って重さが違うだろ!!!

館の炎上で話が終るのも共通、マキシムは(ロチェスタとは違って)視力を失くしてないんだよね、「私」がモノを読んで聞かせてるという最初の記述が何か曖昧で・・・

Rebecca2 Rebecca ともあれ私が古書でゲトしたのはこのもの、昭和50年に日本でドラマ化された(こちら)ので河出の全集から再版されたのであるらしい(奥付によれば)、ヒロイン関根恵子(当時20歳)、マキシム高橋幸治(当時40歳)、何かカッコイイよね、どんなアレンジだったんだか、だけど今やデータは皆無らしいのである・・・え、そ、その時点ですらそーなの???!!!


ジョン・コリア

2014-08-26 16:00:45 | ミステリ
炎のなかの絵 (異色作家短篇集) 炎のなかの絵 (異色作家短篇集)
価格:¥ 2,160(税込)
発売日:2006-03

昭和36年初出、高校か大学の図書館にあったやうな気もするが借りなかった、このシリーズ(こちら)唯一借りたのがシャーリー・ジャクスンでこれがいまいちピンと来なかったせいかも
ダールは絶対買った、フィニイも読んだハズだがこれは家族に借りたのかもしれない、ブロックも買った、「血は冷たく」なんてカッコいいタイトル(と傍にいた少年が言った、確かに)でも内容思い出せず、ブラウンは入手可能な短編集全て読んでたハズだからここにはもう未読なかったのじゃないか(ライナップが書いてないの片手落ちだよな)、逆に絶対買ってないのがブラッドベリ、マシスンもたぶん、サーバーも買ってない、計算苦手なオバハンの話にカチンと来たから(この辺前にも書いたにゃ)、でここ最近エリン、スタージョン、シェクリーと来て今回はこれ

夢判断-星さん(だったと思う)が紹介しておられたのでオチを知ってた、典型的なナンセンスホラー、よくこんな変なモノ考えつくなあという点ではシェクリー以上かも
記念日の贈り物-奥さんを始末しようと毒蛇を贈ったら・・・ヒトを呪わば穴2つってね、解説者によると友人に大受けだったそうだが、これはわりと常識的なネタじゃあるまいか?
ある湖の出来事-夫の楽しみを邪魔するだけが目的で僻地への旅行について回る奥さんをあっと驚く悲劇が襲う・・・おいおいいくら何でもそらねーだろ?
旧友-病死した奥さんの遺体が部屋から消滅、昔の知り合いといっしょに逃げたって?ナンセンスながらいったいどうなってるのか考えるほどにコワい
クリスマスに帰る-唯一の既読作品(もっともオチは忘れてた)、邪魔な奥さんを殺し死体を完全に隠した上で逃亡に成功したハズが・・・好事魔多し、きれいな伏線の回収ぶりながらこれは犯人に同情したくなるんじゃなかろうか(と私は思う)
カード占い-ものすごくよく当たるけど自分の未来はわからない占い師の計算マチガイとは?無条件でウマイ、でもちょっとかわいそう
保険のかけ過ぎ-収入をほとんど保険料に使っちゃって餓死寸前になる夫婦、バカは死んでも治らないっと・・・
死の天使-「記念日」と同曲のお話、何でこれが受けるのかなあ?
死者の悪口を言うな-阿刀田さんが「パクリ不可能な名作」(意訳)とホメておられた作品、でもまだ殺してないのなら殺さない方がよいのじゃあるまいかと思うのは私だけ?と書いてから気がついた、これモロにネタバレじゃん、ゴメーン、文句は阿刀田さんに言ってね
炎の中の絵-悪魔との契約を解除するにはどうしたらいいかというお話なのかもしれないがナンセンス過ぎて実用的じゃない、いやこの議論は無意味ってわかっちゃいるけどさ
少女-わけあって世界中を放浪してるという男、定住する気はあるのになぜか移動せざるを得なくなるその事情とは・・・読者には明白なのに登場人物は全く気づいてない恐るべき危機、超自然なところ全くないがゆえにたぶん一番コワいと思う

残るはダフネ・デュ・モーリアか・・・どうするかなあ?