
一般的には、「武力を以て天下を取る」と解釈し、天下統一の意志を示すものとして理解されますが、真の意味は「暴力を抑え、戦いをやめ、全ての民を和ませ、物資を豊かにすることができる者が天下を治めるのにふさわしい」という意味です。楽市楽座を積極的に推進したことからも、それを窺えるような気がします。
信長の横暴さが目立つために、天下布武という言葉はなんとなく信長らしくないような気がします。信長ファンに、信長の真の姿が理解されていないから、そのような見方しかできないのだと叱られたことがあります。
中世後期においては信長が言う「天下」とは、室町幕府が管轄する畿内を意味し、畿内領域のみの支配を意図したとする説もあるようです。すなわち、信長は日本全国を統一するという意図ではないと言うことです。
素人の私ですが、信長は海外情報にも通じるところがあるので、はやり信長の言う天下というのは、日本国を指すのではないかと考えています。その観点では、戦国時代に生きた人としては先見の明があるように思えます。
信長は、自分を神と呼ばせたと言うことも聞きますが、世の中の社長には企業は社長のものと思っている人が多いように思えます。近年は、「会社は株主を重視する」というアメリカ的な(そう言い切って良いのかどうか自信はありません)発想が根付いているようです。
企業は「ステイクホルダー」のためということも良く聞きます。ステイクホルダーには、株主だけではなく、お客様、社員、仕入れ先、地域社会の人達等々企業に関係する人を指し、「利害関係者」という言い方もします。
経営士・コンサルタントとして、仕事をしているときに、社員をおろそかにしている企業の成長には限界があるように、経験的に見ています。私の知っているあるベンチャー企業の社長さんは、社員の抜擢人事をしばしば行いました。信長の人事に似たところがありますが、経営がうまく行っている時には、それがその会社の企業体質ということで社員も納得せざるを得なかったのでしょう。
バブルがはじけてからもその人事政策を続けていたのですが、あるときリベラルな常務取締役の降格を決めると、社員がゴッソリ退社してしまいました。退職した社員の多くはかつて抜擢された社員でした。その理由の一つは、人間を「駒」としてしか見ておらず、抜擢と言っても社員の一面を見ただけで判断をし、その見方に沿わない社員は昇級も昇格昇進も期待できない人事政策だったのです。
「天下布武」という言葉の真の意味を経営者はもう一度見直して、自分自身に照らし合わせてみる必要がありそうです。



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