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聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2021/7/25 出エジプト記1-2章「赤ちゃんのモーセ」こども聖書㉔

2021-07-24 14:18:43 | こども聖書
2021/7/25 出エジプト記1-2章「赤ちゃんのモーセ」こども聖書㉔

 この世界は神様が造られた世界ですが、苦しみや悪い力に縛られてしまうことも多々あります。その苦しみから、神は私たちを不思議な力で救いだしてくださる。その事を、とても力強く描き出しているのが、聖書の二巻目、「出エジプト記」という書なのです。
 前回までの創世記は、最後にヤコブ(イスラエル)とその家族たちが、飢饉を逃れてエジプトにやって来たことで終わりました。それから四百年が立って、世代がすっかり変わって、ヤコブの子孫は大家族になりました。エジプトの王も世代が変わり、違う王の家族に変わり、ヤコブ家族への親しさよりも、その多さを脅威とする王になったのです。そこで、その王はヤコブの子孫(イスラエル人)を、自分たちのために「奴隷」にしてしまいました。大きな町や建物を作るため、イスラエル人を強制労働しました。
出エジプト記1章13節…エジプト人は、イスラエルの子らに過酷な労働を課し、14漆喰やれんが作りの激しい労働や、畑のあらゆる労働など、彼らに課す過酷なすべての労働で、彼らの生活を苦しいものにした。

 エジプトの王は、イスラエル人や人間扱いせず、自分たちのために働かせ、苦しめて、弱らせようとしたのです。それだけではありません。エジプト王は、イスラエル人が子どもを産んだら、少しずつ減らそうとしていました。それでも生まれたならば、
22…「生まれた男の子はみな、ナイル川に投げ込まなければならない。女の子はみな、生かしておかなければならない。」
 こんな酷い扱いで、エジプトにいたイスラエル人たちは苦しみ、辛くて、しかし抵抗できずにいました。たくさんの子どもたちが殺されて、大人たちもヘトヘトでした。そんなイスラエル人の中に、一人の家で男の子が生まれました。その子のかわいさを見て、親は三ヶ月、こどもを隠していました。けれど、三ヶ月も経つと、泣く声も大きくなります。もう隠しておけなくなり、小さな籠を作りました。ナイル川に生えているパピルスという草で編んだ箱に、水が入らないよう回りに樹脂を塗りました。
 それは、丁度、大洪水の時、ノアが箱形の舟を作って、その中に家族も動物たちも入って、助かったように、この子どもの命を助ける箱の舟となってほしかったのでしょう。大きさは全然違いますが、この二つの箱は重なります。草で箱を作ったお母さんの思いは、ノアとその家族を救ってくださった神様の思い、ノアの思いと重なります。そして、神は確かに、この箱の中に入れられた子どもを守ってくださったのです。

 そこにやって来たのは、エジプトの王ファラオの娘です。イスラエル人の男の子はみんなナイル川に投げ込んで殺してしまえ、と言った王様本人の娘です。その王妃が、あの箱を見つけました。それを取ってこさせ開けてみると、子どもが泣いています。
2:6なんとそれは男の子で、泣いていた。彼女はその子をかわいそうに思い、言った。「これはヘブル人の子どもです。」
 王妃が父親の命令を知らなかったはずはないでしょうに、このヘブル人の子どもを殺そうとするより、可哀想に思ったのです。そこに、赤ちゃんのお姉さんが見ていました。弟が心配だったのでしょう。ファラオの娘が優しそうなのを見て、お姉さんは飛び出し、
7…言った。「私が言って、あなた様にヘブル人の中から乳母を一人呼んで参りましょうか。あなた様に代わって、その子に父を飲ませるために。」
8ファラオの娘が「行って来ておくれ」と言ったので、少女は行き、その子の母を呼んで来た。
9ファラオの娘は母親に言った。「この子を連れて行き、私に代わって乳を飲ませてください。私が賃金を払いましょう。」それで彼女はその子を引き取って、乳を飲ませた。
 こうして、赤ちゃんは本当の母親の元に戻ってきました。もう隠せずに箱に入れて捨てたのが、ファラオの娘に拾われて、堂々と育てることが出来るようになりました。費用もファラオの娘が払ってくれることになったのです。こうしてこの子は育てられます。
10その子が大きくなったとき、母はその子をファラオの娘のもとに連れて行き、その子は王女の息子になった。王女はその子をモーセと名づけた。彼女は「水の中から、私がこの子を引き出したから」と言った。
 この子の名前をモーセとつけたのも、ファラオの王妃です。それはこの出来事だけでなく、後々のすべてを象徴する名前でした。エジプトの奴隷生活から、神はイスラエル人を引き出して救ってくれました。かつての大洪水からもノアの家族を救った神は、海を通ってイスラエル人を救い、奴隷の生活から、人間らしい生活へと変えてくれました。そして、モーセはその指導者となって、イスラエル人を導くのです。

 使徒の働きでは、
使徒7:17-21「さて、神がアブラハムになされた約束の時が近づくにしたがい、民はエジプトで大いに数が増え、18ヨセフのことを知らない別の王がエジプトに起こる時まで続きました。19この王は、私たちの同胞に対して策略をめぐらし、私たちの先祖たちを苦しめて幼子を捨てさせ、生かしておけないようにしました。20モーセが生まれたのは、このような時でした。彼は神の目にかなった、かわいい子で、三ヶ月の間、父の家で育てられましたが、21ついに捨てられたのをファラオの娘が拾い上げ、自分の子として育てました。

 遂に捨てられたのを、ファラオの娘が拾い上げた。人間が「可愛い、捨てたくない」と思っても、それには限界があります。捨てざるを得なかった子どもが、神によって拾われ、エジプトの支配をひっくり返す働きをしました。誰かを奴隷にしたり、虐めたり、踏みつける社会を、神は必ずひっくり返されます。出エジプトは、神様の大きな業、イエス様を知らせる出来事です。
 今でも、奴隷や人間扱いされていない人、いろんなことに囚われている人たちが、この出来事を通して解放されてきました。多くの人を力づけ、目覚めさせてきた、モーセの物語です。神の御心は、祝福であって、誰かを犠牲にして繁栄することではないからです。虐げられている人を力尽くででも救い出す。そして、人を助ける働きに用いられる。それが神の物語の中心にあるテーマです。

「奴隷を解放し、捨てられた者を用いられる主よ。私たちもあなた以外のものに囚われた生き方から自由にしてください。多くの人を力づけ、今に至るまで語り継がれてきたこの物語が、今も私たちの道標となりますように。命の危険や、権利を奪われた人たち、心を不自由にされている私たちを、不思議にも救い出し、解放を宣言させてください」

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