聖書のはなし ある長老派系キリスト教会礼拝の説教原稿

「聖書って、おもしろい!」「ナルホド!」と思ってもらえたら、「しめた!」

2021/10/31 士師記6-7章「ギデオン」こども聖書㉝

2021-10-30 13:57:39 | こども聖書
2021/10/31 士師記6-7章「ギデオン」こども聖書㉝

 聖書の士師記からのお話しです。今まで、エジプトの奴隷だったイスラエル人を、神が解放してくださり、新しい地に導き入れてくださったことを見てきました。やっと、自由な生活が始まったのに、彼らはそこでも神を忘れて、周りの国々の偶像の神々に目を向けるようになりました。そうして、苦しくなっては神を求めると、神は彼らを助けるため、指導者を遣わされます。それが「さばきつかさ」、士師記の「士師」です。

 今日読んだギデオンは、その士師(さばきつかさ)の一人です。ギデオンのことは、士師記の6~8章までとても詳しく記されています。その当時、イスラエルの地は、ミディアン人という外国の民に侵略されて、家畜も住む家も奪われていました。そのミディアン人から解放するために、神はギデオンを選ばれたのです。では、彼はとても勇敢な人だったかと言えばその逆で、とても臆病な人でした。臆病こそギデオンの特徴です。

6:11 さて主の使いが来て、アビエゼル人ヨアシュに属するオフラにある樫の木の下に座った。このとき、ヨアシュの子ギデオンは、ぶどうの踏み場で小麦を打っていた。ミディアン人から隠れるためであった。

 見つからないよう低い踏み場に隠れて麦打ちをしていた。そんな臆病なギデオンに、

12主の使いが彼に現れて言った。「力ある勇士よ、主があなたとともにおられる」

 ギデオンはどんなにビックリしたでしょう。そして、彼が言ったのは反論でした。

6:13「ああ、主よ。もし主が私たちとともにおられるなら、なぜこれらすべてのことが、私たちに起こったのですか。『主は私たちをエジプトから上らせたではないか』と言って、先祖が伝えたあの驚くべきみわざはみな、どこにあるのですか。今、主は私たちを捨てて、ミディアン人の手に渡されたのです。」

 しかしそのためにこそ主は来られたのです。主は彼の方を向いて言われました。

14…「行け、あなたのその力で。あなたはイスラエルをミディアン人の手から救うのだ。わたしがあなたを遣わすのではないか。」

 こう言われて、ギデオンはビックリのけぞります。私なんか無理です!と言うのです。

15「ああ、主よ。どうすれば私はイスラエルを救えるでしょうか。ご存じのように、私の氏族はマナセの中で最も弱く、そして私は父の家で一番若いのです。」

 最も弱く、若くて隠れていた臆病者の私ですよ。すると、

16主はギデオンに言われた。「わたしはあなたとともにいる。あなたは一人を討つようにミディアン人を討つ」

 こう仰って、ギデオンはミディアン人と戦う指導者になるのです。この後も、ギデオンは臆病ぶりを晒します。堂々とせずに、夜こっそり偶像を倒してバレたり、徴を求めて、神を二度も煩わせたりします。それはぜひ、聖書の士師記6~7章を読んで下さい。

 ともかくこうしてミディアン人が大勢集まり、戦陣をしきました。

 その数は、十三万五千人の大軍勢です。これに対して、ギデオンの元に集まったのは三万二千人。たった四分の一。それでも集まった方です。

 ところが、主は思いもしないことを言われました。
7:2 主はギデオンに言われた。「あなたと一緒にいる兵は多すぎるので、わたしはミディアン人を彼らの手に渡さない。イスラエルが『自分の手で自分を救った』と言って、わたしに向かって誇るといけないからだ。3 今、兵たちの耳に呼びかけよ。『だれでも恐れおののく者は帰り、ギルアデ山から離れよ』と。」
…すると、兵のうちの二万二千人が帰って行き、一万人が残った。

 「本当は怖い人は帰れ」と言ったら、三分の一以下になってしまいました。
 ところが、
4主はギデオンに言われた。「兵はまだ多すぎる。彼らを連れて水辺に下って行け。わたしはそこで、あなたのために彼らをより分けよう。」

 こう仰って、水の飲み方が、膝を突いた飲んだ人は帰されて、水を手ですくって口をつけて飲んだ人だけが残されました。


 最初の百分の一より少ない、たった三百人です。

 その三百人で、13万の軍隊に立ち向かうのです。
 彼らはこんな作戦を立てます。
7:16 彼は三百人を三隊に分け、全員の手に角笛と空の壺を持たせ、その壺の中にたいまつを入れさせて、…。18 私と、私と一緒にいるすべての者が角笛を吹いたら、あなたがたもまた、全陣営を囲んで角笛を吹き鳴らし、『主のため、ギデオンのため』と言わなければならない。」

 夜中、寝込んでいる敵陣営を囲み、「壺割り脅かし作戦」をしたのです。ガチャン!

19…角笛を吹き鳴らし、その手に持っていた壺を打ち壊した。20三隊の者が角笛を吹き鳴らして、壺を打ち砕き、左手にたいまつを、右手に吹き鳴らす角笛を固く握って「主のため、ギデオンのための剣」と叫んだ。


 ミディアン人はビックリして走り出し、大声をあげて、パニックになり、同士討ちが始まります。こうして彼らは散り散りバラバラに逃げて、イスラエルに打ち負かされてしまいます。神はこうして、たった三百人の兵士でミディアン人を滅ぼされました。

 主は最初に言われました。
「「自分の手で自分を救った」と言って、わたしに向かって誇るといけないから」
と。この勝利も、この三百人が精鋭だったとか、作戦が成功したというより、主が下さった勝利ですね。また、ミディアン人の大軍が、大勢の力で勝って当然と思っていた自信が砕かれた出来事です。人は、神を忘れて、数や力や知恵を誇ります。自分の手で勝った、勝ち負けは自分の問題だと思うのです。しかし、問題は神を忘れていることです。だから、神はこの時、兵士を減らしました。そもそも、その時代一番の勇者ではなく、弱くて臆病なギデオンを選ばれたのです。
 主は言われます。

しかし主は「わたしの恵みはあなたに十分である。わたしの力は弱さのうちに完全に現れるからである。」 Ⅱコリント12:9

 神は強さや力に胡座をかいている人を辱め、小さな人、無力だと思われている人を勝利させられます。神は、私たちをも選ばれて、神のわざに用いられます。自分の手ではなく、神の手が私たちを救ってくださる。不思議な知恵や方法で、勝利をもたらさせてくださいます。そういう体験を期待して、主に自分をお献げしながら歩むのです。

「主よ。あなたは臆病なギデオンを選んで、松明とラッパで大軍に勝利させました。人の力に恐れを抱く時、あなたを信頼させてください。自分が弱くても、弱いからこそ、あなたが事をなし、私たちを強めてもくださる事を信頼します。あなたの恵みがすべてを新しくし、人の考えに勝る、赦し、和解、癒やしの御業がなされていきますように」
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