物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

ルべーグ積分

2009-07-15 11:00:44 | 数学

ルべーグ積分という語を聞いたのはもちろんはじめてではないが、あまり必要がなかったし、これからも必要が起こるとは考えられないが、昨日「数理科学」の5月号を見ていたら、これの概念を分かりやすく説明した記事に出くわした。

全部を几帳面に読んだわけではないが、およそのイメージはわかった。もっとも数学的には分かったことにはなっていないのだろうが。

リーマン積分では変域を細かく区切ってその関数値を順番に足していくというイメージだが、ルべーク積分では関数値のほうも区切ってその大きさとその値とその値をとる変域との積を作って和をとるという感じなのだそうである。

何度かそういった話は聞いた気がするが、はじめてきちんと最後まで聞いたという感じがする。

もっとも私の講義を聞いて「~はわかった」と書いてくれた学生のようにおおよその見当がついたくらいであろう。本当の理解はなかなかである。


授業の終わり2

2009-07-14 14:24:48 | 受験・学校

昨日、M大学の講義が終わった。再来週に試験があって、その採点をして成績を提出をすれば仕事が終わる。もっとも薬学教育の評価とかでその協力が必要になる。その辺は面倒である。評価の証拠を残しておかなければならないので、答案とかその他のものを保管しておかなければならない。

来年はもうこの仕事はないことも予想されるが、しかし知らないというわけにもいかないだろう。昨日は授業評価のアンケートがあった。マークシートにマークする方式であったが、どういう結果がでるだろうか。E大学に在職中にはひどい評価が多かった。

そういう評価は基本的にはあまり変わらないのではないだろうか。懸命にやっているのは今に限ったことではない。以前もそうだったと思うのだが、これは学生と私との行き違いが大きかった。私が他の教師と比べて大きく違っていたとは思わないが、厳しかったもしれない。

本当のところは学生にとって学ぶ意義が分からないことを学ぶために、学ぶ意欲が起きなかったというところだろうか。しかし、学生に嫌だという感情が現れるとどうしても私自身にもそれが反映される。それに数学的にも準備されてない学生には面白くないのが当然だろう。


伊藤千尋の活憲

2009-07-13 15:13:18 | 国際・政治

九条の会の総会が先週の土曜にあった。朝日新聞社の伊藤千尋記者が来て彼の体験を話した。憲法を活かすというので、活憲というのだが、その言葉は講演を聞く前にはあまり気にいる言葉ではなかったが、話を聞いてみるとその意味がわかった。

話が面白くて、なかなか勇気づけられるものであった。小田実の若いときのような活気にあふれている。世界各国で憲法を闘いの武器にしている人が多いという話で、どうしてそれが日本と異なるのかという点が不思議な差に感じられる。

ということはその差をどうやって埋めるのかという方法論はなかったのだが、南米大陸がなぜ反米政権が多くなったかということを説明してくれた。一人の人が世を変えるのだという。それはそうだが、多分一人の人の心に生まれた疑問や動機が他人にも結局は共有できるということなのであろう。


ホームページをつくりたい

2009-07-10 11:03:39 | 日記・エッセイ・コラム

「ホームページをつくりたい」という欲求が強くなりつつある。最低限として電気電子工学科ミニマムという数学のページをもっているのだが、パソコンが壊れてから一度も更新をしていない。

息子の嫁さんと息子が何年か松山に前に帰って来たときに嫁さんが最低限としてリンクしてくれたもので自分でリンクを張ったわけではない。だから自分で一からつくりたいのだ。コンテンツとしては十分な内容をもっていると思うので、要するに最低限度のことを知ればいいのだ。まだ、画像を張るわけではないので最低の文書をみれるようにできればいい。

だが、結構気が多いのでこれに集中する暇がつくれていない。いろいろな状況を勘案するとしかし自分でホームページをつくるときが来たようである。だが、なかなか気が重い。それは私は移り気で根気があまりないからである。

車の運転でも免許をとったのは53歳のときでそれまで妻に乗せてもらっていた。いつもいやみを言われてはいたが、あまり気にしていなかったがあるときに同僚の親しい先生が半身不随となり、車の運転が出効くなったのを見て、自分でも車の運転を習う気になった。

その頃はちょうど家庭内がごたごたしていたときであったが、10月初めに自動車学校に通い始めて1週間ほど休んだが、その年の暮れには免許をとった。途中で1週間ほど休んだので自動車学校の先生からもう止めたのかと思ったと後でいわれたが、途中で止めるつもりはなかった。もう17年目になり、やうやく普通にあまり意識しなくても運転が出来ている。

しかし、いつも出足が遅いのが私の特徴である。


堀源一郎著「ハミルトンと四元数」

2009-07-09 14:02:43 | 数学

堀源一郎著「ハミルトンと四元数」(海鳴社)を入手した。第2章が「四元数の発見」という章になっている。この章の半分の内容にあたるところは以前に解読したことがあるが、残りの半分がちょっとわからないのでその部分の解読が必要である。

複素数でなりたつ原理が四元数または三元数で成り立つかというところがどうも実際に調べたいことらしい。

すなわち、|ab|=|a||b|とarg(ab)=arg(a)+arg(b)を確かめたいらしい。そこまではわかった。これをWarrenの原理といっているのではないだろうか。もう少し調べて見る必要があろう。


気候の変化

2009-07-08 12:37:39 | 日記・エッセイ・コラム

昨日から気候がまったく変わった。暑くて湿度が高くなった。一昨日までは窓を開けていれば、冷たい空気が入ってきて涼しかった。日本の夏は耐え難い。これは何年も日本人をやっていても同じであろう。この7月~9月を除けば、日本は住み難くくはない。

一般に気候はよく、冬の寒さもここ松山ではそれほどひどくはない。それに北陸とは違って雪もほとんど降らないので雪下ろしもなく生活はそれほどつらくはない。

今年は梅雨の始まりが遅く6月には梅雨がほとんどなく、気候がよく、過ごしやすかった。その分水不足に悩まされたわけではあるが、そういうことはあってもまだ深刻にはならなかった。これからはエアコンなしにはすごせない日が続くであろう。


石手川ダムの水

2009-07-07 13:35:49 | 日記・エッセイ・コラム

石手川ダムの水の状況は先週の雨で約85%まで回復をしている。平年に平均は95%くらいなので完全に満水にはなっていないが、かなり回復している。そのせいだろうか。取水制限は撤廃された。

このごろはケーブルテレビのアナログの第一チャンネルが天気予報チャンネルであるのでときどき水状況をみる。1994年には大渇水に松山は見舞われたが、このときの水の状況と平年の平均と今年の現在の水の状況がグラフで出ている。今年も水不足になりそうであるが、それが大渇水のときと傾向が似ているのだ。細かく言えば今年の方が先日までの水の状況ではひどく悪かった。それくらい水は少なくてダムの水はとても落ち込んでいた。

それが1週間ほどで90ミリ近くの雨が降ったために45%くらいから85%くらいまで急速に回復したのである。如何に小さなダムであるかがわかる。松山の人口が37万人くらいであると予想しての石手川ダムの建設だったという。それが現在では51万の人口を数える四国一の都市である。

行政の予想をはるかに上まってしまったということだ。もともと松山は上水道の発達していない都市だったという。観光地の道後温泉の近くでも1955年くらいになってやっと整備したと聞いている。西條市の上流の黒瀬ダムの分水を望んでいるが、西条市ももし渇水のときは影響を受けるのではないかということで、いい返事をしていない。

水事情はいつでも複雑で難しいらしい。実際の黒瀬ダムの利用状況は60くらいで余裕はあるというし、その利用状況から赤字が出ているとはいうが、なかなか解決をしないようである。

松山市の水源はもちろん石手川ダムだけではなく、地下水ももう一つの大きな水源である。今年はこの地下水源が危機的状況であったのが、ちょっと新しい様相だった。もっとも地下水のほうが先に回復してほっと一息をついたのであった。


力学の形成史

2009-07-06 11:43:42 | 物理学

力学の形成史に関する本は何冊か出ているのだろうが、それらをほとんどもっていない。

有名な天体物理学者のチャンドラセカールがニュートンのプリンキピアを現代風に解読した本の訳本が講談社から出ていたが、いまでもあるだろうか。これは1万円くらいの高価な本であった。一度もこの本を見たことがない。

さらに、ファインマンがやはり惑星の運動を解説した講義があって、この本の原本はもっているが、それの訳本も岩波書店から出ているはずだが、こちらの方はもっていない。

ニュートンのプリンキピアのラテン語からの訳は河辺六男さんの訳本をもってはいるが、読んだことはない。河辺さんとは彼がちょうどラテン語から日本語への訳をしているごろに知り合ったのだが、その後河辺さんとは年賀状のやりとりするくらいの関係はあった。そのうちに河辺さんは亡くなってしまった。

もう追憶の中にしか河辺さんはいない。彼の運転の車で京都高尾の神護寺に鳥獣戯画を見るのに連れて行ってもらったことを覚えている。

山本義隆さんの「古典力学の形成」「重力と力学的世界」はもっているが、これも読んだことはない。いつか読もうと思いながら、その暇はいままでのところできていない。

山本さんはその後、著書「磁力と重力の発見」(みすず書房)で大仏次郎賞をもらったので、もう知る人ぞ知るという人になった。彼は刑務所にでも入らないと古典力学など勉強する暇などはないだろうなとよくもらされていた。もちろんその後の彼がどうなるかなどは予測もできなかった、よき学生時代のころのことである。

こんなことを書いたのは武谷の三段階論を広重徹が批判した論文を読んだので力学の形成史が気になり始めているからである。


伏見、赤井著『直交関数系』

2009-07-04 12:27:44 | 数学

伏見、赤井著『直交関数系』は共立出版から出された直交関数についての本である。前から手に入れて読んで見たいと思っていた本であるが、先日古本で入手した。

これは以前に『伏見康治著作集』(みすず書房)で、伏見さんが母関数について書いていて、その中にテイラー展開もフーリエ展開も同じように、母関数の思想から出てきたものだと書かれていた。そのことを私の本『数学散歩』(国土社)に収録された数学エッセイ「母関数の方法」の冒頭にそれを引用したことがあった(注)。

今度手に入れてみて、脚注に面白みを見出したし、その他の点でも感心をしている。また、「数学の本を非数学者が書くことが必要ではないか」と前書きに述べられていて、また、これに気を強くした。

これは数学者の書いた本は非数学者にはほとんど読めないからである。数学者は自然と自分たちで“数学産業”をなしていて、非数学者をともすれば排除しようとする傾向がある。

これは私の見出した事実ではないが、元同僚の物理学者Hさんがこんな趣旨のことを言っていたことである。失礼ながら、数学者はお気づきではないだろうが、そういう側面がある。

しかし、こういった批判はまっとうではあるが、すぐに私たちに跳ね返ってくる。物理学者は物理学とかそれに類したことについて非物理学者を排除してはいないだろうか。

私も物理学者のはしくれとして非物理学者を排除していないつもりだが、自分のもっている無意識は他の分野の方から指摘されないとわからないものだ。物理学については「物理学帝国主義」という言葉がすでにあった。

伏見、赤井著『直交関数系』からいつものごとく脱線してしまったが、しばらくこの本を楽しむことができそうだ。

(注)小著『数学散歩』(国土社)はもう残っていないが、その一部のエッセイを収録した『物理数学散歩』(国土社)はアマゾンコムで売られている。古書としての扱いなので、定価よりも少し高くなっているが、まだ在庫がある。

関心のある方はアマゾンコムで検索をしてみてください。

ドイツでは年金が上がる

2009-07-03 13:33:32 | 社会・経済

7月1日からドイツでは年金が2~3%だがあがる。車の税金も排気量だけではなくて炭酸ガスの排出量等に依存して変わることになる。

また、健康保険をいくらか払い戻すということを検討している保険会社もある。もちろんドイツでは日本の消費税にあたる付加価値税が15%と高いがその分老後の生活が日本より安定している。問題は消費税を高くしてそれを何に使うかという点で日本の政策は明瞭ではない。

多分軍備や公共事業に使って、福祉にはあまり使わないだろうという不信を普通の人は思っている。消費税を高くしてそれが確実に福祉だけに使われるという保障はまったくないのである。

もっともドイツでも年金生活者は不満をもっている。だが、普段の生活を切り詰めているだろうが、年間数週間の休暇をとることができる彼らの生活は学ぶべきところがある。これはフランスでもある程度同様である。

もっともいずこも失業者が多くて問題は多い。だが、日本のように派遣社員の地位が低いところはない。これはアメリカに似ているというのは皮肉である。

また、日本の現政府のように国民給付金を出して選挙対策をして選挙で勝てばすぐに増税というのはあまりに馬鹿げているから、年金がドイツで上がるのもその類ではないかと疑う人もいる。それは当然だが、一種の内需喚起の対策ともいえるかもしれない。

日本の車がヨーロッパで売れ出したので、日本の車メーカーである、ニッサンとかトヨタは車をヨーロッパで増産し始めたと聞いた。


ラグランジュの恒等式の別の証明

2009-07-02 15:00:26 | 数学

ラグランジュの恒等式のいくつか数学エッセイに書いた証明以外に別の証明があることを知った。

それは以前にこのブログで述べた「数学セミナー」シリーズのはじめに出ている方法である。

それと本質的には同じだろうが、逆の方向での証明である。こちらの方はインターネットの中学生の質問にどなたかが答えていた。

数学セミナーの証明はそれで正しいのだが、あまり数学になじみのない方のためにはもっと説明が必要な気がする。どうも私自身が物分りが悪いので、その点を自分で補足しておくことが必要なのである。

これは和を表す、シグマの記号と文字に添字をつけた記号を用いるのでそのところを具体的な例を交えて示す必要があるだろうか。

これを詳細に述べた数学エッセイを書いて見よう。

(2019.4.4付記)Cauchy-Lagrangeの恒等式の証明はもちろん新しいものではないが、それについて5回か6回も愛媛県数学教育協議会の機関誌「研究と実践」に書いた。それをまだほかのところに発表したことはない。

この証明をいろいろ書いたことが、私が四元数のことを調べる契機となった。そして、それは小著『四元数の発見』(海鳴社)へと結実した。これは著者である、私もまったく予想していないことであった。

Cauchy-Lagrangeの恒等式の四元数による証明は上記の小著を図書館で見るか、「数学・物理通信」の該当号をインターネットで検索してみてください。

 


「思想の科学」ダイジェスト

2009-07-01 12:42:07 | 本と雑誌

「思想の科学」ダイジェストを入手した。ほぼ一万円の本である。「思想の科学」に出た約一万の論文の中からそのうちの約2千を選んで抄録したものである。

武谷の論文もいくつか抄録されている。これを武谷の著作目録の中に入れるべきかどうかで迷っている。

武谷の書いた論文やエッセイがそのままで入っていればもちろん著作としてもちろん文句なく採用するのだが、難しいところである。もう少し考えてみなければならない。

しかし、このような本をつくるという作業をするということは大変な仕事であるので、そのことには敬意を表したいと思う。

いかに手分けをしてこの論文の抄録をしたとはいっても大変な作業であることには変わりがない。そのことを思えば、この値段は高くはないのだろう。

この頃は大学も予算の削減でこういう高額の図書は購入していないために個人的に購入したが、年金暮らしの身には経済的につらい。