Knabenphysik(少年の物理学・クナーベンフィジーク)といわれた量子力学の端緒である、マトリックス力学が出現したのは1925年のことである。そして波動力学といわれた量子力学の別のversionが現れたのはその翌年の1926年である。
それから、およそ85年程がたった。それで、少年の物理学だった、量子力学はすでに老人の物理学になっている。
なぜ、量子力学はなぜ少年の物理学といわれたのだろうか。それは量子力学を考えついて、発展させた研究者Heisenberg, Dirac, Pauli等が20歳くらいのとても若い人たちだったからである。
もちろん、例外もある。BornやSchr"odingerはもちろん、もう少年といわれるほど若くなかったが、それにしてもKnabenphysikという表現はいかにも若い人の気持ちを表している。
Knaben(クナーベン)という語はいまではドイツ語としては普通の日常語としては使われない、いわゆる雅語であり、詩とかでは使われるかもしれないが、日常の言葉としてはJunge(ユンゲ)が使われる。しかし、Jungenphysikと言ったのではどうも趣が感じられない。言葉とはこういうものである。
さらに、これらの非相対論的量子力学の拡張であった、場の量子論の集大成であるHeisenberg-Pauliの理論は1929年に現れた。「場の量子論」はもう老年の私よりもさらに10歳も年上なのである。
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