普通に高校くらいまで数学を学んだ人々には座標系とは直交座標系のことである。
ところが少し高等な数学(たとえばテンソル解析とか結晶学)を学んだ人には直交座標だけでは済まなくて、座標軸が90度ではない角度で交わっている座標系に出会う。それを斜交座標系という。
いつだったかもこのブログでも書いたが、日本語の辞書の編纂者にもそのことが理解されていなくて、射影という概念も座標軸に垂直な光を当てたときにできる正射影と座標軸に平行な光線を当てたときにできる平行射影とに分かれるという概念が辞書の編纂者にも理解されていないことがわかる。
昨日書いた双対空間はもし普通の直交座標系ならば、双対空間は元の空間そのものである。だからいわゆる「双対基底」を考える必要がない。
ところが、もしか座標軸同士が直交していないときにはその軸に沿った基底ベクトルの内積(スカラー積)をつくっても0とはならない。
そうすると基底ベクトルの内積が0となるような元の座標系の座標軸にそった基底ベクトルは存在しないから、別の座標系を見つけて来なくてはならない。そういう座標系を双対空間という。そして双対空間での基底ベクトルを双対基底ベクトルという。
要するに直交座標での座標軸に沿った基底ベクトルはその基底ベクトルの内積をつくれば、その内積は0である。このことは数学的に取り扱うときに都合がいいことであるので、斜交座標系でもそういうものを人工的につくってやろうというのである。
それが双対空間の出所の所以であろう。
結晶学では双対空間のことを逆格子空間といい、元の直接空間と区別している。
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