この本、初版は1967年(昭和42年)2月20日で、今回手に取ったのは初版本!
古いねぇ~。この版以外は見つからなかったもので…。
※この「~部落」として指すものは『市町村』より小さくて少ない単位としての『部落』。今で言うところの『集落』ということなのかな?うちの田舎でもまだ使っている言葉です。
現代でいうところの『部落』と聞いて印象付くのは「被差別部落」という事ではないかと思います。NHKも最近は市町村に次ぐ『部落』という名称は誤解を生むためか使用していないようです。それは今回の話しに関係ないのですがね。
今で言うところの「潜入ルポ」というところでしょうね。きだ みのる氏自体は慶応大を中途退学してフランスへ留学したという人物。本書を無理矢理分類すれば「社会学」「民俗学」になると思います。部落の暗黙のルール、掟、村八分、村議会選、部落外の人達との関係、当時流行った社会運動(社会主義、共産主義)との関わり方など。
価値観や関係性はいたって「現実的」で、かつ「合理的」。外部と接すると利益になるかそうでないか、輸入された「民主主義」は本当に幸せにするのか?、当時多く国民が敗戦に打ちひしがれている中「部落の価値観」は一向に揺るがない。「民主主義なんて部落に必要ない!」と突っぱねる。犯罪が起きても駐在所には報告せず部落の掟で収める。警察沙汰になれば、当人にも部落の不利益になるので通報しない。国内の独立国ということではないけど、国のルールに乗ると面倒だし知る必要の無いところまで広まって良いことがない。
読み進むといかに「アメリカ版民主主義/資本主義」が人を幸せにしないかということを感じさせる一冊。
古いからと言ってバカに出来ませんぞぉ!
この本、読まずに死ねるか!