「うつせみ和尚」のお説教

『うつせみ和尚の日記』二件の事故が元で『(複雑性)PTSD/鬱』になって
闘病、障害当事者として活動している者です。

読まずに死ねるか!!(書評)「昭和の古典ともいうべき『金閣寺 三島由紀夫 著』えお読む」

2019年12月01日 21時34分45秒 | 読まずに死ねるか!(書籍紹介)

正直なところ、こういう風な作品を読む人間ではなかったんですけど
スルスルと書店の本棚へ手を伸ばしてしまいました。
著者の三島由紀夫といえば、「戦後、昭和維新」を画策した人物という
認識が強く、「小説家 三島由紀夫」というイメージがわかなかったというのが
正直なところです・・・。

三島自身、懲役検査に落ちたというのが強くあって、肉体へのコンプレックスが
あったと言われています。そのことが小説「金閣寺」にも反映されていると思います。
主人公(のちに金閣寺へ放火する修行僧)は吃音(どもりがある)があり、
彼が通うことになる大谷大学で学友となった「柏木」は“内翻足”で歩行が不自由で
ある。こんなところからも身体へのコンプレックスがうかがえると思う。

私の感想ですが、最初から終盤前までは読んでいて楽しかったのですが、
クライマックスの「金閣寺への放火」へ至るまでの心的描写はなんとも違和感を
感じた。なんというか、放火に至るまでスムーズではないような気がして・・・。

この小説は実際にあった「金閣寺への放火」という事件を下敷きにして
書かれた作品で三島ならではというか、当時の文壇ならではというか心的描写が
細かく描かれている。私が違和感を感じたのは時代が違うからなのかどうか
わかりませんが、もう一冊三島の作品を読んでみようかと思わせる一冊でした。



とはいえ、この本読まずに死ねるか!