月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

ハゲました・・・

2016-06-08 | 癌について
治療中は白血球も減っているし、あまり無理して仕事をしないようにしようと思っていたが、そんな余裕をかましている場合ではなくなってきた。
そろそろ限界。かなり追い詰められてる。
次の入院(19日)までにすべて終わらせなければならないのに、全然原稿が進んでいないのだ。

今朝は早起きして集中するぞ!と思っていたら、朝起きると髪の毛がえらいこっちゃになっていた。
触わるだけで、ずるっと抜ける。
立ち上がってトイレに行くだけで、部屋中が髪の毛だらけになった。

とりあえず、髪を洗おうとシャンプーしたら、あれよあれよと言う間にどんどん抜けて、しまいには髪を洗っているのか抜いているのかよくわからない状態に・・・

昨日まで地毛で外出できるくらいだったので、まだ大丈夫だろうと安心していたら、急に来た!!
キリがないのでとりあえず風呂場から出て、髪をタオルで拭いた。
タオルを見たら、またごっそりと毛が!!

ドライヤーで抜けた分を吹き飛ばそうとしたが、抜けた髪が残った髪に絡まってもうぐっちゃぐちゃ。
あきらめて、ハサミを持ってきて、残った髪を全部適当に切り落としていった。
これまで少しでも長持ちさせたいと、そっと洗い、そっと扱ってきたのに、この雑な扱いよう!!
人間って不思議なものだ。
最初はショックなのに、すでに「面倒!!イライラする!!」に気持ちは切り替わっていた。
想像していた以上に、髪の毛が抜けるって掃除が大変なのだとわかった。
これだけショートにしていても、一気に抜けると悲惨なものだ。
また、掃除している間にも抜け落ちるし、風呂上りでぬれているからひっつくし、もう「大切に残しておこう」なんていう余裕は一切なし!とにかくこの髪の毛だらけの家をどうにかせねば!という気持ちのほうが勝ってしまった。

それでもう勢いよく、(なぜか前髪は抜けずに残っていたので)前髪以外はスポーツ刈りくらいにした。
前髪があると、帽子をかぶれば宅急便くらいは対応できるので、あえて残した。

ふぅ・・・。

床を見ると、そりゃもう恐ろしいほどの髪の毛!髪の毛!一面髪の毛!!
かき集めるが、ものすごい量だ。
髪のくっついたタオルは古いものだったのであきらめて捨てた。(一面びっしりだからね)

しかし、掃除の大変さに負けて勢いよく切ったものの、自分で切っているとき、ちょっとだけ涙が出た。
他の人の体験談を読んでいても、ごっそり脱毛した時に少し泣いたという人が多い。
涙のわけを書くのは難しい。
もうこれは、体験した人にしかわからないのではないかと思う。
悲しいというか、みじめというか、ショックというか・・・。
なんだかわからない涙だった。

髪の毛を体から落としたら、バンダナ帽子をかぶり(これ以上落ちないよう)、家中を掃除した。
ハサミをとりに行った時にも落ちたので、家中が髪の毛だらけだった。
昨日が地毛で外出できる最後の日だったんだなぁ・・・、ウィッグのカットが間に合ってよかったなぁとしみじみ。

朝から原稿を頑張るつもりだったのに、気づけば髪の毛との奮闘に2時間半・・・。
体力も精神もかなりやられて、ぐったりしてしまった。
わかっていたけど、やっぱり精神的にもやられるものだなぁと思う。
ごっそり抜けたあの髪の毛。見慣れない風景と経験のため、疲労感がすごい

次に地毛で外出できるのは2年後くらいかなぁ。
ウィッグも慣れればどうってことないだろうし、いろいろ髪型変えられるし、白髪染めしなくていいし、まあいいやん?という意見もある。私もそう思う気持ちはある。
だけど、やっぱり嫌なもんだ・・・。
地肌ずる剥けになっている自分の頭を見ながら残った髪を切ったとき、ぽろっと涙がこぼれたみたいに、これはもう理屈でもなく、センチになっているわけでもなく、「髪は女の命!」と思っているわけでもなく、何か自然と反しているというか、本能で拒否するというか、なんだか嫌なもの、悲しいものなんだなぁ。