月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

冬の奈良でほっこり♪

2013-01-27 | 
京都から近鉄に乗り換えて奈良方面へと向かう。
昨夜がちょうど若草山焼きの日だったためか、奈良からこちらへ戻ってくる人が多いような気がした。
向かう車内はそれほどでもないのだけど。

大和西大寺で降り、まずはランチへ。
駅前のビルの地下にあるイタリアンのお店だ。
サラダバー、ドリンクバー、前菜のパン(サンドウィッチ)、デザートがついて、メインはパスタやラザニアから選べる。
私たちはそれぞれラザニアを注文した。


私はトリュフとベーコンと卵のラザニア。
夫はミートソースのラザニアにしていた。


デザートはタルトフロマージュ。美味しい。

普段、外食と言えば飲み屋ばかりなので、夫とこういうレストランで向かい合っているのは新鮮だ。

店を出て、西大寺へ。
目的は善財童子様にお会いすること。

私はあまり大きなお寺は好きではないのだが、西大寺は特別。町中にあってもひっそりとしていて、壮大。
一歩踏み込むと背筋がピンと伸びる感じがする。



本堂のみ拝観。
ここにはいろいろと見ごたえのある仏像が揃っているが、やはり善財童子様が素晴らしい。
何か問いたげな表情や、少し淋しげな瞳。じっと見つめていると心が洗われるようだ。
「また来ましたよ」と心の中で話しかけた。

西大寺を後にし、秋篠寺へ。バスで行こうかと思っていたが、時間もあったので歩いていくことに。
夫とおしゃべりをしながら歩いているとあっと言う間だ。
門が見えた。


門をくぐると苔庭の参道が出てくるのだが、評判以上の美しさに思わず声をあげた。
なんだろう……、もう別世界なのだ。


冬の薄暗い世界が、一気に明るくなった。
ふかふかの美しい苔がどこまでも続いている。
たくさんの苔庭を見てきたけれど、こんなに美しく神秘的な苔は他に知らない。

感動しながら参道を歩いて、本堂へ。ようやく伎芸天にお会いできるのだ。


中に入ると、ずらりと仏像が並んでいる。その一番左端が伎芸天だった。思ったより背が高い。
伎芸天は芸能を司る女神。
日本では唯一といわれているが、こちらが本当に伎芸天として造られたのかどうかは定かではないそうだ。
ただ、佇まいやお顔の美しさ、口を少し開けて歌を歌われているようなお姿から、おそらく伎芸天だといわれている。
堀辰雄は『大和路』の中で、「匂いの高い天女の像」と表現していたが、まさにそんな感じだった。
高貴でありながらも、どこか身近で。優しく何か言いたげに、こちらを見下ろしていた。

夫としばらく椅子に座って眺めていた。
寒くなければもう少しいられたのだけど。

写真撮影ができないので、4枚組みの写真を購入した。


ふぅ。

満足した。また別の季節に足を運ぼう。

その後は少しだけ秋篠窯に寄って器を見て、また駅まで歩いて帰った。
予定より早く近鉄奈良に着いたので、わが母校へ立ち寄った。


記念館はいつだって美しい姿で私を迎えてくれる。
何の思い入れもない大学だけど、この記念館だけはあの頃から変わらず私の胸を打つ。
古い建物の持つ力というのは大きいのだ。

さあ、ここからは楽しい地酒ツアーの始まりだ!

最初は近鉄奈良駅構内にある「豊祝」の立ち飲み屋。酒蔵直営なので、驚くほど安くお酒が飲める。
前から行きたかったのだが、いつも前を通るとおっちゃんでいっぱいで、さすがに初めての立ち飲み屋に一人で入る勇気はなく、これまで入ったことがなかったのだ。
16時のオープンを待ち構えて入店!
何にしようかとメニューを見ているうちに、どんどんお客が入ってきて、すぐにいっぱいになった。
まだ16時だというのに驚きだ!


手前にしぼりたて1合(350円)、その後ろの3つは呑み比べセット(350円)。それに、ゲソの天ぷら(150円)、しじみのしぐれ煮(250円)。
これでなんと1100円!!
やっす~!
そりゃ、16時でいっぱいになるのもうなずける。
「コスパがいいもの」が大好きな夫は、「なに~!ここめっちゃいいやん!」と横で大喜び。
二人でどんどん幸せが加速していくのがわかった。

もう1杯、2杯といきたいところだが、今日は4軒まわるのである。所要時間も30分と決めていたので、後ろ髪を引かれながらも店を出た。
次は、三条通りにある「のより」へ。
こちらは酒屋さんがやっているお店で、かなり私好みのお酒が揃っている。
ちょっと小奇麗なバーのような雰囲気なので、こちらは以前、一人で行ったことがあった。
先ほどの立ち飲み屋と比べればやや高めだが、それでも50mlを300円程度で飲める。(椅子もあるしね)

私は「風の森」、夫は大倉の「金鼓」を。


は~
……しびれる。
しびれる旨さっちゅうのは、こういうのを言うんやな。
さっきのお店のお酒もおいしいのだが、ちょっとレベルが違うのだ。

50mlなのですぐに空いてしまう。ここではもう1杯。
「花巴」のしぼりたてと、大倉のにごり。


「花巴」はあまりお店には置いていないお酒だが、かなり旨いので気に入っている。
このお店は購入もできるので、花巴と風の森を買って店を出た。

さあ、3軒目だ!
もちいどの通りを入ってしばらく歩き、左へ入ると、「なら泉勇斎」が見えてくる。
こちらは奈良の酒造組合がやっているお店で、購入も可能。
50mlをだいたい200円前後で飲むことができる。30蔵120種あるとか。
店の名前は変わってしまったのだが、こちらも以前、T社長と奈良に取材に来た帰りに寄ったことがあった。

10人も入れないほど小さなカウンター。
以前とはたぶん違うマスターなのかな、すごく気さくに迎え入れてくれた。
それに、先にいたお客さんも常連さんで、なんだか楽しい人だ。すぐに意気投合した。
2杯くらいでやめておこうと思いながらも、なんだか楽しくなってきた夫が「もう1杯」「もう1杯」と注文するから、こんなことになってしまった











隣の常連さん(Tさん)と仲良くなり、いろいろおすすめのお酒も教えてもらって飲んでいたら、かなり時間が経ってしまった。
私の手作りチラシを見せて、今日は4軒まわるんだと話したら、「さすがっ!行くべき店をちゃんと押さえてる!」と絶賛してくれた。さらに、この近くにあるいいお店も教えてもらった。
Tさんはウイスキーも好きで、山崎によく来るという。それで話が盛り上がった。すると、反対側の隣にいたお姉さんが「私も山崎行ったことある」と言い出して、すっかり山崎談義。やはり酒好きは違うな~

そして、私たちが次に「晴朗邸」というお店に行くのだと知ると、Tさんが「あそこはいいよー」と言ってくれたのでホッとした。
ここはまだ行ったことがなかったのだが、私の「おいしいものアンテナ」が反応していたので決めたのだ。
そして、Tさんも一緒に行くことになった(笑)

お店は本当にいい感じで、ご夫婦できりもりしているこじんまりとした居酒屋さん。
お酒がバツグンにいい!
いろいろ美味しいお酒を飲ませてもらったし、お料理もここに来てやっとまともに食べた。
(ここまでほとんど飲むばかりだった)

そのうち、先ほどの「泉勇斎」のマスターも店を閉めた後にやって来て、結局4人で飲んだ。
さっき会ったばかりのお客さんとマスターと4人で別の店で飲んでいるのである。
お酒って、こういう縁があるから好きなのだ。
単なる酒飲みとか酔っ払いでなく、本気で日本酒やウイスキー、ワインなどを追求している人とは共通の話題があるから心を開きやすい。
ブルースと似てる。ブルース好きもすぐ仲良くなれる。
自分が愛しているものを同じように愛している人間の事は、「なんかこいつ、悪いやつじゃないやろなー」と思ってしまうのだ。

楽しい時間だったけれど、奈良はさすがに遠いので、早めに退散した。
というか、4時から飲んでるし!

盛りだくさんの奈良ツアー。
良い出会いもあり、本当に満喫した。ほっこり、ほっこり。

Tさんとは帰ってすぐにフェイスブックでつながった。きっとこの人とはまた一緒に飲むだろう。そんな気がする