月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

ありがとう。そして、さよなら。

2012-03-16 | 生活
あれは大学4回生の夏。
やけに一段一段が高い急な階段を上って、初めて「ひのき」のドアを開けた。
「夏期講習の短期バイト」で講師として入った私。
それからズルズルと教え続けて。
2回辞めたけど、また呼び戻されて。
最後はもう授業をしなくていいから、新人講師の面倒を見てくれと言われ。
なんだかんだと足を運び続けた。

あれから17年。

阪急淡路駅の再開発により、「ひのき」の入っている築50年以上の古いビルも取り壊されることになった。
既に商店街のアーケードは取外され、店舗やビルは次々になくなり、今では戦後の闇市みたいな雰囲気。
入試前だからとなんとか待ってもらっていたので、ひのきのビルだけがぽつんと立っている。
でも、もうなくなる。

塾長からいよいよ引越しだと聞き、ひのきを見納めに行きませんか?と昔の講師に声をかけた。
昨日、私も含めて講師OB・OG、6人が集まった。
あやも来てくれた。(あやは20代後半に個別指導の講師で一緒に働いていたことがある)
久しぶりだったが、みんな全然変わらない。
会うと、まるであの頃が甦ってくるようで、心が浮き立った。

・・・浮き立ちすぎて、多少飲みすぎた

朝、目が覚めて、あれ?昨日はどうやって帰って来たんだっけ?と思い出せない。
急いで携帯見たら、何件かメールが入っている。
夜中12時過ぎに、講師から3件。夫から数件。

「今日はありがとうございました」というご丁寧な現役M講師からのメール。
「いかなご渡すの忘れてた」というW氏からのメール。
(※W氏の母上が作るいかなごのくぎ煮がおいしいので、毎年催促してもらっている)

まったく記憶にございません

返信してないだろうなと思って履歴を見たら、ちゃんと記録がある!
何を書いたんだろうかとこわごわ見てみたら、W氏への返信をM講師に!!逆や~!

それも、「いなご待ってます!」と書いている

M講師はさぞかし驚いたことだろう。
「いなごって何?」と謎の一文に頭を悩ませたはず

さっき、慌てて訂正のメールを送っておいた。
W氏からは電話の着信記録もある。話したのか?もう何もわからない。怖い。

さらに、夫へのメールは、「今、大山崎に着いた」と書きたかったのだろうけど、「大山鯖」となっていた。
なんだよ、鯖って・・・。
なかなか漢字選択の候補に挙がってこないワードである。

しかし、ちゃんと駅で降りて、タクシー乗って、1時までには家にたどり着いているのが偉い。
いつもならだいたい河原町まで寝過ごすパターンなのだが。私も多少は成長したか

昨日は楽しかったんだろうなぁ。久しぶりにみんなに会えて。
ひのきの講師はみんな気持ちのよい人たちだし、頭もいいし、話も楽しい。
気兼ねなく話せる。多少盛り上がりすぎた。(自分だけ)
もうあのビルはなくなってしまうけど、またいつかみんなで会えたらいいな。

ちなみに新しいビルがすぐそばに建って、そこに引越しは決まっている。
見に行ったが、タイル張りの可愛らしいビル。入ると新築の匂いがした。中も真っ白できれい。
こんなところで授業してみたかったなぁ。
・・・とつぶやいたら、塾長に「やりますか!」と言われたので即訂正

もう自分は通っていないけれど、それでもあのひのきビルがなくなると思うと、やっぱり淋しい。
汚くて臭くて暑くていやだったけど、それでも、私のホームだった。

ありがとう。
そして、さよなら。