月と歩いた。

月の満ち欠けのように、毎日ぼちぼちと歩く私。
明日はもう少し、先へ。

ドキドキする、おもろい1日

2012-03-15 | 仕事
できるだけ毎日ブログを更新しようと思っているのだけど、昨日は朝5時半起きで奈良へ取材。
夜は「キャッチコピー講座」の講師もあり、小忙しい1日だった。さすがにパソコンに向かう時間なし。

しかし、昨日は久しぶりに「おもろい」1日だった。(『カーネーション』の糸子風に言えば)
この間、編集者さんと顔合わせをした奈良の雑誌の初取材。
M編集長と一緒に吉野の老舗のお醤油屋さんへ。

醤油造りって、酒造りに似ている。
酒蔵見学を何度も経験している私には、醸造工程もすぐに頭に入ってきた。

昔ながらの製造方法で造っている小さな蔵。
酒蔵と比べると少し汚く感じるが、食塩を使うのでどうしても道具が錆びてしまうとのこと。なるほど。
ひんやりと湿っぽく、薄暗い。
そして、醤油の甘い香り。

もろみを熟成させる100年物の杉樽は圧巻。
蔵付きの菌で発酵させる天然醸造だから、天井からも柱からも、そして空気からも自然の菌の存在を感じた。
胸の高鳴りを押さえきれない。

酒造りと同じ「ロマン」がそこにあった。

また、取材に応じてくださった店主(4代目)が本当にいい方で。
細やかな気遣いに恐縮するほど。

お土産もこんなにいただいた!


取材は楽しく進んだ。
キーになる言葉も引き出せた。

この雑誌での初取材だと言うのに、M編集長が私を信頼して完全におまかせというスタンスをとってくれたことも嬉しかった。
自分はカメラマンに着き切りで、私のことは完全放置。
いや、ほんまにこれがありがたい。
横で取材するの見られると、そのことに緊張してしまうし、自分の世界を創りにくい……。
そのことをちゃんとわかってくださっていると感じた。
本当に、素晴らしい編集者だ。

午後からは一般の銀行員でありながら、個人的に奈良をアピールし続けている男性の取材。
この方も、おしゃべり上手で気遣いのできる、やさしい方だった。
聞きたいことがありすぎて、なかなか核の部分にたどり着かないので焦ったが、写真撮影が終わってからの会話の中で、「これ」という言葉に出会えた。

2件の取材を終え、キャッチコピー講座の会場へと向かう。
電車の中で「頭切り替えて、講義の練習せな……」と思うのだが、言葉があふれて止まらない。
さっきの取材の感動を自分の五感がしっかり覚えているうちに書きたくて書きたくて。
たまらず、メモに原稿の走り書き。
ドキドキした。
まるで昔小説を書いていたときのように、ゴールは見えている。あとはゴールまでの道のりを書くだけという状態。
構成も何も必要ない。メモを見返すことすら不必要かもしれないほど、自分の中で記事は完成していた。

「書きたい衝動に突き動かされる」

これは本当に久しぶりのことだった。
そして、そんな自分にまたドキドキする。
私、まだ書けるのかなぁと。私らしい、いいものを書けるんじゃないのかなぁと。
頭で書くのではなく、魂で書くような、そんな文章を。

そして、それをちゃんと発表する場が仕事としてあることに、震えるほどの喜びを感じた。
やっぱり私は運がいい。

大阪に着いてからも、講座のほうに頭を切り替えようとするのだけど、うまくいかず、かなり苦労した。
1時間ほど時間があったので、ハービスエントのティーサロンでコーヒー飲みながらちょっと休憩。
大阪で時間ができるといつも行くお店。
こういうところがお金のたまらない理由だと思うけど、スタバとかごみごみしたカフェに行く気にならない。
ブランドショップが並ぶビルの中で、高級感のあるゆったりした空間で、ソファにもたれて優雅にティータイム(笑)
ドルチェセット1,050円也。
また夫に「お金ないのに、尊敬するわ」と言われそうだな……(20日にお金入るもん!)

さすがに時間に追われてきたので、講座に集中。
なんとかできそうだ。

講座は夜7時~90分。
定員は10名。
2、3人しか来ないんじゃないかと思っていたら、あっという間に定員いっぱいになり、その後はかなりの人数を断ったとのこと。
キャッチコピー講座って、そんなに需要あったのか!と驚いた。

会場に入って、担当者のOさんに挨拶。
今回は、ホールや会議室、図書室、スポーツジムなどが入っている区の施設からの依頼で、2月にここで行われたシンポジウムの記事を仕事で書いたところ、とても気に入ってくださって、「是非に」とこの話になった。
仕事が仕事を呼ぶというのは、本当にライター冥利に尽きるし、自信にもなる。

講座の部屋は、調理室みたいなところだった。
7時前になると、受講者が順番にやって来た。みんな女性。年齢は20代~50代かな、結構幅広い。
始まる前にちょっと雑談で尋ねてみると、会社の広報や人事担当の人が数名。自分で教室をやっていたり、サークル活動をしていて、その人集めのチラシを作りたいという方も。

で。

自分でもびっくりしたが、なんと、「緊張した」!!

長い間、授業やってきて、人前でしゃべるのなんて慣れっこのはずなのに。
最初に挨拶しながら、「うわー、私あがってる!声震えてる…。息できひん…。深呼吸したい……」と思っていた。
なんだろう。
久しぶりだったからか、キャッチコピー講座は初めてだったからか、大人相手だからか。
でも、数分したら落ち着いてきて、後半になったらちょっと笑いも入れたりして、いつもの調子が出てきた。

受講者の皆さんはとても真剣に聞いてくれていて、もっともっといい教材作ってきたらよかったなぁと後悔するほど。
いい感じのムードで講座は終了した。
終わってからも、個人的に相談されたりして、結局終わったのは9時だった。

終了後、担当のOさんが受講者の皆さんにその場で書いてもらったアンケートを見せてくれた。
悪いこと書かれていたらいやだなぁと思いながらも読んでみると、

「わかりやすかった」
「1時間半があっと言う間だった」
「先生もソフトな口調でわかりやすくてよかった」
「少しキャッチコピーの基本がわかるようになった」

などなど、いい意見しかない。
「よかったぁ~」と胸をなでおろす私を見て、Oさんが言ってくれた。
「他にもいろんな講座ありますけど、普通はこんなにアンケート書いてくれないんですよ。10人いたら3人くらいが普通です。全員書いてくれてるんで、よほど満足してもらえたんでしょうね」

うわ~!うれしい~!!

でも、「私、最初のほう、めっちゃ緊張しちゃって…」と言うと、
「そうですよね。あ、先生、緊張してはるわ~って思ってました(笑)」とOさん。
やっぱり気づかれるよね……

ともかく、私の「キャッチコピー講座」第1回目は成功。
Oさんいわく、今回断った人もいたので同じ内容でもう一度お願いするかもしれないし、別の企画を組んで、来年度コンスタントに行ってもいいかもしれない、とのこと。
「来年度の企画に上げてみますわ~。またよろしくお願いします」と言ってくれた。

1回やったし、もう緊張せーへんで!(笑)

なんとなく需要の細かな内容もわかったし、次回、もし話が来たら、テキストを改訂して挑もうと思う。
塾のときの授業みたいに、もっと面白くて、もっとわかりやすくて、もっとためになると感じてもらえるものにしたい。
そのためには、私も勉強しないとなぁ。

夫は仕事関係の勉強に熱心だ。自分への投資だからとお金をつぎ込んで英会話に通いだしたのもそう。
失礼ながら学歴もないのに、同志社や早稲田や、そんな一流大学出身者と一緒に仕事をし、世界の一流メーカー相手にプレゼンするのは、傍で見ているより大きなプレッシャーがあるんだろうな、と思う。
だからこそ、人一倍勉強するし、毎日遅くまで頑張って仕事しているんだろうな。本当に偉い。
ちゃんと結果も出している。

うさぎとカメのレースじゃないけど、私はある程度、要領よくできてしまうほうだから、すぐにサボる。
気づいたら、コツコツやってきた人に抜かされているかもしれない。
今回のコピー講座のテキストを作るにあたっても、夫の助言がかなり力になった。
(こういうとき、夫婦で同業者はいいなと思う)

私ももっとがんばろうと、気を引き締めた。

さて、その後、講座の興奮がさめない状態で、夫と待ち合わせ。
会場が夫の会社の近くだったので、ゴハンを一緒に食べようとのこと。
夫が会社の人とよく行く、日本酒のラインナップがすごいお店を予約してくれていた。

「今日はホワイトデーやから、ご馳走するね」とやさしい夫。

バレンタインデー、私は何もあげていないのに!!
もしかして、皮肉?!

なんにしろ、いいお店だったからうれしかった。

最初のお通しが、こんなに豪華!


お造り盛り合わせもおいしかった。


日本酒も本当にたくさんあって、私は東洋美人のおりがらみと、東北泉「瑠璃色の海」を注文した。
夫は、田酒と花垣と貴。

私は今日、感性がフル活動しすぎて、かなり躁状態になっており、ひたすらしゃべり続けた。
朝5時半起きであちこち行ったから、お酒が入ると一気に眠くなった。
でも、心まで満たされて幸せで仕方がなかった。

久しぶりに「おもろい」1日。
こういう刺激があるから、人生は楽しいんだなぁ。感動したり緊張したり、そしてホッとしたり。

「私って、ほんまに運がいいやろ?」と言うと、夫が「俺もめっちゃ運がいいで」という。
鶏と卵じゃないけど、運がいいから「運がいい」と言うのか、「運がいい」と言い続けているから運がいいことが本当に起こるのか?
どっちかわからないけど、やっぱり「いい言葉」をたくさん口にしているほうが、いいことが起こりやすいのは確か。
何よりも自分が楽しくなるし。

まだ今週は金土日と取材が続き、小忙しい毎日だけど、楽しくてドキドキする。
明日は憧れの奈良ホテルを取材。

とてもいいドキドキ。