北海道人からみた関西圏の鉄道事情

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京阪3000系、ローレル賞受賞!

2009年06月19日 | 京阪(中之島線関係)
中之島線(中之島~天満橋間 約2.9km)の開業に合わせて昨年10月19日に営業運転を開始した、京阪の快速急行用電車3000系(2代目)が、この度、鉄道友の会が選定する「2009年 ローレル賞」を受賞することになりました。

これは、京阪ファンである私にとってはとても嬉しいニュースです!初めて3000系のデザインを見た時は、その斬新さから、思わず「これって本当に京阪電車?」という違和感を抱いてしまいましたが、今では、3000系はどこからどう見ても、もう京阪電車にしか見えません(笑)。
下の写真2枚が、今年の3月に関西方面を旅行した際に私が撮影した、その3000系です(地下駅の三条駅で撮影した下段の写真は、3月18日付の記事からの再録です)。





鉄道ファンの間では特に知名度の高い、鉄道車両に対して授与される賞としては、ブルーリボン賞とローレル賞が有名ですが(どちらも鉄道友の会が毎年選定しています)、昭和33年に制定されたブルーリボン賞は、鉄道友の会・会員の人気投票により選定されるため、どうしても華やかな特急用車両が選定されやすい傾向にあり、実際、歴代のブルーリボン賞受賞車は、全国的によく知られた国鉄・JRの特急形車両や、私鉄各社の各時代を代表する象徴的な車両が大半を占めており、技術的には特筆すべき高性能な車両であっても、通勤形や近郊形などの所謂“地味な車両”は、なかなか選定され辛い傾向にありました。
そういった事情から、ブルーリボン賞には選定され難い通勤形や近郊形の車両を選定対象として昭和36年に新たに制定されたのが、ローレル賞です。

しかし、その後「通勤特急」という列車種別ができるなど、特急用車両と通勤形車両の垣根が曖昧になりつつあることから、昭和47年以降、ローレル賞の選定対象は通勤形・近郊形車両に限定せず、ブルーリボン賞の選定候補車両でブルーリボン賞に選ばれなかった車両から、得票数とは無関係にブルーリボン賞選考委員会が選定するようになり、現在では、「前年中に営業運転を始めた新車と見なせる車両の中から、性能・デザイン・製造企画・運用などの諸点に卓越したものがあると認めた車両」に対して、毎年ローレル賞が授与されています。
そのため、ブルーリボン賞が人気投票であることから各社の看板列車が選定される傾向があるのに対し、ローレル賞は、特に技術面や先進性に優れた車両が選定される傾向にあり、京阪にとっては、昭和59年の6000系車両に続く2回目のローレル賞受賞となります。

京阪3000系が「2009年 ローレル賞」に選定された理由を、鉄道友の会のホームページから以下に転載させて頂きます。

京阪電気鉄道3000系は、「COMFORT SALOON」(コンフォート・サルーン)をキャッチフレーズとして、新たな京阪電気鉄道のイメージリーダーの役割を担うために、中之島線開業に合わせて登場した快速急行用車両です。
明確なデザインコンセプトにより、車内外は従来車両と一線を画する新しいデザインとし、また、特急車に準じたゆったり感と質感を高めています。

車内外のデザインは、沿線の風土である「文化・風情」の香りに「現代的感覚」を融合させた「風流の今様」を基本コンセプトとしています。
それを具現化するモチーフとして「月」を取り入れ、よりダイナミックに見せるために、トリミングされた円弧形を先頭部や車内設備など随所に展開しています。
外部塗色には、中之島を中心とした水都・大阪や京都の伝統・格式をイメージさせる紺色(エレガントブルー)を採用して、「中之島へ行く優等列車」=「快速急行」を主張し、車内の配色においても濃紺を基調として、墨色木目調の扉、石畳調の床敷物などの採用によって、クラシックな高級感が溢れる雰囲気を醸し出しています。

1両につき片側3扉の車体でありながら、座席は扉間を2+1列(運転席後部は2+2列)の自動転換クロスシートとし、背ずりは従来よりも高くして質感を高めています。
一方、車端部をロングシートとすることにより、快速急行として通勤・行楽輸送など様々なニーズに対応可能な座席配置としています。
さらに、座席の表地には、柔らかい感触の高級スエード調マイクロファイバー素材を鉄道車両としては世界で初めて本格的に採用するなど、特急車に準じたゆったり感と質感を高めています。

標準工法や標準機器類の採用によってコスト削減を狙った車両が全国的に増加する傾向の中で、京阪電気鉄道3000系は、ブランド作りを意図する鉄道会社のイメージリーダーとしての役割を担い、明確な設計コンセプトを貫き、新しいデザインを築き上げ、車内設備が充実した魅力のある車両を実現しました。

以上のように、「明確なコンセプトに基づく車内外の新しいデザイン、客室設備の高機能化」 という特徴が、選考委員会において高く評価されたことから、ローレル賞に選定しました。


京阪3000系の特徴等については、上の受賞理由で既に語り尽されている感もありますが、蛇足ながら少し補足をさせていただくと、京阪3000系は昨年、川崎重工業で「3M5Tの8両編成×6本=全48両」が製造され、中之島線開業と同時に営業運転に投入され、(一部に例外があるものの)主に中之島駅(大阪)と出町柳駅(京都)を直通で結ぶ「快速急行」として運用されています。

この3000系電車は、従来の京阪電車とは異なる斬新なデザインや塗色を採用しており、水の都・大阪を意識した紺色(エレガントブルー)をメインカラー(京の伝統的なのれんのイメージも含まれているそうです)として車体上半分に採用するとともに、車体の下半分には白色(アーバンホワイト)、車体の上下半分の境界となる帯には銀色(スマートシルバー)を採用することで、都市のきらめきや石庭における川の流れを感じさせるものとし、また、デザインの基本コンセプト「文化・風情の香りに現代的感覚を融合させた“風流の今様”」を具現化した円弧状のモチーフ(花鳥風月の月をイメージ)を、先頭車の前面窓下(この縁の部分にLEDが組み込まれているのも斬新です)を始め車内外の随所に展開しています。

車内の大部分の座席は、ラッシュ時の立席スペース確保と閑散時の着席サービスを両立させるために1列+2列配置の自動転換クロスシートを採用し、車端部ではロングシート、運転席後部では横2+2配列転換クロスシートも採用されています。また、座席の表地には、東レ製の最高級スエード調マイクロファイバー素材「エクセーヌ」を鉄道車両として初めて採用し高級感を演出しています。
下の写真が、3000系先頭車の車内で撮影した、1列+2列配置の自動転換クロスシートです。運転席後部では2+2配列のクロスシートとなっているのも確認できます。



その他の特徴としては、種別・行先表示器が京阪の車両としては初めてフルカラーLED式が採用されたこと、車内案内表示装置として京阪の車両で初めて液晶ディスプレイ (LCD) が各客用ドア上部に1か所設置されたこと(次駅案内やドアの開閉方向などを知らせるほか、朝日新聞社・共同通信社提供のニュースも流れます)、非常通報装置を併設した車椅子スペースが設置されたこと、京阪線系統の車両としては初のシングルアーム式パンタグラフを装備していること、などが挙げられます。

ちなみに、3000系は「Mc―T―T―T―M―T―T―Mc」の8両固定編成ですが、中間車を抜いて、7両、5両、4両での運転にも対応しています。

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