鴨着く島

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第6波は沖縄から

2022-01-06 10:24:11 | 専守防衛力を有する永世中立国
昨日5日の新型コロナ新規感染状況によると、全国では初めて2000人を大きく超えて2638人になった。自治体別では沖縄が全国最多の623人、次いで東京の390人、大阪244人、広島138人、山口104人と続き、100人を超えたのはこの5自治体だけだが、中で突出して多いのが沖縄で、この増え方は明らかに沖縄駐留米軍軍人からの拡散だ。

また東京と大阪は人口過密・人的交流という点と伝染しやすいオミクロン株の流行による感染者数増加であって、想定内の感染者数だが、広島と山口のそれまでにない急激な増加は「米軍岩国基地」の存在が大きい。

理由は沖縄のと同じで、基地にアメリカから交代要員でやって来る軍人たちの間に起きているクラスター感染に歯止めがかからず、それにもかかわらずかなり自由に、感染対策も碌にしないで岩国市内や隣の観光地宮島(広島市)に繰り出す連中が多いことが挙げられる。

それと基地内の日本人従業員の問題がある。彼らは感染源である基地内で働いた後は基地外の家族のいる家に帰るわけで、感染していても無症状なら本人はいいとしても免疫力の弱い家族にうつして発症させることになろう。

沖縄県知事玉城氏は怒り心頭だ。それを政府に訴えても結局は「日米地位協定」の壁がある。

日米地位協定によれば、米軍及び軍属の監督権は米軍にあり、今度の感染の広がりの主因は新規にやって来た軍人たちが基地内で14日の隔離をしていないことにあるのに、米軍指導部がそれをそうさせなくても構わないのだ。

いわゆる「水際対策」なのだ。岸田政権では海外から厳しすぎると言われるほど、国際線や国際航路について入国後の14日の隔離を徹底している。しかし米軍側が全くずさんな対応しかしていなくても、要望は出せるが、するしないは米軍任せなので、遠巻きに見ているだけである。

基地内では全く日本の規制(法律)は通用せず、基地外でも米軍軍人が起こした犯罪のうち、それが公務(軍務)中であるのならば、その拘束及び裁判権はアメリカに属している。これが日米地位協定の米国特権であり、日米地位協定は「現代の治外法権」と言われるゆえんである。

沖縄のこの感染爆発がどの程度になるか予断は許さないが、もしまた例の「まん延防止措置」を採らなければ、倍々に増えていく可能性は高いだろう。

日米地位協定は1960年の「新安全保障条約」(※安倍元首相の祖父岸信介が首相の時に締結。1951年以来の旧安保より米軍の占領性はたしかに薄められたが、それを補完するのが地位協定だ)に基づいており、日米安保が廃止されれば当然なくなるはずのものである。

中国の脅威が日に日に増し、北朝鮮も何をやらかすか分からないのに、日米安保を廃止せよとは、頭がどうかしているんじゃないの――と言われそうだが、実戦的・軍事的に見れば確かにそう思う。しかし、軍事では事が解決を見ないのは米軍のアフガニスタン関与ではっきりしたではないか。

まして戦争自体が「核戦争」の様相を帯びれば、世界は混乱どころか消滅の危機に陥る。儲かるのは軍事産業だが、そんなレベルではすまないだろう。

米軍の駐留によって得る物よりも失うことのほうが大きい。その最たるものは日本の戦後の平和的中立だ。

日本は太平洋戦争後に一度も他国の兵士を殺していない。これは国際的に稀有なことで、世界第2の経済大国(2010年以降は中国が上回ったが)でありながら、武力を振りかざしていないのは戦後史の日本の精華でもある。

この点を大事にしながら、日米安保を廃止したらどんな外交(国際貢献)ができるかを、「頭がどうかしているんじゃないの」という先入観を持たずに考えていかなければならないと思う。

私の理想は「永世中立国宣言」を発出すると同時に、日米安保を廃止することである。その際もちろん対中国などとも中立でなければ意味がない。