goo blog サービス終了のお知らせ 

亀田司法書士ブログ

越谷市の亀田司法書士事務所のブログです

貸金請求事件

2016-01-22 17:02:04 | 債務整理

貸金請求がとてもうまくいった事件がありました。同僚間の貸借りで,何度督促してもなしのつぶて,噂では他にも多数の同僚からの借金があるとのことでした。

受任の際,裁判に勝っても回収までうまくいくとはかぎりません。相手は多数債権者からの債務を抱えているので,差押えをしても競合して按分配当になり,場合によっては自己破産の申立をされる場合もあります。そうすると,訴訟にかけた費用がまるまる捨て金にもなりかねません。と説明しました。

しかし依頼者は,開き直っている相手が許せないので,制裁のためにも訴訟提起を希望するとのことでした。そして,訴訟提起,勝訴判決を経ても支払わないので,給与(債権)差押え命令申立を行いました。

すると,豈反し他の差押え競合者がおらず,賞与の分も含めて8ヶ月位で全額回収できる見込みが立ちました。

給与支払者は権利供託しているので,後は供託金の払い渡し請求をするのみです。その記載方法をアドバイスして事件は終わりました。あきらめずに やって見たら,成功した例です。

なお,依頼者は,自身の回収が終わった後,他の同僚にことの顛末を話すつもりです。この債務者には,次に,他の同僚の差押えが待っているかも知れません。

よろしければ,クリックお願いします。


にほんブログ村


持家に対する執着

2016-01-20 16:48:44 | 債務整理

債務整理の相談を受けました。有限会社の代表取締役で,会社の借金の連帯保証人でもあります。

会社の借金は,父も連帯保証人兼担保提供者になっています。 今般,会社の借入が返済不能だとして相談に来ました。

解決方法を単純に考えれば,会社の破産です。そして,会社が破産すれば,会社の借金は,連帯保証人である代表取締役及び父の所に請求が行きます。 ということは,会社と共に個人も破産する必要があるということです。

代表取締役は,住宅ローンを抱え,このローンは今後勤務しながら返済していきたいと考えていました。しかし,既にこの住宅もオーバーローンになっています。

住宅ローンを今後いくら返済しても,住宅は自分のものになりません。会社の債権者が父の担保提供した不動産から回収しきれない金額に付き,いずれこの住宅を差押えてくるからです。

当人は住宅だけでも確保したいと考えていますが,会社の借入を連帯保証するという事は,概ね会社と共に個人も自己破産せざるを得ないという事なのです。

よろしければ,クリックお願いします。


にほんブログ村


多重債務者相談強化キャンペーン2015

2015-11-19 17:35:27 | 債務整理

本日は,自治体主催の多重債務者相談会の開催日で,私は午後の部の担当でした。

午前中は,弁護士さんが担当で飛び込みの相談が1件あったそうです。 午後は,予約が1件。

相談者は,金融業者からの督促で精神を病んだとかで,現在治療中の人でした。その内,一つの信販会社が,精神病で治療中であることを証明すれば債務を免除すると言ったそうで,証明をFAXしたらもう半年位請求がないようです。

ですが,債権放棄とか債務免除の書面はもらってないので,今請求がなくても,時効間際に訴訟等を起こされる可能性はあります。そこで,免除の書面をもらうようアドバイスしました。

それにしても,1日にわずか相談2件とは思いませんでした。ここ数年相談担当をしてきましたが,来年はもうキャンペーンの必要はないように思いました。

債務相談は,過払金返還請求ばかりではないものの,大手?の過剰なコマーシャルの影響で,相当一般に認知されたように思いますから。

よろしければ,クリックお願いします。


にほんブログ村


判決間際の和解

2015-10-23 16:41:20 | 債務整理

控訴審判決を間近に控えた日,控訴人から和解の申出がありました。内容は,一審判決どおりの金額を支払うが支払期限を半年近く猶与して欲しいとのこと。

当方(被控訴人)としては,控訴審判決を見てみたい気もしますが,実質勝訴(請求認諾)の結果となるこの申出については,期限を延長する事による支払い不能のリスクを考え,その可能性が極めて少なく期限まで待つことが可能であれば,受け入れても良い内容だと思いました。

控訴人は,一部上場企業であり支払不能リスクは少ないと考え,被控訴人に説明したところ了解を得ました。そこで,控訴審を取下げを条件に被控訴人は,和解に応じることにしました。

控訴人が,和解を望む意図を推定するに,1.支払期限までの資金繰りの窮屈さ 2.訴訟費用の負担軽減 3.不名誉な敗訴の回避等が考えられます。

早めに返還を望むのはもちろんですが,さりとて,勝訴しても支払がなされなければ,執行を余儀なくされます。

被控訴人は,利回りの良い半年間の定期預金と考え,実を取り受諾することにしたものと思われます。

よろしければ,クリックお願いします。


にほんブログ村


異議をとどめない承諾に関する最高裁判決

2015-06-10 17:42:07 | 債務整理

6月1日最高裁第二小法廷で,平成26年(受)第1817号と平成26年〈受)2344号の二つの判決が言い渡されました。結論は当然同じ,債務者が異議をとどめないで指名債権譲渡の承諾をした場合に,譲渡人に対抗できた事由の存在を譲受人が知らなかったとしても譲受人に過失があるときは,その事由を譲受人に対抗できるという趣旨です。

平成26年(受)第1817号の方は,原審は,譲受人が知らなかったことに重過失がない場合は,債務者は譲受人に対抗することができないとしたのですが,判決は,この条文(民法第468条1項)の趣旨は,譲受人の利益を保護し,一般債権取引の安全を保障することにあるとし,譲受人に過失がある場合には,譲受人の利益保護の必要性は低く,実質的にも,債務者の単なる承諾のみによって,譲渡人対抗できた事由を失うという重大な効果を発生させるので,譲受人は対抗できる事由の有無につき通常の注意を払う必要があると結論づけました。

貸金業者同士が債権譲渡をする際,債務者に譲渡承諾書の提出を求めるのが通常です。一般的に債務者は,その承諾書の持つ意味を理解して署名するわけではありません。承諾書を書かなければ一括弁済を求められる恐れがあり,半強制的に署名します。そうすれば,従来どおりの取引を続けられるからです。

ところが,この署名は,利息制限法制限利率を超える無効な約定残高による債権を譲渡することへの承諾なのです。貸金業者は当然この事は知っています。知っていながら,この承諾書を徴求することにより,無効な約定残高を有効化することを目論んでいたのです。

原審は,重大な過失が無ければ譲受人は保護されるとしたのですが,重大な過失の定義も曖昧ながら,貸金業者が利息制限法や貸金業規制法を知らないことはあり得ず,であれば,譲渡時の残高が無効である可能性が高いことは十分認識していたものであって,債権譲渡の承諾書によって対抗できないことを理由に有効になる結果を招くのであれば,利息制限法を制定した趣旨が簡単に没却されてしまいます。

良かった。最高裁がようやく法律の誤った解釈に対する砦になってくれました。

よろしければ,クリックお願いします。

にほんブログ村 士業ブログ 司法書士へ
にほんブログ村