20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
毎日更新。児童文学情報・日々の暮らし・超高層からの眺望などニュース満載。

『平成大家族』(中島京子著・集英社刊)

2009年01月21日 | Weblog
 今夜は「Be-子どもと本」の例会です。
 神楽坂にある児文協の事務所で、隔月、集まってやっている勉強会です。
 今日は少し早めに家を出て、事務局の方がお帰りになる前にドアのカギをお借りしなくてはなりません。
 
 今月のテキストは、『平成大家族』(中島京子著・集英社刊)
 巣立っていったと思った子どもたちが、それぞれの事情で、形をかえ再び元の家に寄り集まり・・・。
 それをそれぞれの視点からの短編に仕立て、現代の家族のすがたを炙り出していくという手法の物語です。
 作者の、現代のあらゆる世代の人間たち(中学生から、93歳のお年寄りまで)を緻密にウオッチングして描出している様は見事なものです。
「そうそう、ある、ある」 
 読みながら、共感することしきりでした。
 そこには、リアルに「いま」の人間たちがうごめいています。それでいて肩に力が入っていず、思わず吹きだしてしまいます。
 
 とにかく、この作者の時代を見つめる感性と、取材力、そして人間を切りとる手腕に圧倒されました。痛快でした。
「真実は細部に宿る」
 まさに、このことばのとおりです。
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女ともだち

2009年01月20日 | Weblog
 昨日は、高校時代の仲よし3人組で、銀座の和光で待ち合わせをしてお食事会でした。
 10年くらい前までは、2~3年に一度は近況報告をしあったりしながら、3人でお食事をしたり、おしゃべりを楽しんだりしておりましたが、このところお互いの忙しさにかまけ、すっかりご無沙汰しておりました。
 メンバーのひとりが、昨年、大学院を受験し合格したそうです。一段落ついたその彼女が、「久しぶりにお会いしましょう」とお声をかけてくれたのです。
 
 久しぶりにお会いした友人たちからは、これから先の人生へのありがたい助言などをいただき、たいへん勉強になりました。
 それにしても、お二人ともよく体を動かしていらっしゃるご様子。
 ひとりの友人は、水中ウオーキングを週二回と、あいまにゴルフでコースを歩いているらしいです。
 そしてもうひとりの友人は、やはり週二回の水泳と水中ウオーキング。そしてテニス。 
 それぞれ子どもたちもみんな巣立ち、充実した人生を楽しんでいるようでした。
 運動不足の私は、終始、煽られっぱなしでした。
 いつかやってくる夫のリタイヤ後の生活に向けての対策も、「甘やかしは禁物」と手厳しく。
 綾小路きみまろという漫談家の話を例に挙げ、「あと10年もしたら、1日出かけて3日寝こみ、になるわよ」など、大層恐ろしい話に震え上がるひと幕もありました。
 気がつくとお茶を飲んでいた銀座椿通りの「椿屋珈琲店」の窓から見える町並みの日も暮れて・・・。
 
 それにしても、幼なじみというのは不思議なものです。
 お会いすれば、一瞬で、あの17~8歳の頃の、自分に戻っているのですから。
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湯気のなか

2009年01月19日 | Weblog
「あ、金魚!」
 昨晩、コンタクトをはずしてお風呂に入っていたら、一瞬、バスタブに浮かんだ自分の指が、まるで金魚が泳いでいるように見えました。
「これは、すてき!」
 と、あわててバスタオルを身にまとうと、カメラをとりに・・・。
 
 でも撮した写真をパソコンに取り込んで見てみたら、これはやっぱり、ただの、私の指です。
 おまけに、入浴剤のみどりが、もっときれいだったのですが、湯気ですっかり曇って変色しています。
 
 すでに絶版になっている舟崎靖子さんの名作『にんじゃごっこ』も、きっかけはこんな些細な瞬間だったのでしょうか?
 私はいまでも、佐野洋子さんの絵のついた、あのお話が大好きです。
 
 それにしても、いまの季節。
 お気に入りの入浴剤でのバスタイムは、なににも代え難い至福のひとときです。
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雑誌『日本児童文学』1~2月号

2009年01月18日 | Weblog
 昨晩の朝日新聞の夕刊を読んでいたら、なんと雑誌『日本児童文学』の1~2月号の、創作特集の岩瀬成子さんの作品(「たまご」)についてのインタビュー記事が掲載されていました。
 雑誌『日本児童文学』についての記事が朝日新聞に掲載されるなんて、ちょっとうれしくなりました。

 実はこのblogにも書きましたが、昨年の12月、3~4月号に掲載予定の「誌面批評」の原稿を書くため、私はすでにゲラでこの1~2月号を拝読しておりました。
 そこでとりあげたのが、岩瀬成子さんの「たまご」でした。
 要約すると私はそこに、下記のようなことを書きました。

「だれでもよかった・・・?」こういったテーマはある意味、表層に流される危うさを内包している言葉でもある。
 しかしどの作品も、そこを踏みとどまり、このテーマを見事に昇華していて、読み応えのある作品群の揃った特集になっていた。
「たまご」(岩瀬成子)では、他者と関係を持ちたがらない香山さんの赤いカーディガンを見たとたん「香山さんのたまごの殻に、ぴっと、ひびが入った・・誰とも知り合いになりたくないと思ってたはずの香山さんが・・わたしを受け入れる気になったのもひびだったんだ」と気づく瞬間。
 そしてそのことで「愉快」だと思う少女のきもちを、私は新しい関係性の発見だと思いながら、とても新鮮なきもちで読んだ。  
 生きていることでの確かさと不確かさ。そのあたりの胸のゆらぎが、実に見事に表現されている創作特集であった。

 児童文学が、こうして子どもたちと必死に向き合おうとしているすがたを、今回、こういう形で世間に知らしめてくださった朝日新聞の姿勢に感謝すると共に、今後もっともっとこういった形で、いかに児童文学者たちが行き悩む子どもたちに向けて格闘し続けているか。あるいは生きる勇気を励まそうとしているか。
 この一回の記事だけではなく、広く喧伝してほしいと願いました。
 でも、とてもうれしい記事でした。

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電化製品が発する音

2009年01月17日 | Weblog
 近頃の電化製品は、やたらおしゃべりで自己主張をしたがります。
 お掃除のためにちょっと冷蔵庫を開けたままにしているだけで、警告音がピピピとなったり・・・。
 
 友人のTAさんに教えていただいたモイストヒートパックというのがあります。彼女はそれを交通事故に遭遇したとき入院治療した東京女子医大の先生から紹介していただいたと聞きました。
 それはアメリカの医療機関で、暖めて自然治癒力を高めるものとして行っている温湿熱療法なのだそうです。
 私はTさんに教えていただいて、日本の輸入代理店からそれを買いました。
 これがとってもいいのです。
 寝る前にレンジで2分チンしてお腹の上にのせて寝ます。肩こりのときはショルダー用のモイストヒートパックをレンジで・・・。

 そうそう、今日はモイストヒートパックのお話ではありませんでした。
 電化製品が発する音のお話です。
 毎晩、それをレンジに2分セットして他のことをしていると、すでにひと仕事終えた彼女が、ピッピッピッピ・・・、「もうとっくに終了しましたよ。早く早く」と私を呼びます。
「はいはい。わかりました」
 歯磨き中の私は電動歯ブラシをくわえたまま、あわてて洗面所からキッチンに走ります。
 毎晩こんなことのくり返しです。

 それにしても、いったいいつのころから、電化製品はこんな自己主張をするようになったのでしょうか? 
 機械音のお節介さに、時折うんざりしながらも、いつか物忘れがひどくなったときに、もしかしたらお世話になることがあるかもしれないと将来を視野に入れ、なるべくやさしい気持ちで折り合いをつけながら生活している毎日です。
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あわてんぼ

2009年01月16日 | Weblog
 今日は、2月に出版予定の作品の、再校ゲラの校正をしています。
 ゲラの校正は作家の最後の仕事になるわけですが、私はどうも苦手みたいです。
 神経を使ってるつもりなのにミスが多く、結局いつも編集者の方にご迷惑をおかけしてしまいます。
 今日やっている校正は特に細かい記述がたくさんあるので、より丁寧に見直さなければと、粗忽者である自分をくっきりと意識に刻みながらやっています。
 
 句会の「天」「地」「人」の結果を、こちらに書かなくなったのも、自分がいかにあわてんぼであるかを認識したからです。
 結果をここに書いたあと、いつも宗匠に編集者の目で「ここは書き間違ってるよ」と、ご指摘いただき、「あっ!」と気づいては、あたふたするはめになります。
 毎回のように。
 いかに粗忽者か、もうおわかりいただけたでしょうね。
 そんなわけで、句友の皆さんにご迷惑ばかりおかけしていたら、とうとう私の身もすくんでしまいました。
 もし、楽しみにして下さっていた方がいらっしゃったら、どうぞお許しください。
 
 大寒も近づき、寒い毎日が続いています。
 皆さま、お風邪などお召しになりませんよう・・・。
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「オクサンの俳句」from日経新聞

2009年01月15日 | Weblog
 今夜は今年はじめての初句会です。
 
 先日、日経新聞でねじめ正一さんが書いていらした「オクサンの俳句」というエッセイがとってもおもしろくて、切り抜いてコピーしてしまいました。
 そのコピーを今夜は、句会の男性陣の皆さまにプレゼントするつもりです。きっと共感していただけるでしょうから。

 エッセイの内容をちょっとご紹介すると、ねじめさんの奥さまと俳句とのおつき合いのはじめは、彼女のお義父さま、すなわちねじめさんのお父さまが俳句をやっていらして、その感想を電話で求められたのが最初だったそうです。
 そしてお義父さまが亡くなられると、今度はお義母さまが俳句をはじめ、ときには何時間もの電話攻勢で感想を求められたらしいです。そのお義母さまも亡くなられ、7年前からは夫であるねじめさんが俳句をはじめその感想を求められるようになって、と連鎖は続き・・・。
 長い年月、感想を求められ続けた奥様は、とうとう俳句と聞いただけでドドッと疲れが出るようになったそうです。
「俳句のない国に住みたいわ」とため息をつかれて。
 ところがところが、その奥さまが突然、俳句作り宣言を!
 そしてインターネットの句会で「天」を取られたそうです。

 エッセイを読みながら私は、にたにたしながら「わかる、わかる」と、ねじめさんの気持ちに同感し読んでいました。
 そして読み終えての感想・・・、これはねじめさんから奥さまへの、なんとも手のこんだすてきなラブレターでした。実にチャーミングな奥さまに向けての。
 それでは、その、ねじめ夫人の句をふたつ。  

 今朝の嘘きのうよりまし葱刻む
 奥様は魔女より怖い雪女
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ふたつの同人誌

2009年01月14日 | Weblog
 先日、結成二十数年になる同人誌、サークル「拓」の『あける』と、結成40年になる同人誌、「牛の会」の『牛』をご恵贈いただきました。
 どちらの同人誌も蒼々たる作家たちが、この数十年守り続けてきた同人誌です。
 サークル「拓」はいくつかの変遷を経て、二十数年前からは最上一平さん、その夫人のばんひろこさん、平野厚さんなどが中心になっておやりになっていて、その後、鳥野美知子さんや安東みきえさんやたくさんのメンバーがお仲間に加わられた同人誌です。
 また「牛」は、四十年前、当時、東京学芸大学の学生だったお仲間たちで作った同人誌がそのまま今に至っているという歴史の長い同人誌です。
 メンバーは、皿海達哉さん、中野幸隆さん、その夫人であり詩人の間中ケイ子さん、日比茂樹さんたちが中心になっておやりになっています。
 
 ふたつの同人誌のページをぱらぱらとめくりながら、児童文学の同人誌の、思いの深さのようなものをしみじみと考えていました。
 10年ひと昔といいますが、そのひと昔を、もう何回もくぐり抜け、仲間たちと議論を闘わせながら、書き続けているのです。
 ちょっと考えただけでも、気の遠くなるような年月です。
 こうして何十年も仲間たちと切磋琢磨しながら、書くことへの力を鍛え続けている仲間たちがいる人たちを、私はいま、しみじみとうらやましいと思ってしまいます。
 こんな時代だからこそ、なおのこと。
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朝のひかりの怪

2009年01月13日 | Weblog
 今朝、南西の角部屋にあるリビングで、朝食をとっていたら、なんと突然、朝日が差し込んできました。
 我が家で朝日が差し込むのはベッドルームだけです。
 それがなぜ、南西のリビングに、まるで朝日がすぐそこにいるように、たっぷりの日差しをふりそそいでいるのか・・・。
 
 不思議に思って、外を見ました。
 すると、朝日がガラスのようにきらきら輝くビルに反射し、その反射したひかりがこちらにふりそそいでいたのです。
 ダイレクトな朝日ではありませんが、これはまぎれもなく朝日です。
 南西の方向に朝日がきらめいているのです。
 
 日ごろは無機質なビルですが、どうしてどうして・・・。
 なかなか粋な、はからいをしてくれるものです。
 見上げると天上には、夕べの名残りの白い月が、ぽっかり浮かんでいました。
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グラタン皿

2009年01月12日 | Weblog
 こうして毎日毎日blogを書いていると、どうしても視点が些末な日常生活にいってしまいます。
 さほど、目新しくもなんともない。
 その裏では、書くことを楽しんだり苦しんだりしているのですが。
 どうも私は、書く苦しさや本にしていくたいへんさを人前に曝すことを苦手としているようです。
 ですからこういったblogがあってもいいのかもしれないと、これまた楽観的な独断と私らしい偏見で、今年もここに書き綴っていくつもりです。

 さて、その日常。
 昨年、もう何十年も使っていたお気に入りのグラタン皿を、手をすべらせて割ってしまいました。
 直後は放心状態でしたが、その後、気を取り直しいろいろなお店で新しいグラタン皿を探していました。
 けれど、なかなか気の合いそうなグラタン皿と出会うことができなかったのですが、昨日、とうとう見つけてしまったのです。
 IKEAで。
 それもおしゃれな下敷きつきのグラタン皿を。
 おまけにリーズナブルときています。
 こんな小さなことひとつで、私はとっても幸せな気分になれます。
 寒い冬の夜。長ネギとじゃがいもと、アンチョビと生クリーム少々とおろしチーズ少々だけの、さっぱりした、けれどあっつあつのグラタンを作れると思うと、それだけでほっぺがゆるんでくるのです。
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