20階の窓辺から

児童文学作家 加藤純子のblog
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雑誌『日本児童文学』1~2月号

2009年01月18日 | Weblog
 昨晩の朝日新聞の夕刊を読んでいたら、なんと雑誌『日本児童文学』の1~2月号の、創作特集の岩瀬成子さんの作品(「たまご」)についてのインタビュー記事が掲載されていました。
 雑誌『日本児童文学』についての記事が朝日新聞に掲載されるなんて、ちょっとうれしくなりました。

 実はこのblogにも書きましたが、昨年の12月、3~4月号に掲載予定の「誌面批評」の原稿を書くため、私はすでにゲラでこの1~2月号を拝読しておりました。
 そこでとりあげたのが、岩瀬成子さんの「たまご」でした。
 要約すると私はそこに、下記のようなことを書きました。

「だれでもよかった・・・?」こういったテーマはある意味、表層に流される危うさを内包している言葉でもある。
 しかしどの作品も、そこを踏みとどまり、このテーマを見事に昇華していて、読み応えのある作品群の揃った特集になっていた。
「たまご」(岩瀬成子)では、他者と関係を持ちたがらない香山さんの赤いカーディガンを見たとたん「香山さんのたまごの殻に、ぴっと、ひびが入った・・誰とも知り合いになりたくないと思ってたはずの香山さんが・・わたしを受け入れる気になったのもひびだったんだ」と気づく瞬間。
 そしてそのことで「愉快」だと思う少女のきもちを、私は新しい関係性の発見だと思いながら、とても新鮮なきもちで読んだ。  
 生きていることでの確かさと不確かさ。そのあたりの胸のゆらぎが、実に見事に表現されている創作特集であった。

 児童文学が、こうして子どもたちと必死に向き合おうとしているすがたを、今回、こういう形で世間に知らしめてくださった朝日新聞の姿勢に感謝すると共に、今後もっともっとこういった形で、いかに児童文学者たちが行き悩む子どもたちに向けて格闘し続けているか。あるいは生きる勇気を励まそうとしているか。
 この一回の記事だけではなく、広く喧伝してほしいと願いました。
 でも、とてもうれしい記事でした。

コメント (2)
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