「サッカー文化フォーラム」夢追い人のブログ

1993年のJリーグ誕生で芽生えた日本の「サッカー文化」。映像・活字等で記録されている歴史を100年先まで繋ぎ伝えます。

チーム育成部門スタッフが1年間市役所職員になる話

2016年04月14日 09時52分11秒 | スポーツ

2~3日前のテレビニュースで画期的なニュースを見ました。「チーム育成部門スタッフが1年間市役所職員に」というニュースです。

といっても、これはJリーグチームの話ではなくプロ野球チームの話です。

北海道日本ハムは、北海道紋別市にファイターズベースボールアカデミーの浅沼寿紀コーチ­を2016年4月1日付で1年間職員­として派遣したというのです。

Jリーグチームもプロ野球チームも、その他のプロスポーツチームも地域との交流・貢献の一環として少年たちの指導の機会を設けていますが、まるまる1年間職員を派遣するという話は初耳です。

いろいろな民間企業が自治体との人事交流をするというのも一般的になっていますが、いわばプロスポーツ業界ともいえる業界の取り組みという意味で画期的だと思います。

また、自治体からプロスポーツチーム側に職員を派遣するというのもよくある話ですが、逆方向の派遣は聞いたことがありませんでした。

私は、これまで、歴史の浅いJリーグのほうが地域密着という理念をもとに、地域との交流に関しては他のプロスポーツに先んじてきたと思っていますが、チームスタッフを自治体職員として1年間派遣してしまうという北海道日本ハムの取り組みは、この方式の先鞭をつけるケースになると感じました。

今回の場合、なぜ紋別市なのかということになるわけですが、紋別市では近年こどもたちの体力低下を懸念する状況になっているそうです。体力測定の結果が年々よくないというわけです。そこで市として、こどもたちの体力増進、スポーツ振興という施策を重点課題に据えたのです。

その具体的な方法を考えた時、プロスポーツチームから専門家を招いて体力づくり・スポーツ環境の整備を図ろうという知恵が出たわけです。

北海道の場合、地域が広いですから一口に専門家を招くといっても「通い」ではなかなかできないということも1年間派遣という方式になった一因だと思います。

テレビでは、浅野コーチが紋別市に赴任する日のこともレポートしていました。コンテナ1個だけの引っ越しだったそうですが、地域の多くの人たちが引っ越しに駆けつけてくれたそうです。

そうです、目に浮かぶようです。地方というのは荷物の多い少ないに関係なく大勢の人が出迎えたり見送ったりしてくれるところです。

さっそく地元の学校に指導にでかけた浅野さん、紋別高校では、たった6人しかいなかった野球部に新入生徒のうち11人が入部してきたそうです。これがスタートになって数年後に「夢の甲子園」てなことになったら、これまたスゴいことになるかも。

Jリーグチームの場合、多くは財政的に厳しいですから同じようなことができるチームは限られると思いますが、スポーツ分野の知見という点で貴重なノウハウを持つチームスタッフがどこかの自治体に1年間しっかりと指導に入るというのは、この上ない地域貢献になると思います。

ビッグクラブと言われる余力のあるチームは、ほとんどが大都市圏にあり北海道紋別市のような感じにはならないかも知れませんが、それでも、東京のクラブが島しょ部や福島の震災被災自治体に、埼玉のクラブが秩父地域の自治体にといった支援は考えてもいいテーマではないでしょうか?

いまスポーツの持つ力、スポーツ関係者の持つ知見・ノウハウの重要性は社会の公共財といっても過言ではない時代にあります。紋別市の取り組みに関して国や県が何らかの役割を果たしたのかどうかわかりませんが、公共財という考え方に立てばプロスポーツチームの取り組みに対して何らかの支援を考えてもいいのかも知れません。

前回の「村井チェアマン直言、AEDによって救命できたスタジアムの話」もそうですが、Jリーグチームが社会的により意義ある存在として、その地位を高めていくためには、取り組むべきテーマがいろいろあるんだなぁ、ということを実感させられた話題でした。

今回も当ブログにお立ち寄りいただき、ありがとうございました。下のクリック、よろしくお願いします。では、また。

 


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