5月25日、日本代表の発表がありました。6月に行われる2試合の代表です。とりわけアウェーのイラク戦は、ロシアW杯出場権獲得に向けた胸突き八丁の一戦です。
今回のメンバーリストの中に、常連組の3人が見当たらなかったのは、少なからず驚きでした。西川周作選手、森重真人選手、清武弘嗣選手の3人です。
特にGKとDFの二人は守りの要でもあるわけですから「大丈夫なの?」と思わざるを得ませんでした。
そこで、ハリル監督は何と説明したのか読まなくてはとネットで記事を見ましたらゲキサカサイトに、西山紘平さんというライターのレポートが載っていました。「会見要旨」となっていましたが、詳報に近い内容でした。まだ読んでいない方にはお勧めです。ぜひお読みください。
ハリル監督は、今回招集しなかった、これらの選手について実に明快に説明しています。まずGK西川周作選手について。
GKとしてハリル監督は5人もの選手を時間をかけて追跡してきたと言っています。そのうち川島永嗣選手と東口順昭選手はパフォーマンスが安定していて、西川周作選手と林彰洋選手はパフォーマンスが落ちていると判断しているそうです。
このうち川島永嗣選手については手放しの褒めようで「いろんな人がこのスピーチを聞いて欲しい」とまで言っています。
また東口選手は、前回はパフォーマンスが落ちていたので招集しなかったが、今回は招集したわけで、あくまで、その時の調子のいい選手を、名前とか実績だけにこだわらず選んでいる姿勢を貫いていると強調しています。
さらにGKについてはリオ五輪世代で、柏躍進の立役者、中村航輔選手を選んでいます。この選出についてもハリル監督は「GKの序列では5番目ぐらいの選手だが、最近のパフォーマンスによるところが大きい」と説明していました。
そしてDFについて。A代表でずっと先発を張っていた森重真人選手、さらには同じFC東京の丸山祐市選手のパフォーマンスが今一つなところに「ここ2、3か月、特に注意して見ていた三浦弦太(ガンバ大阪)、この若い選手が特にフィジカル面でいいパフォーマンスを見せている。デュエルの空中戦、地上戦も強い。後ろからの組み立てでも賢さを見せる。この若い選手を信頼したいと思う。ちょっと植田を抜いているかなと思う。なぜなら植田は少しケガもあるからだ。彼もこの合宿中にどのような活躍をするか見てみたい。」と説明しました。
ここまで説明されては異論をはさめません。
次にMFについて。清武弘嗣選手について、倉田秋(ガンバ大阪)との競争で「この試合では倉田選手を選ぶ」と説明しました。倉田選手について「倉田はかなり可能性のある選手と感じている。彼の良さ、リズムの変化、方向の変化を加えてもらえればと思っている。守備でもボールを奪うことをしっかりやっている。時々、ファウルをし過ぎることがあるので、そこを改善してほしい」と説明したことでわかるように、守備力を高く評価していることがわかります。
常連組の落選理由に関する記者からの質問に対してハリル監督は「彼らを完璧に外したわけではない。他の選手が良かっただけだ。私は就任当初から同じ発言をしているが、より良い選手に資格があるということ。完璧に外したわけではない。ジャーナリストのみなさんがいろいろ書き立てるのはいいが、現在のパフォーマンスでチョイスしているだけ。一番いい証明として、今野はずっと呼ばれていなかった。そのときはパフォーマンスがよくなかった。しかし現在、今野の評価はどうか。しかも34歳だ。みんなに門が開いているということ。良いパフォーマンスでないときも自分の立場があると思っている選手がいたら、それは間違いだ。ずっと先発を張っていた選手を私は簡単に変更し、若い選手をプレーさせたが、彼は良いパフォーマンスを見せてくれた。」と語りました。
いかにも熱のこもった発言という感じです。乾選手を招集して宇佐美選手を外したのも同じ理由のようです。理にかなっているとしかいいようがありません。ハリル監督もそのあたりを「ここ最近、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれているので(選出は)ロジカルだと思う。」と説明していました。
ハリル監督は、今回、サプライズとも思える招集をしました。
「みなさんがあまり知らないであろう加藤(恒平)という選手を入れた。1年かけて追跡している。ブルガリアのベロエというチームの試合を4試合ほど現地で見ている。ビデオでも何試合か見ている。もう一度言うが、4回ほど現地に行って見ている。彼はボールを奪う人という役割だ。それからしっかり組み立てもできる。このような若い選手をテストしてみたい。すぐにプレーさせるというわけではない。」
つまり、ハリル監督にとってはサプライズでもなんでもなく、長い時間をかけてウォッチしてきた結果としての自然な選出だというわけです。
さらにG大阪の今野泰幸選手についても長い時間をかけてコメントしました。ケガの回復途上にある彼が間に合って欲しいということで、いかに彼を評価しているかがよくわかるコメントでした。
それにしてもJリーグチームの中で、これほど違うのかと思うほど評価が分かれたのがG大阪とF東京です。結局F東京からはゼロだったのに対してG大阪からは5人となりました。このあたりはウーンと唸る部分でもあります。
でも、代表選出の理由について、過去これだけ名前をあげて説明した監督はいたでしょうか?
ケガで戦列を離れている長谷部誠選手、そして長らく代表から遠ざかっている内田篤人選手にまで言及していました。このゲキサカの会見要旨で名前があがった選手は、選出された25人のほか、さらに20人、合計45人もの名前をあげています。
ハリル監督が、いかに細かく選手を気にかけているかがうかがえます。
ハリル監督が選手選考の理由のほかに強調していたことが一つありました。それはイラク戦の会場になるテヘラン(イラン)のピッチ状態のことで、次のように語っています。
「もう一回言うが、グラウンド状態がキーになる。グラウンド状態が悪いと、短いパス中心の組み立てができない。つまり空中戦、ロングボールが多くなると予想している。その空中戦に勝つ想定、セカンドボールを奪う想定をしないといけない。向こうは3、4人の選手がドリブルで向かってくる。そこでしっかりボールを奪う。できるだけ早くボールを取る。そして速く背後に行くことが有効になるかもしれない。私はこうやって戦略を練る。・・・」
そのあたりの意思統一が集合してからの課題となるでしょう。最後に、選手たち、そして日本チーム全体にありがちな慢心を次のように戒めて会見を締めくくりました。
「もっと重要なことがある。いろんな人とディスカッションしているが、一番心配なのは『いつか最終予選突破できるよ』と。『毎回、最終予選はきつかったけど必ず突破しているよ』という人がいる。その罠に引っかかりたくない。まだ突破していない。1位にいるが、最後にサウジアラビアの首都で試合が待っている。できるだけ早く我々の問題を解決したい。だからまずイラクに勝利しないといけない。それによってオーストラリア戦がファイナルになるかもしれない。これは同じではない。勝利と引き分けでは、もしかしたらオーストラリア戦は引き分けで十分になるかもしれない。ただ、まだホームでオーストラリアに勝ったことがないという歴史もある。今回の合宿は重要という言葉以上の重要性がある。勝利を厳しく厳しく要求して、最終予選を美しく終われる準備をしたい。(最終予選は)本当に悪い状況からスタートした。敗戦からスタートした。今はまあまあ良い状態にいるだけ。美しく終わりたい。選手には厳しく合宿で要求する。疲労とか、クラブの変更とかは置いておいて、日本代表に犠牲心を払ってほしい」
念には念を入れて、慎重の上にも慎重を期して。かくあるべしです。アルジェリア代表をブラジルW杯のベスト16に導いたハリル監督の面目ここにありというところです。
ここまで書きながら、テレビの画面を時々見ていたのですが、U-20W杯グループリーグ第3戦、対イタリア、前半10分までに2点を先行されながら、堂安律選手が2ゴールをあげて同点で試合終了しました。これで決勝トーナメント進出を決めたようです。
エース小川航基選手がケガのため帰国することになったようで大変残念ですが、堂安選手、久保建英選手のチビッココンビに期待しましょう。
では、また。
今回のメンバーリストの中に、常連組の3人が見当たらなかったのは、少なからず驚きでした。西川周作選手、森重真人選手、清武弘嗣選手の3人です。
特にGKとDFの二人は守りの要でもあるわけですから「大丈夫なの?」と思わざるを得ませんでした。
そこで、ハリル監督は何と説明したのか読まなくてはとネットで記事を見ましたらゲキサカサイトに、西山紘平さんというライターのレポートが載っていました。「会見要旨」となっていましたが、詳報に近い内容でした。まだ読んでいない方にはお勧めです。ぜひお読みください。
ハリル監督は、今回招集しなかった、これらの選手について実に明快に説明しています。まずGK西川周作選手について。
GKとしてハリル監督は5人もの選手を時間をかけて追跡してきたと言っています。そのうち川島永嗣選手と東口順昭選手はパフォーマンスが安定していて、西川周作選手と林彰洋選手はパフォーマンスが落ちていると判断しているそうです。
このうち川島永嗣選手については手放しの褒めようで「いろんな人がこのスピーチを聞いて欲しい」とまで言っています。
また東口選手は、前回はパフォーマンスが落ちていたので招集しなかったが、今回は招集したわけで、あくまで、その時の調子のいい選手を、名前とか実績だけにこだわらず選んでいる姿勢を貫いていると強調しています。
さらにGKについてはリオ五輪世代で、柏躍進の立役者、中村航輔選手を選んでいます。この選出についてもハリル監督は「GKの序列では5番目ぐらいの選手だが、最近のパフォーマンスによるところが大きい」と説明していました。
そしてDFについて。A代表でずっと先発を張っていた森重真人選手、さらには同じFC東京の丸山祐市選手のパフォーマンスが今一つなところに「ここ2、3か月、特に注意して見ていた三浦弦太(ガンバ大阪)、この若い選手が特にフィジカル面でいいパフォーマンスを見せている。デュエルの空中戦、地上戦も強い。後ろからの組み立てでも賢さを見せる。この若い選手を信頼したいと思う。ちょっと植田を抜いているかなと思う。なぜなら植田は少しケガもあるからだ。彼もこの合宿中にどのような活躍をするか見てみたい。」と説明しました。
ここまで説明されては異論をはさめません。
次にMFについて。清武弘嗣選手について、倉田秋(ガンバ大阪)との競争で「この試合では倉田選手を選ぶ」と説明しました。倉田選手について「倉田はかなり可能性のある選手と感じている。彼の良さ、リズムの変化、方向の変化を加えてもらえればと思っている。守備でもボールを奪うことをしっかりやっている。時々、ファウルをし過ぎることがあるので、そこを改善してほしい」と説明したことでわかるように、守備力を高く評価していることがわかります。
常連組の落選理由に関する記者からの質問に対してハリル監督は「彼らを完璧に外したわけではない。他の選手が良かっただけだ。私は就任当初から同じ発言をしているが、より良い選手に資格があるということ。完璧に外したわけではない。ジャーナリストのみなさんがいろいろ書き立てるのはいいが、現在のパフォーマンスでチョイスしているだけ。一番いい証明として、今野はずっと呼ばれていなかった。そのときはパフォーマンスがよくなかった。しかし現在、今野の評価はどうか。しかも34歳だ。みんなに門が開いているということ。良いパフォーマンスでないときも自分の立場があると思っている選手がいたら、それは間違いだ。ずっと先発を張っていた選手を私は簡単に変更し、若い選手をプレーさせたが、彼は良いパフォーマンスを見せてくれた。」と語りました。
いかにも熱のこもった発言という感じです。乾選手を招集して宇佐美選手を外したのも同じ理由のようです。理にかなっているとしかいいようがありません。ハリル監督もそのあたりを「ここ最近、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれているので(選出は)ロジカルだと思う。」と説明していました。
ハリル監督は、今回、サプライズとも思える招集をしました。
「みなさんがあまり知らないであろう加藤(恒平)という選手を入れた。1年かけて追跡している。ブルガリアのベロエというチームの試合を4試合ほど現地で見ている。ビデオでも何試合か見ている。もう一度言うが、4回ほど現地に行って見ている。彼はボールを奪う人という役割だ。それからしっかり組み立てもできる。このような若い選手をテストしてみたい。すぐにプレーさせるというわけではない。」
つまり、ハリル監督にとってはサプライズでもなんでもなく、長い時間をかけてウォッチしてきた結果としての自然な選出だというわけです。
さらにG大阪の今野泰幸選手についても長い時間をかけてコメントしました。ケガの回復途上にある彼が間に合って欲しいということで、いかに彼を評価しているかがよくわかるコメントでした。
それにしてもJリーグチームの中で、これほど違うのかと思うほど評価が分かれたのがG大阪とF東京です。結局F東京からはゼロだったのに対してG大阪からは5人となりました。このあたりはウーンと唸る部分でもあります。
でも、代表選出の理由について、過去これだけ名前をあげて説明した監督はいたでしょうか?
ケガで戦列を離れている長谷部誠選手、そして長らく代表から遠ざかっている内田篤人選手にまで言及していました。このゲキサカの会見要旨で名前があがった選手は、選出された25人のほか、さらに20人、合計45人もの名前をあげています。
ハリル監督が、いかに細かく選手を気にかけているかがうかがえます。
ハリル監督が選手選考の理由のほかに強調していたことが一つありました。それはイラク戦の会場になるテヘラン(イラン)のピッチ状態のことで、次のように語っています。
「もう一回言うが、グラウンド状態がキーになる。グラウンド状態が悪いと、短いパス中心の組み立てができない。つまり空中戦、ロングボールが多くなると予想している。その空中戦に勝つ想定、セカンドボールを奪う想定をしないといけない。向こうは3、4人の選手がドリブルで向かってくる。そこでしっかりボールを奪う。できるだけ早くボールを取る。そして速く背後に行くことが有効になるかもしれない。私はこうやって戦略を練る。・・・」
そのあたりの意思統一が集合してからの課題となるでしょう。最後に、選手たち、そして日本チーム全体にありがちな慢心を次のように戒めて会見を締めくくりました。
「もっと重要なことがある。いろんな人とディスカッションしているが、一番心配なのは『いつか最終予選突破できるよ』と。『毎回、最終予選はきつかったけど必ず突破しているよ』という人がいる。その罠に引っかかりたくない。まだ突破していない。1位にいるが、最後にサウジアラビアの首都で試合が待っている。できるだけ早く我々の問題を解決したい。だからまずイラクに勝利しないといけない。それによってオーストラリア戦がファイナルになるかもしれない。これは同じではない。勝利と引き分けでは、もしかしたらオーストラリア戦は引き分けで十分になるかもしれない。ただ、まだホームでオーストラリアに勝ったことがないという歴史もある。今回の合宿は重要という言葉以上の重要性がある。勝利を厳しく厳しく要求して、最終予選を美しく終われる準備をしたい。(最終予選は)本当に悪い状況からスタートした。敗戦からスタートした。今はまあまあ良い状態にいるだけ。美しく終わりたい。選手には厳しく合宿で要求する。疲労とか、クラブの変更とかは置いておいて、日本代表に犠牲心を払ってほしい」
念には念を入れて、慎重の上にも慎重を期して。かくあるべしです。アルジェリア代表をブラジルW杯のベスト16に導いたハリル監督の面目ここにありというところです。
ここまで書きながら、テレビの画面を時々見ていたのですが、U-20W杯グループリーグ第3戦、対イタリア、前半10分までに2点を先行されながら、堂安律選手が2ゴールをあげて同点で試合終了しました。これで決勝トーナメント進出を決めたようです。
エース小川航基選手がケガのため帰国することになったようで大変残念ですが、堂安選手、久保建英選手のチビッココンビに期待しましょう。
では、また。